LA MALA ORDINA
監督: フェルナンド・ディ・レオ
音楽: アルマンド・トロヴァヨーリ
出演: マリオ・アドルフ、ヘンリー・シルヴァ、アドルフォ・チェリ、ウディ・ストロード、シルヴァ・コシナ、シリル・キューザック、ルチアナ・パルッツィ、フランコ・ファブリッツィ、フェミ・ベヌーシ
1972年 イタリア映画
クエンティン・タランティーノ監督にリスペクトされていることで、まさかの再評価を受けたマカロニ・ギャング映画の巨匠フェルナンド・ディ・レオ監督が放ったパチモン・アクション。
「皆殺しハンター」だなんて・・・・なんだかものすごく物騒な邦題が付けられています。
B級アクションであることには間違いないのですが、一連のカスものとはちょっと一線を画す作品で、
パチモンの中では良質な部類に入ります。(てことは、逆に言えば個人的にはあんまり面白くない。)
とはいうものの、こなれたハリウッドアクションと同列に見るとかなりツラい演出に退屈すること間違いなしです。
ストーリーは、ニューヨークへ密輸されるはずの600万ドル相当のヘロインがイタリア国内で忽然と消えてしまいます。
ニューヨークに住む組織のボスはヘロインを奪った犯人を消すため2人の殺し屋をイタリアへ派遣します。
犯人は実はイタリア側のボスなのですが、ボスはかつての売人で今は売春宿を経営しているルカ(マリオ・アドルフ)に濡れ衣を着せた上に彼を抹殺しようとします。
ルカはなぜ自分が追われるのか分からないまま、刺客を返り討ちにしたりしながら逃亡を続けますが、
遂に妻子にまで魔の手が伸びたことから、逆ギレして復讐の鬼と化したルカは組織に真っ向から戦いを挑む・・・というお話。
アメリカからやってきた殺し屋2人組がヘンリー・シルバとウッディ・ストロード。
普通こいつらに狙われたら絶対勝ち目ないだろうというキャスティングがニクい。
クライマックスでは、ルカがたった1人でこの2人組に立ち向かいます。
しかし、この映画、サービスショットのつもりでしょうか、やたらとおっぱいが出てきてあきれます。
全裸でルカと口げんかする娼婦なんてのも出てきますが、あえて全裸である必要がどこにあるのかと違和感を覚えます。
エロ映画でもないのに、あんまりおっぱいが出てくるのも如何なものかと思います。
やはり何事もほどほどが一番ですね。
音楽は、パチモンなのにアルマンドー・トロヴァヨーリ。
テーマ曲は、ジャジーなイントロからクールなジャズファンクに展開するグルーヴィー・チューン。
基本的にはクールなんですが、ホーンが「怒りの荒野」ばりに熱いという不思議なトラックです。
うなるベースとグルグル回るハモンドオルガンがメチャクチャカッコいい。
ドラムが小節の終わりに力業で字余りなシングル・ストロークのオカズを入れてしまう強引さにイタリアン・プログレッシブの香りを感じました。
劇中、バーのお立ち台で半裸のお姉さんが踊るシーンのバックに60年代ポップス(ちょっとソフトロックっぽいかも)風の歌モノが流れます。
これもトロヴァヨーリのペンによるものかどうかは不明です。
テーマ曲は基本的にちょっとずつバリエーションを変えながら、劇伴として演奏され、
後半の怒りのカーチェース・シーンではその魅力を最大限発揮します。
でも、残念ながらサントラは発売されていないようです。
著名な作曲家の作品ですし、伊GDMレーベルあたりが頑張ればサントラ盤が発売できそうな作品です。
音源化を望みます。