VALKYRIE
監督: ブライアン・シンガー
音楽: ジョン・オットマン
出演: トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、カリス・ファン・ハウテン、トーマス・クレッチマン、テレンス・スタンプ、エディ・イザード、ジェイミー・パーカー、クリスチャン・ベルケル
2008年 アメリカ/ドイツ映画



実話を元にした、トム・クルーズ主演、ブライアン・シンガー監督によるヒトラー暗殺計画の全貌を描いたサスペンス。
共演陣も演技派を惜しげもなく使っていて、個人的にはビル・ナイとクリスチャン・ベイケルが出ているだけでノックアウト。
この2人の存在感はいつもながら素晴らしい。
第二次世界大戦後期、祖国ドイツを愛する余り、自ら反乱分子として独裁者ヒトラーの暗殺計画に及ぶドイツ軍大佐とその仲間たちを描いた作品で、
綿密な計画と暗殺計画遂行時の息詰まるサスペンス描写が見事です。
「ワルキューレ」とは、ドイツ国内でクーデターが発生した際に、予備役の部隊を使ってこれを一斉に鎮圧する作戦の名称。
クーデターを企てる側が逆にこの作戦を利用するという発想の転換に唸らされました。
史実をたどれば最初から結末が分かっているヒトラー暗殺計画を、いかに飽きさせずに最後まで引っ張るかという点に注目しましたが、
さすがブライアン・シンガー監督、緊張感溢れる演出に最後まで引き込まれました。
この監督、実はゲイだって噂がありますが、男気溢れる映画を撮らせると上手いのはそのせいか(^^;)
この人はどうやら軍服フェチのようなところがあります。
しかもナチスの・・・・。
かつてこの人が監督した「ゴールデンボーイ」でも、主人公の少年が、
元ナチスの老人イアン・マッケランが嫌がるのに、無理矢理ナチスの軍服を着させて何度もハイル・ヒトラーやらせて、
やってるうちにイアン・マッケランも昔を思い出して段々熱が入ってきて、少年もその姿を見て陶酔するという、
めちゃくちゃヤバいシーンを撮ってますが、
本作でも、ドイツ本土のナチス司令部が舞台なので、綺麗なピカピカの軍服や黒ブーツがいっぱい出てきます。
最前線で泥だらけになった兵士の軍服は最初だけ。
空港に出迎えに出る大勢の将校たちや招集に駆り出され整列する予備役の兵士たちのパリッとした軍服のカッチョいいこと。
ほんと劇中山ほど軍服が出てきます。
さらに、予備隊の兵士たちが、SS総本部へ四方から突入するスローモーション・シーン、
これがめちゃくちゃカッコいい。(「ザ・キープ」を思い出しました。)
この監督、絶対に軍服フェチ、しかもナチスの、激ヤバおじさんだと思います(^^;)
個人的には大歓迎だけど。



音楽は、本編の編集もやっているジョン・オットマン。
自分が編集も担当しているから、スコアも思い通りのところに付けていくことができたでしょう。
この人、特殊メイクの腕もあったり、かなり器用な人のようです。
本作は、この人にしては(失礼m(_ _)m)珍しくかなり格調の高い仕事をした1本だと思います。
劇中、メロらしいものが目立って出てくるのは作戦失敗以降で、前半はほとんどメロなし。
ストリングスと低音域のパーカスで構成されたような無機質な劇伴が続きます。
サスペンス描写でも、鳴っているんだけどストリングスによるコード進行?にティンパニ系のヘヴィな打楽器がドコドコいうスコアが多いという感じ。
しかし、これが後半になるとワーグナーを意識したようなクラシカルな響きのある落ち着いた楽曲が出てきてビックリ。
エンド・クレジットでは荘厳なコーラスのレクイエムまで始まって、またまたビックリ。
この人って、「X-MEN2」、「ファンタスティック・フォー」、「スーパーマン・リターンズ」、「蝋人形の館」といった
SFやホラーのスコアが多いので、こんな曲が書けるのかと驚きました。
本編同様、戦争アクションを期待すると裏切られますが、
時間のある時に腰を据えてじっくりと聴きたいアンダースコアです。
(米盤のサントラジャケをみると、どうしてもヒロイックなマーチを期待してしまいますが・・・)
ただ、10分に及ぶエンド・クレジット、CDにはこれをそのまま収録して欲しかったなあ。
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