BODY DOUBLE
監督:ブライアン・デ・パルマ
音楽:ピノ・ドナジオ
主演:クレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー、デボラ・シェルトン、デニス・フランツ、バーバラ・ク
ランブトン、アネット・ヘヴン
1984年 アメリカ映画

ヒッチコック信者を自負するデ・パルマ監督が、「裏窓」や「めまい」といったヒッチコックの名作へのオマージュをたっぷり盛り込んで作ったエロティック・サスペンス。
売れない男優が恋人に裏切られ知人の家に身を寄せますが、そこで知人から隣人の女性が窓越しにほとんど裸でダンスをすると教えられ、こっそり望遠鏡で覗き見するようになります。
ある日、その女性が外出するのを偶然見かけ、なんと主人公は女性をストーカーしちゃいます。
後をずっとつけて、女性が入店した下着ショップまでついていき、女性が途中で捨てたパンティまで捨って・・・(こいつ変態じやん。)
その後の成り行きでその女性とはキスまでしちゃうのですが(キスというより体中まさぐってるけど・・・)、
我に返った女性はその場から走り去ってしまいます。
その後も、主人公は女性を忘れることが出来ずいつものように女性の家を覗き見していたところ、
女性が何者かに殺されるところを偶然目撃してしまう・・・という仕掛けになっています。
しかし話はそれだけでは終わらずに、その後、男はあるポルノ・ビデオを見ていて、
殺された女性が窓越しに踊っていたダンスとそっくり同じ踊りをするポルノ女優を見つけて‥‥
ここから新たな展開が始まるというお話。
この映画はサスペンスとして良くできた作品だと思いますが、かなりデ・パルマ監督の悪ノリが過ぎているような気がします(^^;)。
オマージュというより行きすぎてパロディみたいになってるところもあるし、
ヌード・シーンがあちこちで出てきて子供には見せられないというデメリットもあります。
「死霊のしたたり」のヒロイン、バーバラ・クランプトンが出てきますが、いきなり冒頭でよその男と合体してるシーンがボカシまで入って「バ~ン」と出てきます。
で、彼女の出演シーンはこれで終わり‥・なんとも可哀想な使われ方でした。
実質的に映画の後半から出てくるヒロイン、若き日のメラニー・グリフィスも、
ストリッパー兼ポルノ女優役でしっかり脱いでます。
往年のポルノ女優のアネット・ヘヴンまで出てたり、エンド・クレジットではシャワーシーンでおっぱいだけ替え玉(ボディ・ダブル)の女優さんを使う撮影シーンが出てきたり、
よ<考えたら最初から最後までおっぱいがたくさん出てくる映画でした。


音楽は、イタリアのピノ・ドナジオ。
この人は、もともとカンツォーネ歌手だったようですが、クラシカルで耽美的なストリングス中心のメロディを得意とする人で、
甘いメランコリックなスコアを書かせたらピカイチの作曲家だと思います。
最近はイタリア映画のスコアを書くことが多く、本邦未公開作が多いため、なかなかこの人のスコアにお目にかかる機会がなく残念です。
本作も、サスペンス描写もさることながら、相変わらず甘美なメロディが印象に残る素敵なスコアを書いています。
ただ、残念なのは正規盤のサントラが存在しないこと。
過去にドナジオの他作(「キャリー」、「殺しのドレス」、「Home Mov」es」、「ミッドナイト・クロス」、「レイジング・ケイン」)と
共に再録音したコンピレーション盤CDがMilanレーベルから出たことがありますが、本作からは4曲が収録されたのみでした。
本作では、裸の女性が窓越しに踊るシーンのスコアと主人公がストーカーした女性とキスしながら周りの風景がグルグルまわる(^^;)シーンのスコアが絶品です。
前者はシーケンサーを効果的に使ったミニマルな香りのするエレガントな曲で、
この曲だけ映画から独立して聴いてもおかしくない完成度を持っています。
後者は、ストリングスの調べが美しいメロ・ドラマにも使えそうな曲。
聞き所の多いスコアなので、是非正規盤の発売を期待したいところです。
なお、イタリアの映画音楽作曲家の中で歌手出身といえば、他にジャンニ・フェリオ、フレッド・ポングストがいます。
フレッド・ポングストなどは「荒野の1ドル銀貨」で主題歌を歌ったりしてますが、
ドナジオは自身が手がけたサントラで主題歌を歌ったものというのは記憶にありません。
そもそもドナジオのソング・アルバム自体聞いたことがない‥・。
歌手時代のアルバムって、ちょっと気になります。
CDとかあるんだろうか・・・・

Brian De Palma: Pino Donaggio/Natale Massara

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