STALINGRAD
監督: ヨゼフ・フィルスマイアー
音楽: ノルベルト・J・シュナイダー
出演: トーマス・クレッチマン、ドミニク・ホルヴィッツ、ヨヘン・ニッケル、セバスティアン・ルドルフ、カレル・エルマネック、ダーナ・ヴァヴロヴァ、シルヴェスター・グロート
1993年 ドイツ映画


「Uボート」のスタッフが再び結集、ドイツ映画界の総力を挙げて製作した戦争ドラマ。
第2次世界大戦ヨーロッパ戦線における最大で最悪の市街戦と言われるスターリングラードの戦いをドイツ軍の視点から描いた作品です。
物語が後半に進むにつれてが陰鬱な空気が張り詰める映画で、
ドイツ版「八甲田山」という趣があります。
とにかく、悲惨なラストに向かってひたすら突き進むかなりヘビーな内容に、見終わった後は結構ゲンナリします。
しかし、そこがまたこの映画の秀逸なところで、その内容から全くヒットはしませんでしたが、
戦争の狂気、人間のエゴ、無情さを伝える考えさせられる作品です。
ストーリーは、イタリアで休暇中のドイツ軍部隊に出動命令が下ります。
行き先は、ソ連のスターリングラード。
スターリンの名前が付いている街を攻略しろというヒトラーの思いつきで、
大量のドイツ軍師団が投入されますが、ソ連は兵士と民間人の区別がつきにくく、
ドイツ軍は苦戦を強いられます。
さらに、ソ連の「冬将軍」の到来により、寒さに強いソ連軍の猛攻を受け、事態は最悪な方向へ進んでいきます。
極寒のロシアの大地で、寒さに弱いドイツ軍兵士は次々と凍死したり、敗血症で死んでいく・・・というお話です。
ラストもハッピーエンドなはずもなく、救いようの無い終わり方をします。
でも、それがかえってこの映画を印象深いものにしています。
派手な戦闘シーンは前半のみですが、なかなかの迫力があります。
さすが自国の軍隊を描いているので、ドイツ軍側の時代考証はかなり正確です。
同名タイトルのジュード・ロウが出た「スターリングラード」よりも、僕はこっちをオススメします。
主演は、「ワルキューレ」、「ウォンテッド」、「NEXT」等のハリウッド映画にも良く出てるトーマス・クレッチマン。
ヨゼフ・フィルスマイアー監督の奥さん、ダーナ・ヴァヴロヴァも出ています。



音楽は、ノルベルト・J・シュナイダー
この人は、あんまり日本公開作ではお目にかかれない人で、
日本で有名なところでは、同じくヨゼフ・フィルスマイアー監督の「秋のミルク」等を担当しています。
スコアは、全体的に重くて暗い曲調のものが多く、サントラも後半に行くに従って絶望的な調べに変わっていきます。
テーマ・モチーフは、一言で言うとヘヴィーな「新日本紀行」。
日本の大河ドラマのような壮大な曲調のオケに、
「Uボート」のようなシーケンサーをかぶせて、ちょうど「Uボート」の姉妹編のような雰囲気を出しています。
しかし、後半に行くに従って、悲壮感を漂わせた曲調にシフトしていきます。
中には、心音とメタルパーカッションだけの曲もあって驚かされます。
決して楽しいスコアではありませんが、映画の内容を考えると
当然と言えば当然のスコアリングだと思います。
演奏は、ミュンヘン・フィルの面々。
でも、ミュンヘン・フィルのメンバー全員参加というわけではないようで、
若干音が薄いところが玉にきず。
サントラ盤は、公開当時日本でもCDが発売されていましたが、
廃盤になって久しく、再発もされません。
ヘヴィですが、聴き応えのある作品です。

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オープニング


市街戦シーン




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