BRAZIL
監督:テリー・ギリアム
音楽:マイケル・ケイメン
主演:ジョナサン・プライス、キム・グライスト、ロバート・デ・ニーロ、イアン・ホルム、キャサリン・ヘルモンド、ボブ・ホスキンス、イアン・リチャードソン
1985年 イギリス/アメリカ映画

 

 

 

英国のナンセンス・ギャグ集団「モンティ・パイソン」のメンバー、テリー・ギリアム監督の名を一躍有名にしたカルトなSF大作。
巨費を投じられた製作されたそうで、強烈なイマジネーションを映像の美として表現しようとするギリアム監督の妥協を許さない姿勢が感じられます。
管理社会を痛烈に皮肉ったストーリーも秀逸です。
近未来、徹底した情報管理社会の中で、ヒーローを夢見る情報記録局の局員が、夢と現実が交錯する中で騒動に巻き込まれていく姿を描いています。
情報記録局のタイプライターの印字ミス(ハエが落ちてシミになる)によって、平凡な1人の男が凶悪なテロリストとして誤認逮捕されてしまいます。
誤認逮捕という失態を演じてしまった情報記録局ではこれを隠蔽するために動きだし・・・・といった感じで話が進んでいきます。
途中、局員が見る夢のシーンが何度も織り込まれるのですが、複雑に絡み合う現実のストーリーと相まって何とも悪夢的というか幻想的な雰囲気があります。
近未来の管理社会を描いているところで、ジョージ・オウェル原作の映画「1984」と比較されることがありますが、
僕はこっちの方が断然好きです。
主演のジョナサン・プライスの熱演が光ってます。
本編の中盤でいきなり出てくるロバート・デ・ニーロにもビックリです。

 

 

 

音楽は、マイケル・ケイメン。
ギリアム監督では「12モンキーズ」で、タンゴがフィーチャーされていましたが、
ここではアリ・パホーゾ(アリ・ブラッソ?)のラテン・スタンダード「ブラジル」をフィーチャーしています。
この曲は、サントラの中では3バージョンが収録されていて、ケイト・ブッシュによる大らかで雄大な歌、
ジェフ&マリア・マルダーによる口笛&ルーツ・ロック調バージョン(これサントリーのCMにも使われました)、
そしてラストを盛り上げるカーニバル風のバージョンが収録されています。
アルバム・ラストに収録されたカーニバル・バージョンは、救いようのないラストとは相反する強烈なコントラストをうち出していました。
マイケル・ケイメンが手がける劇伴は、後の「ダイ・ハード」や「リーサル・ウェポン」シリーズを思わせるフレーズがちょっぴり入っていて思わずニンマリ(^^;)
彼の初期のフィルモグラフィーの中でも傑作の部類に属する作品といえるでしょう。
公開当時はサントラ盤が発売されなかったように記憶しています。
優れた作品なので、各方面から要望があってアルバム化されたのだと思います。
ケイメンは「リーサル・ウェポン」では、デヴィッド・サンボーンのサックスをフィーチャーしていましたが、
本作では、キング・クリムゾンにも在籍していたメル・コリンズのサックスをフィーチャーした曲が入っています。
ロックな人脈のある人ならでは起用ですね。
オケはナショナル・フィルが担当、ケイメン指揮の下で名曲「ブラジル」をいろんなアレンジで聴かせてくれます。
アクション・シーンのスコアも迫力も十分です。

 

 

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