0N HER MAJESTY'S SECRET SERVICE
監督:ピーター・ハント
音楽:ジョン・バリー
主演:ジョージ・レーゼンピー、ダイアナ・リグ、テリー・サヴァラス、ガプリエル・フェルゼッティ、ベッシー・ラヴ、ジョア
ンナ・ラムレイ、カトリーヌ・シェル、バーナード・リー
1969年 イギリス映画





"2代目ジェームズ・ボンド"としてジョージ・レーゼンビーがさっそうと登場したものの、
たった1作で降板させられた不遇なシリーズ第6作目。
確かにボンド役が1作で降板させられてるし、ボンドが結婚しちやうし、ラストはシリーズ中最も切ない終わり方をするし、
ルイ・アームストロングの主題歌は悪くないんだけどアクション映画には似合わないダラ~ンとした歌だし・・・
番外編みたいな匂いがブンプンする作品ですが、個人的にはかなり好きな作品です。
ジョージ・レーゼンビーもボンドとして決して悪くない。
ショーン・コネリーと比べると顔立ちにはインパクトが無く、風貌もちょっと落ちますが、
英国紳士としての気品みたいな雰囲気は十分持っていたように思います。
(但し、「077」のケン・クラークに慣れている僕の言うことなのであんまりアテにならないかも‥・(^^;))
今回のお話は、細菌で人類抹殺を図るプロフェルドを倒すため、ボンドがスイスに飛びます。
本作は、他のシリーズに比べて荒唐無稽な秘密兵器が出て来ない分、
生身のボンドが自らの頭脳と体力の限りを尽<して戦うので、アクション・シーンのキレが素晴らしくかなり好感が持てます。
編集マン出身のピーター・ハント監督のシャープな演出が奏功して、
特にスキーやボプスレーによるチェイス・シーンの迫力やスピード感はかなりのものです。
そして、当時は結構物議を醸し出したんではないかと想像する意外なエンディング‥‥・。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、こんな切ない終わり方をするボンドは他にありません。
食わず嫌いでまだ観たことがない方は是非一度お試しください。




音楽は、シリーズの本流ジョン・バリーが担当。
主題歌はなんとルイ・アームストロングを起用、バリーが作曲、ハル・デヴィッドが作詞しています。
独特の深みのある歌声ですが、個人的にはちょっと苦手かも。
大人になってだいぶ免疫が出来ましたが、子供の頃はこの歌が嫌いでオムニバスのアクション映画音楽集なんかにこの曲が入っていたりすると
この曲だけ飛ばして聴いてたりしました。
ポップス系のパンチの効いた主題歌が多いこのシリーズにあって、ちょっと異質な印象を受けます。
そのためどうも自分の中で本作に対するイメージが悪く、
スコアを実際に聴いたのは、本編同様、僕が成人してからのことでした。
しかし、このスコアはかなりツボにハマリました。
なんといっても、メイン・タイトル扱いの「ON HER MAJESTY'S SECRET SERVICE」が最高。
これは文句なしにカッコいい。
後にデヴィッド・アーノルドがこの曲を自身のオリジナル・アルバムでPropellerheadsとのコラボでテクノ風にカバーしていますが、
これがまたすこぶるカッコいいのです。
このいかにもバリーなちょっと暗めなトーンのアクション・スコアは、本編の中で何度も繰り返されます。
本作のサントラはカッコいいジャケも含めて、僕の中ではシリーズ中5本の指に入ります。
なお、サントラCDは2003年にリマスターされ、未発表曲が10曲も追加収録されたExpanded盤が発売されています。