QUEL MALEDETTO TRENO BLINDATO
監督: エンツォ・G・カステラッリ
音楽: フランチェスコ・デ・マージ
出演: ボー・スヴェンソン、ピーター・フートン、フレッド・ウィリアムソン、マイケル・ペルゴラーニ、ジャッキー・ベースハート、ミシェル・コンスタンタン、デブラ・バーガー、ライムンド・ハームストロフ、イアン・バネン
1976年 イタリア映画


タランティーノがリスペクトしてリメイク(というよりリイマジネーションか)まで作っちゃったパチモン・マカロニ戦争映画。
パチモンですが、タランティーノに愛されるだけあって、エンツォ・G・カステラッリ監督作品の中では、1,2を争う珠玉の出来映えの作品。
「カステラッリ君、やればできるじゃん」という感じです。
でも、当時本邦未公開に終わっていることから分かるように、ハリウッド作品に慣れ親しんだみなさんにはショボショボな映画に写ることでしょう。
アクション・シーンはクライマックスの大爆破シーンが思い切りミニチュアなのが丸わかりな以外は、
そこそこ頑張っています。
マカロニ・コンバットにしては、爆発シーンや銃撃シーンが大がかりで派手だし、
時代考証は別として軍用車両が大量に出てくるところも好感が持てます。
前半コミカル、後半シリアスな味付けもなかなかのもの。
ただ、マシンガンやライフルの発射音がマカロニ・ウェスタンのそれと全く同じなので、
マカロニ・ウェスタンを観ている錯覚に陥ることがあります。
ストーリーは、フランスで連合軍の囚人を乗せた列車が護送中にドイツ軍に爆破され、
中の囚人たちが逃げ出しますが、途中でレジスタンスたちに特殊部隊の一行と勘違いされ、
V2ロケット輸送列車の強奪作戦に加勢しなければならなくなっちゃうというお話。
主演はアメリカ・イタリアの数々のパチモン映画に出演して、後にタランティーノに招かれて「キル・ビル」に出演しちゃうボー・スベンソン。
キャストがイタリア人ばかりじゃないので、ぱっと観るとアメリカ映画に見えるかも知れません。
この映画、なんと今では日本でDVD(しかもデジタル・リマスター!!)が手に入ります。
タランティーノ効果、恐るべし。
なお、タランティーノ版の「THE INGLORIOUS BASTARDS」は今年8月アメリカ公開だそうです。



音楽は、マカロニ・ウェスタンの仕事でお馴染みのフランチェスコ・デ・マージ。
映画のオープニング・テーマは、武骨なマーチ調のスコアです。
脳天気なファンファーレから一転、マイナー調メロのマーチが始まり、なんとなくソ連製の戦争映画か、「巨人の星」の「思い~こんだ~ら」を連想させます。
(・・そんなもん連想するの、俺だけか・・・・(^^;))
劇伴奏は、ちょっと悲壮感を持たせた「マッド・マックス2」みたいな重厚な音作りの曲を始め、
どちらかと言えば、サスペンスフルな描写や緊張感のある雰囲気の曲が多いようです。
マカロニ・コンバットやマカロニ・アクションのスコアには、往年のマカロニ・ウェスタンを彷彿とさせるスコアが誤ってよくつけられるのですが、
本作ではマカロニっぽいスコアではなく、ホルンを生かしたアメリカ製の西部劇のようなスコアが入っています。
戦争映画でもやっぱりウェスタン調になるのは、デ・マージの悲しい性なのでしょうか。
サントラは、LPは出ていないような気がします。
(先頃イタリアで発売されたサントラCDは、曲目がついておらずSeq1~4で表記されているので・・・。)
なお、このサントラは変則的な内容になっていて、後半4曲は
「ANIC Newsreel music recording」と題されたライヴ・レコーディングになっています。

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