ENEMY MINE
監督: ウォルフガング・ペーターゼン
音楽: モーリス・ジャール
出演: デニス・クエイド、ルイス・ゴセット・Jr、リチャード・マーカス、ブライオン・ジェームズ、バンパー・ロビンソン
1985年 アメリカ映画

 



・・・平日の過去記事アーカイブシリーズ。





「Uボート」のペーターゼン監督が撮った異色SF作品。
ただのSFアクションではなく、まるで「太平洋の地獄」のSF版かと思わせておいて、
後半は人類と異星人との固い絆の物語という、壮大な物語に圧倒される作品です。
ストーリーが大河ドラマの縮小版みたいで面白い。
こういう味わい深いSFって、最近無いよなあ。
SFXは一見チープに見えるけど、よく観るとわざとチープにしてレトロなSF作品のイメージを醸し出してるように思えます。
スターファイターの形や宇宙空間の色彩等、ノスタルジックな感じが満点です。
ストーリーは、地球と異星人との間で惑星戦争が繰り広げられている中、
「第5惑星」と呼ばれる星に、地球人と異星人のパイロットが不時着します。
お互い言葉も通じず敵同士ということもあり、反目しあうのですが、
緑もなく、時折隕石の雨が降る過酷な環境の星では、
生きていくためにはお互い協力せざるを得ない状況になっていきます。
そして、お互いの間にはいつしか友情が芽生え始める・・・・・というお話ですが、
ここまでが映画の前半で、後半はちょっとした仕掛けが用意してあって意外な展開を見せます。
クリス・ウェウラスの特殊メイクで異星人を演じたルイス・ゴセットJr.が素晴らしい。
フランス語の「R」の発音にも似た語尾をくっつけたヘンテコな宇宙語を話します。
素顔がほとんど分からないくらいのトカゲ顔ですが、黒人をベースにした宇宙人メイクというのも斬新でした。
地球人のデニス・クエイドもなかなかいい演技をしていて、
後半思わずウルッとくる場面も。
ただ気になったのは、この映画、SFという題材を借りた大河ロマン風の作品なのに、
上映時間が100分を切っていること。
案外、ディレクターズ・カット版が別に存在するのかも。
ラストのドラコ星でのエピソードがもっと描かれていれば、さらに深い作品になっていたのでは。
終わり方がちょっと中途半端なのが惜しい。






音楽は、SFには珍しいモーリス・ジャール。
SFという設定を借りた大河ドラマ(ちょっと大袈裟か)という見方をすれば、この人選はマルかなあ。
この頃のモーリス・ジャールは積極的にシンセをスコアに導入していた時期で、
「刑事ジョン・ブック」などはほぼシンセで作られたスコアでした。
本作品の場合は、シンセだけのトラックもありますが、
あくまで主体はオケ、これにシンセをからめています。
SFにしては、かなり歴史ロマンというか、「アラビアのロレンス」等の雰囲気を持った
比較的格調高いスコアが付けられています。
この人らしいちょっとオリエンタルで重厚なメロは、他のSF作品のスコアとは明らかに一線を画しています。
スコアだけ聴いていると、曲によってはSFであることを忘れてしまいそうになります。
サントラは、テーマ・モチーフがちょっと弱いので、
SF作品にありがちなヒロイックなメロを期待すると裏切られます。
基本的にアンダースコアに徹した作りなので、
エンド・タイトル以外は、あまり明快なメロが出てきません。
これ!といったメイン・タイトルを抽出して聴くのではなく、
アルバム1枚丸ごと聴き込んで楽しむスコアかも知れません。
当時のサントラとしては珍しく、アルバム中3曲が5分を越える長尺スコアです。
映像と同様、スコアも異色ですが、聴き応えのある作品です。
ただし、残念ながらCDは米Varese盤が既に廃盤になってしまっているようです。

 

 


・・・と、ここまでが過去記事。

その後、2012年に同じVareseレーベルから1500枚限定で76分収録の長尺盤が発売されています。

ダウンロード版はどうやら無さそうです。




 



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