THE OMEGA MAN
監督: ボリス・セイガル
音楽: ロン・グレイナー
出演: チャールトン・ヘストン、ロザリンド・キャッシュ、アンソニー・ザーブ、ポール・コスロ、リンカーン・キルパトリック、エリック・ラニューヴィル、ジル・ジラルディ
1971年 アメリカ映画





・・・今日は過去記事に追加しています。





「激突」、「ヘルハウス」等で知られるリチャード・マシスン原作のSF小説の2度目の映画化となる作品。
ウィル・スミスの「アイ・アム・レジェンド」は、この原作を元にした3度目の映画化作品ということになります。
細菌兵器を使用した戦争により荒廃した地球で、ワクチンを打ったおかげでただ一人生き残った科学者が、
放射能の影響でミュータント化した生き残りの人類と死闘を繰り広げるというお話です。
荒廃した世界を描写した前半部分はかなり好調で、ぐいぐい引き込まれます。
誰もいない街並みや車の走ってないハイウェイ等、孤独感、絶望感を大いに盛り上げてくれます。
本作品は、SFアクションとしての色が濃厚で、原作からはかなり乖離した部分があります。
ヘストンは、マシンガンに懐中電灯をくっつけて、光が苦手なミュータントに向かってガンガンぶっ放します。
このミュータントとヘストンの戦いですが、

観ているうちに何か変だぞということに気づきます。
ミュータントは別にヘストンを襲って食べようとするわけでも血を吸うわけでもなく、ただの具合の悪そうなカルト教団みたいな感じで、
お互いに相手を敵視して攻撃しあうだけだったように記憶しています。
ヘストンがマシンガンをバンバン撃ちまくるので、70年代ヘストンが大活躍する娯楽アクションとして割り切って観た方が楽しめる作品です。
監督のボリス・セイガルは「コンバット」や「将軍アイク」等TVムービーの仕事が多い人で、
この人が手がけた劇場作品は、本作や「モスキート爆撃隊」、「ナポレオン・ソロ/スラッシュの要塞」等数本だけのようです。


音楽は、ロン・グレイナー。
この人の作品と言えば、「プリズナー№6」や「Dr.WHO」が飛び抜けて有名で、あとはあんまり知られていないような気がします。
スコアは、小編成の楽団演奏という感じのチープ感溢れる内容です。
でも、決して悪い訳ではなく、いかにも70年代のノスタルジーな雰囲気が満点で、
アクション・スコアでは、当時のTVシリーズのスコアに雰囲気がよく似ていて、思わずニンマリしてしまいます。
テーマ・モチーフは派手ではありませんが、覚えやすいメロを持っていて、「アイ・アム・レジェンド」に比べるとしっかり自己主張があります。
劇伴の中に、70年代のレアグルーヴ、ジャズの雰囲気を持ったスコアがいくつかあるので、
曲によっては当時のラウンジ・ミュージックとしても楽しむことも出来そうです。
けだるいジャズがあったり、イージーリスニングの名曲「Summer Place」が入っていたり・・(^^;)
世紀末感漂うアクションSFなのですが、あまり悲壮感のあるスコアが入っておらず、なんだか優しげな曲の方が多く、聴いているうちに和んでしまいます。
サントラ盤は映画公開当時は発売されず、2000年になって米FSMから2,500枚限定でCD化されました。
この作品はファンの間で結構人気があったのか、同じヘストンのSF「ソイレント・グリーン」のサントラがまだ売れ残ってるうちに
本作の方はさっさと完売してしまいました。
現在では、ちょっと入手困難のようです。





・・・と、ここまでが過去記事。

その後、2008年にアメリカのRetrogradeレーベルからFSM盤をリマスターしたCDが発売され、2018年にはSilvaレーベルから1000枚限定でLPが発売されています。

そして、現在ではダウロード版が入手可能です。

こうしてみると結構人気のあるサントラなんですね〜。