ARRIVANO I TITANI
監督: ドゥッチオ・テッサリ
音楽: カルロ・ルスティケリ
出演: ジュリアーノ・ジェンマ、ジャクリーヌ・ササール、ペドロ・アルメンダリス、アントネッラ・ルアルディ、ジェラール・セティ、イングリッド・シェラー
1962年 イタリア/フランス映画

 

 

 

「ヘラクレス」の大ヒットに気をよくした50~60年代イタリア映画界が量産したマカロニ史劇の中の1本。
この作品は、もうその手の怪力ヒーローものの末期の作品で、そろそろマカロニ・ウェスタンが台頭してくるちょっと前になるのですが、
マカロニ監督ドッチオ・テッサリのデビュー作であると同時に、ジュリアーノ・ジェンマの初主演作という点で注目してもいいかな(^^;)と思う作品です。
子供の頃にTVで母親が観ていたのを隣で観てたようなうっすらとした記憶があるだけの作品です。
神話に基づいた作品だそうで、ジェンマの役柄はタイタン6兄弟の末っ子クリオスという設定だそうです。
古代ギリシャが舞台で、暴君の悪政に起こった全能の神ジュピターが、暴君をやっつけるためにクリオスを使わすというお話。
結局は、最後にタイタン兄弟がみんな出てきてみんなで暴君をやっつけてしまうらしいです。
「透明人間になってしまうヘルメット」等、神話ならでなの小道具もいろいろ出てくるようですが、本編をまともに観たことがないのでよく分かりません。
ただ、スチール等を観ると、ジェンマの風貌はブロンドでのっぺりした顔立ちで、後のマカロニ・ウェスタンの頃とは全然違った印象。

 

 

この映画では、ジェンマは軽い身のこなしを生かして、劇中ピョンピョン跳びはねてたらしいのですが、

当時は怪力ヒーローものとして人気のあったジャンルだけに、この作品のヒーロー像はかなり浮いた存在だったことでしょう。

 

 

 

 

 

音楽は、史劇を手がけるのは珍しいカルロ・ルスティケリ。
「ブーベの恋人」とか「鉄道員」のイメージしかないので、この手の音楽を書いていたというのは驚きでした。
でも、バイオグラフィー見てみると「勇者テシアス(1960年)」なんてのも手がけてました。
マカロニ・ウェスタンやアクション映画も案外手がけてる人だったんですね。
劇伴は、さすがに史劇ということで、スケール感はないものの「ベン・ハー」みたいなファンファーレが入っていて古代ギリシャの香りがします。
本編が結構コミカルな味付けがされていたのか、劇伴もそれなりにコミカルなサーカスの音楽みたいなものも入っています。
テーマ曲となるマーチもそんな感じで、勇壮というより、フルートの軽やかなフレーズが目立つライトな行進曲です。
覚えやすいメロディで、劇中何度も顔を出すので、すぐに覚えてしまいます。
この映画、フルスコアは今回イタリアで発売されたものが初音源化となるらしいのですが、なんでもRCAのオリジナル・マスター・テープからの収録だそうで、
古い録音のわりには音がいい。
さらに、全30曲入りという大盤振る舞いで、当時発売されたモンド系のシングル盤の曲も収録されています。
でもこのシングルもプロモーション用のディスクだったようで、一般の市場に出回ったものかどうかは分かりません。
なお、CDの内側にはこの映画のイメージを描いたイラストが載ってますが、
フランク・フラゼッタ&ロナルド・サールが書いたようなイラストで思わず笑みがこぼれてしまいます。

 

 

 

タイタンの逆襲