INGLOURIOUS BASTERDS
監督: クエンティン・タランティーノ
出演: ブラッド・ピット、マイク・マイヤーズ、ダイアン・クルーガー、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン、ミヒャエル・ファスベンダー、イーライ・ロス、ダニエル・ブリュール、ティル・シュヴァイガー、B・J・ノヴァク、
サム・レヴァイン、ポール・ラスト、ギデオン・ブルクハルト、 ジュリー・ドレフュス、ロッド・テイラー、ボー・スヴェンソン、クリスチャン・ベイケル、エンツォ・G・カステラッリ



クエンティン・タランティーノ監督がパチモン戦争アクション「地獄のバスターズ」をリメイクか!?と思われたのですが、実はタイトルだけもらって全く別物の作品に仕上げてしまったアクション・エンターテイメント。
公開2日目にして頑張って時間作って観に行ったのですが、あえてこれは戦争映画とは呼ばないでおこうと思います。
さすがタランティーノと感心する部分とがっかりした部分、半々の作品でした。
決して悪い出来ではなく、タランティーノ作品ではお約束の「だらだらとやけに長い退屈な会話シーン」も
本作では作品に緊張感を持たせるためのアイテムとして素晴らしく機能していたと思います。
とくに見事なのがドイツ軍大佐による畳みかけるような理詰めの尋問シーン。
最初、フレンドリーに始まってだんだん周りから確信に迫っていき、最後に相手をグウの音も出ないところまで追い込んじゃうところはさすが。
サスペンスとしても素晴らしいし、何より僕が子供の頃、ヨーロッパ戦線ものの戦争映画に感じていた違和感を見事に払拭してくれました。
昔の戦争映画は、大作を除いて、ドイツ軍もフランス人も、劇中みんなが英語しゃべってました。
それが、本作ではちゃんとそれぞれの国の言葉でみんながしゃべっています。
この言葉の違いが本作でのサスペンスを盛り上げるハラハラドキドキの重要な要素になっているのが、またニクイ。(ギャグにも使われてますが・・・・)
さらに、この人のこと、大作からB級映画まで、いろんな映画へのオマージュがたっぷりなのにも感心しました。レオーネならまだしも、カステラッリやアンソニー・M・ドーソンを引き合いに出すのはこの人ぐらいなものでしょう(*^_^*)
ただ、戦争映画としてどうかというと、戦車は1両も出てきません。
出てくる火器といえば、シュマイザーやワルサーやルガー等の小火器程度、
軍用車両もキューベルワーゲンやBMWのバイクくらいしか出てきません。
案外、タランティーノは当時のパチモン・マカロニ戦争映画を金かけて撮ったらこうなります、みたいなのを追求したかったのかなあと思ったり。
だって、この設定だったら派手なセット必要ないし、上陸作戦も戦車戦も無いから金かけなくても同じようなパチモン映画できるもんなあ。
お話は、全部で第5章まであって、家族をナチに殺された少女の復讐劇と
この少女の家族を皆殺しにした「ユダヤ・ハンター」と呼ばれる冷血なドイツ軍大佐、
ナチを皆殺しにするため送り込まれた連合軍の特殊ならず者部隊「インゴリアス・バスターズ」、
この3者を中心に物語が進んでいき、最後に1本の線にまとまる・・・といったお話です。
敵役の大佐を演じたクリストフ・ヴァルツの嫌味で陰険な演技がカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞しています。
キャストは、ブラッド・ピット、ダイアン・クルーガー、マイク・マイヤーズ以外はそんなにメジャーな人は出ていません。
ただ、通好みな人はたくさん・・・・・、僕のお気に入りクリスチャン・ベイケルは出てるわ、「ホステル」の監督のイーライ・ロスは役者としておいしい役どころ演じてるし、「地獄のバスターズ」の主演ボー・スヴェンソンに、監督のエンツォ・G・カステラッリまで出ています。
OSSの将軍の電話の声は、ジョージ・C・スコットかと思ったら(まさかね)、
ハーベイ・カイテルだという噂も・・・・・。



音楽は、例によって既製曲をタランティーノ自身がセレクトしたものが使用されています。
今回、メインとなるのは、エンニオ・モリコーネの過去作からの引用。
今回も、「復讐のガンマン」、「アロンサンファン 気高い兄弟」、「非情の標的」からのスコアが使用されています。
この映画を劇場で観て一番感動したのは、大画面のデジタルスクリーンから、マカロニ・ウェスタンの決闘シーンのスコアが流れるところ。
戦争ものなのに、結構映像にあってるじゃん、と感心。
マカロニ・ウェスタンを劇場で観たことがない僕のような世代にとっては、これは最高に鳥肌が立ちます。
ディストーションの利いたエレキギターが場内いっぱいにビヤ~ンと鳴り響く音響が最高。
マカロニ・ウェスタンも映画館でみたらこんな感じだったんだろうなあと感慨にふけってしまいました。
他にも、ビリー・プレストンに「シンジケート・キラー」の主題歌があったり、チャールズ・バーンスタインの「白熱」やラロ・シフリンの「戦略大作戦」からタイガー戦車が出てくるシーンのスコアがあったり、
「アラモ」や「荒野の1ドル銀貨」のカバー・バージョンがあったり、60~70年代の音源がいっぱいです。
本編後半から流れ始めるのが、ジャック・ルーシェの「戦争プロフェッショナル」のスコア
これもなかなかサスペンスを盛り上げる重要なポジションを占めていました。
そんな中で、唐突に使用されるのが、デヴィッド・ボウイの「キャット・ピープル」。
この使い方もカッコよかったなあ。
クライマックス近くで流れる「非情の標的」の使い方も感動だったなあ。
いきなり、場面切り替えずにもう少し流れてほしかったなあ。
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