DEAD RINGERS
監督: デヴィッド・クローネンバーグ
音楽: ハワード・ショア
出演: ジェレミー・アイアンズ、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ハイジ・フォン・パレスケ、バーバラ・ゴードン、シャーリー・ダグラス、スティーヴン・ラック、ジリアン・ヘネシー
1988年 カナダ映画


デヴィッド・クローネンバーグ監督による、ホラーじゃないけど、サイコスリラーと簡単に片付けることが出来ない、底知れぬ恐怖をたたえた第1級のサスペンス。
ジェレミー・アイアンズが正反対の性格の一卵性双生児を1人2役で見事に演じています。
ストーリーは、産婦人科の名医として知られる一卵性双生児の2人の医師が主人公で、
この2人、幼少から一心同体で育ってきたのに性格が正反対、名声を得る社交的な兄と、
それを裏で支えてせっせと学問に励むネクラな弟が、微妙なバランスを取っていたのですが、
特異な子宮を持つ一人の女優と出会ったことで、この2人の共同作業に亀裂が入り、
お互いのアイデンティティーまでが崩壊していく・・・・というお話です。
モテモテの兄ちゃんが口説いた女性を弟も「ごっつぁん」になってしまうという、
1人の女性を共有してしまうアブノーマルな兄弟愛がすごい。
肉体は離れていても、精神的には完全にシャム双生児状態の兄弟の悲劇。
美しくもやりきれない戦慄のラストは秀逸です。
弟がデザインしたという医療器具がまるで拷問用具のようにグロテスクな造形でゾッとします。
この映画、色彩に特徴があり、病院の基調色ブルーに対し、オペ室の真っ赤な手術衣という
極端な対比が鮮烈な印象を与えます。
この対比はDVDで観るとスゴイだろうなあ。


音楽は、クローネンバーグ作品の常連、ハワード・ショア。
この人が、クローネンバーグ作品に提供するスコアは、
ほんと救いようのないダークで陰鬱なスコアが多いのですが、
本作のテーマ曲は、クローネンバーグ作品にしては珍しく美しくて甘美な旋律が印象的です。
美しく静かな旋律に支配されていながら、その背後にある底知れぬ恐怖を見事に表現したスコアだと思います。
クローネンバーグは、このスコアをいたく気に入り、「彼は分かっている」と賞賛したそうです。
クローネンバーグのビジョンを見事なまでに音で表現してみせるハワード・ショア。
この人の才気たるや、恐るべしという他ありません。
衝撃のラストシーンを彩るショアの劇伴も劇的で素晴らしい。
この映画、スコアも素晴らしいのですが、公開当時はサントラが発売されず、公開から4年が経って、
やっと同じくクローネンバーグ作品の「ブルード」と「スキャナーズ」とカップリングされた盤がSILVAレーベルから発売されました。
決して派手さはなく、ショアらしい地味なスコアですが、しっかりとした芯のある名スコアです。

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