IL DESERTORE
監督: バート・ケネディ
音楽: ピエロ・ピッチオーニ
出演: ベキム・フェーミュ、リチャード・クレンナ、ジョン・ヒューストン、チャック・コナーズ、リカルド・モンタルバン、ブランドン・デ・ワイルド
1970年 イタリア/アメリカ/ユーゴ映画


厳密に言うと実はマカロニなんだけど、スタッフ、キャストを見る限り、
相当マカロニ色が漂白された中途半端な70年代ウェスタン。
ストーりーは、騎兵隊将校の男が、ある時、留守中にアパッチに妻を陵辱されてしまいます。
将校は、瀕死の状態で天井から裸で吊されている妻を泣く泣く撃ち殺し、
復讐のため騎兵隊を辞めてアパッチになりすまして部族に潜入を図る・・・・というお話です。
製作にディノ・デ・ラウレンティスが携わっており、撮影のアルド・トンティや音楽のピエロ・ピッチョーニといったイタリア勢のスタッフが参加しているのですが、
監督がバート・ケネディなので、普通の人はアメリカ製西部劇だと誤解してしまうでしょう。
キャストもモロ、アメリカナイズされてるし・・・。
インディアンをガトリングガンで一網打尽にしたり、ラストのオチもいかにもアメリカ風。
隠れマカロニ・ウェスタンという感じの作品です。
ちょうど「さらばバルデス」と同じような体裁の作品です。
実際のところ、「さらばバルデス」あたりになると、もはや国籍不明の映画という感じがしてきます。
劇中、対アパッチの訓練をする様子は、さながらベトコンのトラップ対応訓練をするアメリカ軍のようです。
なお、「マッドボンバー」のチャック・コナーズが、ここでも爆弾の専門家で出てきます。



音楽は、ピエロ・ピッチョーニ。
スタッフや映画自体の作りがハリウッド西部劇に限りなく近くなってしまっているので、
音楽もなんとなくそれ風の仕上がり。
インディアンとの戦いを描いた作品なので、いくさをイメージさせるドンドン、ドンドンという太鼓の調べがあんまりマカロニらしくない。
男らしい野太いホーンもやっぱりドメスティック・ウェスタンの世界という感じ。
薄汚れた、善人とも悪人ともつかない男の復讐劇というイメージはあんまりありません。
ただ、奇妙なのがピエロ・ピッチョーニが手がけるとなんでもジャズの雰囲気が加味されること。
本作のスコアにも、お馴染みのいつものオルガンが出てきて、正攻法なオケスコアにジャジーなフレイバーをくっつけてしまってます。
オーソドックスなオケスコア(でも、バーンスタインあたりと比べると明らかにニセモノ西部劇と分かるところがお茶目)なのに、
オルガンが入るといきなりオケが気持ちだけスウィングします。
まあ、スキップ程度か・・・(^^;)
この手法が成功しているかと言えば、それは甚だ疑問ですが、
この人の自己主張という意味では成功しているでしょう。
サントラは、伊LegendレーベルからCDが発売されていましたが、
現在では入手しにくい状況のようです。

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