DALLE ARDENNE ALL'INFERNO
監督: アルベルト・デ・マルチーノ
音楽: エンニオ・モリコーネ
出演: フレデリック・スタフォード、ダニエラ・ビアンキ、クルト・ユルゲンス、アドルフォ・チェリ、ジョン・アイアランド、ミシェル・コンスタンタン、アンソニー・ドーソン、ハワード・ロス
1968年 イタリア映画



今夜は、久々に通称マカロニ・コンバットと呼ばれるパチモン戦争映画を紹介します。
公開当時、「アルデンヌの戦いを雄大なスケールで描く戦争巨編!」な~んて宣伝文句がつけられていたようですが、まるでウソ。
前の年に公開された「バルジ大作戦」にあやかって、配給側が悪ノリして出した誇大広告という感じです。
「ドクター・コネリー キッド・ブラザー作戦」のアルベルト・マルティーノ監督が描く、第二次大戦を背景にしたスパイ・アクションという趣の作品です。
出演者も007やマカロニ・スパイ映画に出てた面々を集めています。
マカロニ・コンバットにお決まりのヒロインとしてダニエラ・ビアンキが出ています。
ストーリーは、捕虜収容所を脱走したアメリカ兵がパルチザンと手を組んで、ドイツ軍の司令部から機密書類と一緒にダイヤを盗み出そうとするお話。
アルデンヌの戦いなんか全然関係ない。設定が同じ頃(1944年末から1945年初頭)というだけの話。
軍用車両等の時代考証もてんでデタラメなこの映画の唯一の拾いモノは、ドイツ軍のキューべルワーゲンの本物が出てくることぐらいでしょうか。
なお、この映画、昔出ていたVHSは上映時間89分となっていますが、アメリカ公開バージョンは105分でした。
だからといって、カットされた部分に重要なシーンが含まれていたという訳ではありませんが・・・・・(^^;)
かえって、カットしてタイトにしたほうがアッサリ観れていいかも。
しかし、かつての敗戦国がアメリカ兵の格好して、同盟国だったドイツ軍やっつけて連合軍の勝利を描くなんて作品を量産するというのもどうかと思いますが、
そこはやはりイタリアの商魂逞しさというところでしょうか。



音楽は、マカロニ・コンバットなのに正攻法なスコアを提供する律儀な巨匠エンニオ・モリコーネ。
テーマ曲は、重々しい男性コーラスをあしらった重厚なマーチ調の曲。
引きずるようなリズムの曲で、なんとなく後のソ連製戦争映画「ヨーロッパの解放」のテーマ曲にも似ています。
このテーマ曲、実は昔テレビで観たときには途中でバロック調になる展開があったと記憶しているのですが、
現在入手可能なカップリングもののサントラCDに入ってるテーマは、この途中の展開部分が無いバージョンなのです。
他のモリコーネのコンピレーションものを探しても、TVで観たバージョンが収録されたものは見あたりません。
一本調子のマーチに抑揚を付けるあの展開は泣きのメロが素敵だっただけに残念です。
このカップリングCDには本作から5曲が収録されていますが、
本編で聴けたほとんどスネアドラムだけのカッコいいミリタリー調の劇伴はカットされちゃっています。
カップリング盤の後半は、同じく師匠が手がけた「IL SORRISO DEL GRANDE TENTATORE」 という未公開映画で、
ほとんど前衛的なスコアであんまし聴いてて面白くない。むしろ、ブキミなコーラスが結構、キモい。
かつて単独でLPがイタリアで発売されていたことがあるらしいのですが、完全な形でサントラがリリースされるといいなあ。
まあ、いつも言うようですが、発売されても買う人いないかもしれないけど・・・・