SCANNERS
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
音楽:ハワード・ショア
出演:スティーヴン・ラック、ジェニファー・オニール、マイケル・アイアンサイド、パトリック・マクグーハン、ローレンス・デイン、ロバート・シルヴァーマン、チャック・シャマタ
1981年 カナダ映画

 

 

 

今日は週末ですが、ブログを始めた頃の過去記事を修復して再アップします。

 

 

デヴィッド・クローネンバーグ監督初期の傑作サイコキネシスもの。

この映画、幸運にも劇場で鑑賞することが出来たのですが、

有名な頭部爆発シーンなどの秀逸な特殊メイクについてはほとんど予備知識なしに鑑賞したため、

頭が吹き飛ぶシーンとクライマックスのスキャー・バトルには度肝を抜かれた覚えがあります。

特殊効果、特殊メイクは、クリス・ウェイラス、ゲイリー・ゼラーが担当していますが、

サイキックバトルのシーンは最初の出来が今一つで、この世界の巨匠ディック・スミスを招いて撮られたそうです。

ストーリーは、ある浮浪者の男が警備保障会社の中に設立された超能力の研究施設に運び込まれます。

研究施設の科学者から、男はスキャナーと呼ばれる超能力者であり、同じような能力を持つ人間が世界中にいて、その中でも一番狂暴な男がスキャナーたちを集めて世界征服を企んでいると告げられます。

そして、男はその凶悪なスキャナーを始末するよう科学者から要請を受ける・・・・・というお話。

サイキックSFにスパイサスペンスの要素を組み込んだストーリーなので、

ジメジメ、グチョグチョっぽいものが多いクローネンバーグ作品の中にあって、比較的娯楽性の高い内容になっています。

1作目のヒットにあやかってシリーズ化され、全部で5作品が製作されましたが、

2作目以降はたいして面白くなく、設定を拝借しただけの別物と思った方が良いでしょう。

 

 

 

 

音楽は、今や巨匠の仲間入りを果たしたハワード・ショア。

ハワード・ショアはほとんど全てのクローネンバーグ作品を手がけており、

作品ごとにいろんなアプローチを試みています。

「ブルード」では21本の弦楽器だけで曲を演奏し、「クラッシュ」ではエレキギター10数本をフィーチャーし、

「裸のランチ」ではジャズのオーネット・コールマンを起用する等、作品ごとにいろいろ楽しませてくれます。

ただ、たいていのクローネンバーグ作品は主人公が破滅に向かって突き進んでいくことが多いので、

それに呼応した曲が多く、コマーシャリズムに欠けるものが多いようです。

本作品は、その中でも結構インパクトがあって、コマーシャルなスコアです。

まだ低予算の小編成オケによる演奏ですが、プニプニしたアナログシンセの音を効果的に活用し、

近未来のサイキック・ウォーを上手く表現しています。

おっさんのお気に入りスコアだったのですが、公開時にはサントラは発売されず、

1992年になって、同じくクローネンバーグの「ザ・ブルード」、「戦慄の絆」とカップリングされたCDが発売されました。 
その後、本作品単独のプロモ盤なども発売されましたが、

現在ではなかなか入手が難しいかもしれません。

そのかわりと言ってはなんですが、「ザ ・ブルード」とカップリングになったLPが発売されています。

プロモ盤CDは、80分近い収録時間があったので、オフィシャルでリリースされないかなあと期待してます。