MIRACLE AT ST. ANNA
監督: スパイク・リー
音楽: テレンス・ブランチャード
出演: デレク・ルーク、マイケル・イーリー、ラズ・アロンソ、オマー・ベンソン・ミラー、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ヴァレンティナ・チェルヴィ、マッテオ・スキアボルディ、セルジョ・アルベッリ、オメロ・アントヌッティ、ルイジ・ロ・カーショ、ジョン・タートゥーロ、ジョン・レグイザモ、ケリー・ワシントン、D・B・スウィーニー、クリスチャン・ベイケル
2008年 アメリカ/イタリア映画






平日の過去記事アーカイブシリーズ・・・。





スパイク・リー監督による黒人版「プライベート・ライアン」と思いきや、もう少しヒネリの効いた一風変わった戦争映画。
戦闘シーンは、おっさんの中のスパイク・リーのイメージを覆すかなり頑張った出来映えで、迫力は相当なものです。
「プライベート・ライアン」ほどやりすぎな感じがしないところが、かえってリアルです。
ファンタジーっぽい要素まであって、ラストは「プライベート・ライアン」よりも感動を覚えます。
史実を元にした小説の映画化だそうで、実在した米軍黒人部隊「バッファロー・ソルジャーズ」にスポットを当てていて、
イタリアの最前線で彼らが遭遇する出来事を描いています。
出来すぎとか、いろんなものを詰め込みすぎといった評価もありますが、
おっさんは素直に感動しました。
パチモンを見慣れてると、こういう仕掛けも素直な気持ちで受け入れることが出来るので、ちょっと得した気分。
ストーリーは、ちょっとややこしくて、80年代のニューヨークで、
ある黒人郵便局員が窓口で1人のお客をいきなり銃で撃ち殺すところから始まります。
そして、舞台は第二次世界大戦下のイタリア戦線に移り、
ドイツ軍と激戦を交える黒人部隊から4人の兵士がはぐれ、小さなイタリアの村に身を寄せることになります。
そこで黒人に偏見を持たないイタリアの村人や不思議な少年とのつかの間の交流が芽生えますが、
その先にはドイツ軍の猛攻が待っていた・・・・というお話です。
最初の郵便局員とどう繋がるんだ????という疑問を抱えたまま映画を見続けなければならないのですが、
これがちょっとしたミステリーになっていて、上映時間の長さを感じさせません。
なお、やっぱりこの作品でもドイツ軍将校役でクリスチャン・ベイケルが出てる。
このおっさん、存在感あるんだよなあ。




音楽は、スパイク・リー監督作品といえばテレンス・ブランチャード。
「インサイド・マン」のスコアもそうでしたが、この人のスコアにはハズレがない。
しっかりしたモチーフがあるし、自身も奏者であることから、ブラスの上手な使い方を知り尽くしている感じ。
本作は、第二次世界大戦が舞台になっていることから、ミリタリー調のスネアドラムもたっぷり聴けます。
さらに、このスネアをベースにした勇壮なミリタリー・スコアで聴かれるブラスの分厚いこと。
図太い上にシャープな音のキレはすごい。
本作では、いろんなモチーフが使い分けられていますが、
悲しげだけど感動もたたえた繊細なモチーフは、どことなく「プラトーン」の「アダージョ」を彷彿とさせます。
オープニング・テーマは、また別の美メロを持ったピアノのソロ。
全体的には、これらのモチーフの他に大雑把に言うと木管でイタリア、ブラスで米軍を使い分けているように思います。
かつて、戦争映画といえば、テーマ曲は「マーチ」と決まったものでしたが、
良くも悪くも「プライベート・ライアン」以降、戦争映画といえばレイクエムのような辛気くさいスコアがテーマになる風潮が定着してしまいました。
本作も残念ながらその流れに乗った作品と言えますが、「プライベート・ライアン」に比べたらブラスの出番が多く、
ミリタリー・スコアとしては近年では出色の出来映えといえます。
個人的に一番のお気に入りは、米軍による渡河シーンのスコア。
低音を聞かせたオケによる静かでブキミなスコアは、ハワード・ショアを思わせます。
このスコアが、いつドイツ軍の機銃掃射が襲ってくるか分からないという、
張り詰めた状況をさらに緊迫感あるものにしています。
おっさんの中ではかなり評価の高いスコアなのですが、
なんとダウンロード・オンリー。
全24曲、70分越えの力作、これは絶対CDにすべきでしょう。



・・・と、ここまでが過去記事。

その後もCDにはなっていないようです。




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