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★拍手利用で読む 特別枠公開「恋愛ストレスの解消方法は 27&28話」
★fc2で読む 27・fc2限定パスバージョン / 28・fc2限定パスバージョン
拍手御礼「恋愛ストレスの解消方法は 13」
俺は馬鹿だ。
最上さんを追い返していただなんて!!
「お預かりしていた鍵はお玄関のチェストに置かせていただきますね。本日はお邪魔して、申し訳ございませんでした!では、失礼します!」
予想外の声を聞いてしまったから、思考と身体がフリーズ?
本当に馬鹿だ。
そんな状態になってる暇があったら、さっさと追いかけろ!
ああ、どうして気づかなかった!
服が最上さんぽくも、京子ぽくもない、清掃ユニフォームだったからか?
その上で、キャップとマスクをつけてからか?
それとも、白髪交じりの黒髪だったからか?
もしかして、ちょっと小太りな中年女性に見えたからか?
いや、違う。
いつもなら、気づいていただろう?
日頃、社さんに人外な能力と気持ち悪がられている “キョーコセンサー” をどうして作動させなかったんだ!
この大事な日にスイッチを切るなんて、馬鹿だろう!
最上さんにはとても見えないけど、何故か気になる存在を見つけ出す俺の能力 “キョーコセンサー” 。
それが働いたら、俺は期待する。
まさか、では済まさない。
いつも、ちゃんと確認する。
だって、少しでも彼女に会いたいから。
彼女と話したいから。
彼女の側にいたいから。
その結果を覚えてるだろう?
俺がどうしても気になる謎の人物は、いつだって、最上キョーコだったじゃないか!!
今日は誰にも邪魔されたくない気持ちが大きすぎたのが失敗だったのかもしれない。
たとえ密かに “キョーコセンサー” が働いてくれていたとしても、俺はそのサインに気付けなかった。
今日が掃除サービスの日だったせいもあり、本物だと信じ込んでいたから。
その存在が邪魔で迷惑だと、自分でもビックリするぐらい怒っていたから。
怒りで我を忘れる程ではないが、それに近かったかもしれない。
自分の馬鹿さ加減に嫌気がさすが、今は落ち込んでいる場合じゃない。
必死になって玄関まで走り、靴も履かずに外の廊下に飛び出た。
廊下の遥か先に、ミニワゴンを押しながらキビキビ歩く丸い後ろ姿が見える。
長い廊下を走り、必死に追いつくと、俺はその背中に声をかけた。
「ま、待って!最上さん!?」
エレベータに乗り込まれる前で良かった。
靴だけでなく、部屋の鍵も、車の鍵も、免許証も財布も持たずに飛び出した俺は、階下まですぐには追えなかったから...今このフロアで捕まえられたことに少し安堵しながらも、振り返ってくれない彼女の態度に不安が増す。
まだ、帰ろうとしている?
追い出されたと思っているんだから、当然か...とにかく謝って、部屋に戻ってもらわないと!
「待ってくれ!最上さん!ごめん...でも、俺は...!」
「大丈夫ですよ、気にしないでください」
漸く振り向いてくれたその人は、見た目も雰囲気も別人にしか見えなかったけれど、今の俺の目には最上さんに見えるようになっていた。
そう。ちゃんと見れば、わかるんだ。
大事な恋人だから。好きだから。愛してるから。
だから、怒っているかもしれなくても振り向いてくれて、返事をしてくれたことにより、最大の危機は去ったとホっとした。
とにかく、彼女に会えた。そして話せた。
あとは部屋に戻って、じっくり謝ろう。
許してくれたら、変装が見事すぎて他人だと思ったと笑い合おう。
当初の計画に戻ろう。戻そう。
きっと大丈夫。
そう思い、気を抜いた俺は、また置き去りされそうになった。
失礼しますと言う挨拶だけを残し、彼女はエレベーターに乗り込んだのだ。
「待って!帰らないで!」
俺は閉まる寸前のドアに身体をねじ込み、手前にあったミニワゴンを必死に掴んだ。
命綱のように掴んだワゴンごと、彼女をエレベータの外に連れ出し、許してもらうための謝罪を繰り返す。
「ごめん!ごめん、最上さん!!怒ってるよね?ごめん!本当にすまない!俺が悪かった!お願いだから、許してくれ!」
「..................だから、大丈夫ですってさっき言いましたよね?もう気にして下さらなくて結構です。謝罪も必要ありません」
そう言ってもらっても、許してもらえたとは思えない。
謝罪を拒否する程怒っているのだと思うから。
だから、俺は謝るしかない。
「そう...でも、ごめん...」
「ハァ..................もうよろしいですか?」
「え?」
「私はもうお暇させていただいても?」
「どうして?」
「まだ何かございますか?」
彼女の態度は、仕事は終わりましたけど、まだ何か御用でも?という感じのビジネスライクなものだった。やはり相当怒っているんだ。
貼り付けたような笑顔には、俺への好意などまるで感じられず、心が折れそうになるが、ここで諦めるわけにはいかない。
自分から呼んでおいて「今すぐ帰れなんて」怒鳴られ追い返されたんだから、彼女が怒るのは当然なんだ。
「何かって..................ごめん」
「ごめん、俺が悪かったよ」
「怒鳴るなんて酷いよね。ごめんね?」
「自分から呼んでおいて追い返すなんて、酷い男だよね?」
「やっぱり怒ってるよね?怒ってるなら怒ってるって言ってくれて良いんだよ?もしかして...俺のこと..................嫌いになった?」
繰り返す謝罪に反応がないことで、思わず聞いてしまった答えなど聞きたくない質問。
やっぱり、俺は馬鹿だ。
そんなこと聞いてどうするんだ。
多分最上さんはそんなことは言わない。
もしも思っていたとしても、言わない。
だけど、そう思っていて...それがわかってしまったら、どうするんだ!?
「...別に怒っていません。ですが、どうしても確認されたいのでしたら、そうですね.........嫌いです。これでよろしいですか?では、本当にお暇させていただきますね。失礼します」
まさか、言われるなんて思わなかった。
聞いてしまうなんて、思わなかった。
俺はどうしたらいい?
でも!でも!
とにかく、帰しちゃいけない。
このまま離れたら、彼女を失う。
嫌われてても。
俺は好きなんだ。
俺は愛してるんだ。
俺は一緒にいたいんだ。
これは罰なのか?
役者の癖に、彼女の仕事振りに腹を立てていたから?
行動には出ていなくとも、嫉妬に駆られて内心彼女を責めていたから?
最上キョーコは俺の恋人だよね?
俺が愛してる、俺だけの最上キョーコだよね。
俺だけが君に触れて良い男だよね?
なのに、君は!許せない!
だから、今すぐ俺が一番にならないといけない。
そんな関係になるべきだ。
俺を受け入れるべきだ。
そう思っているのがわかってしまった?
君に嫌われるぐらいなら、仕事のことはもう考えないようにする!
仕事で他の男と触れ合ったのは仕方がない。
俺より先に、俺が触れさせてもらえない君に...
濃厚なキスをして、素肌に触れられていたけど、仕事なんだから仕方がない。
だから、嫌わないで?
俺を捨てないで?
俺から離れないで?
お願いだ。
「どうして、泣いているんですか?」
何も言えない俺は、彼女を見つめ、泣くしかできない無力な男だった。
<14話に続く>
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俺は馬鹿だ。
最上さんを追い返していただなんて!!
「お預かりしていた鍵はお玄関のチェストに置かせていただきますね。本日はお邪魔して、申し訳ございませんでした!では、失礼します!」
予想外の声を聞いてしまったから、思考と身体がフリーズ?
本当に馬鹿だ。
そんな状態になってる暇があったら、さっさと追いかけろ!
ああ、どうして気づかなかった!
服が最上さんぽくも、京子ぽくもない、清掃ユニフォームだったからか?
その上で、キャップとマスクをつけてからか?
それとも、白髪交じりの黒髪だったからか?
もしかして、ちょっと小太りな中年女性に見えたからか?
いや、違う。
いつもなら、気づいていただろう?
日頃、社さんに人外な能力と気持ち悪がられている “キョーコセンサー” をどうして作動させなかったんだ!
この大事な日にスイッチを切るなんて、馬鹿だろう!
最上さんにはとても見えないけど、何故か気になる存在を見つけ出す俺の能力 “キョーコセンサー” 。
それが働いたら、俺は期待する。
まさか、では済まさない。
いつも、ちゃんと確認する。
だって、少しでも彼女に会いたいから。
彼女と話したいから。
彼女の側にいたいから。
その結果を覚えてるだろう?
俺がどうしても気になる謎の人物は、いつだって、最上キョーコだったじゃないか!!
今日は誰にも邪魔されたくない気持ちが大きすぎたのが失敗だったのかもしれない。
たとえ密かに “キョーコセンサー” が働いてくれていたとしても、俺はそのサインに気付けなかった。
今日が掃除サービスの日だったせいもあり、本物だと信じ込んでいたから。
その存在が邪魔で迷惑だと、自分でもビックリするぐらい怒っていたから。
怒りで我を忘れる程ではないが、それに近かったかもしれない。
自分の馬鹿さ加減に嫌気がさすが、今は落ち込んでいる場合じゃない。
必死になって玄関まで走り、靴も履かずに外の廊下に飛び出た。
廊下の遥か先に、ミニワゴンを押しながらキビキビ歩く丸い後ろ姿が見える。
長い廊下を走り、必死に追いつくと、俺はその背中に声をかけた。
「ま、待って!最上さん!?」
エレベータに乗り込まれる前で良かった。
靴だけでなく、部屋の鍵も、車の鍵も、免許証も財布も持たずに飛び出した俺は、階下まですぐには追えなかったから...今このフロアで捕まえられたことに少し安堵しながらも、振り返ってくれない彼女の態度に不安が増す。
まだ、帰ろうとしている?
追い出されたと思っているんだから、当然か...とにかく謝って、部屋に戻ってもらわないと!
「待ってくれ!最上さん!ごめん...でも、俺は...!」
「大丈夫ですよ、気にしないでください」
漸く振り向いてくれたその人は、見た目も雰囲気も別人にしか見えなかったけれど、今の俺の目には最上さんに見えるようになっていた。
そう。ちゃんと見れば、わかるんだ。
大事な恋人だから。好きだから。愛してるから。
だから、怒っているかもしれなくても振り向いてくれて、返事をしてくれたことにより、最大の危機は去ったとホっとした。
とにかく、彼女に会えた。そして話せた。
あとは部屋に戻って、じっくり謝ろう。
許してくれたら、変装が見事すぎて他人だと思ったと笑い合おう。
当初の計画に戻ろう。戻そう。
きっと大丈夫。
そう思い、気を抜いた俺は、また置き去りされそうになった。
失礼しますと言う挨拶だけを残し、彼女はエレベーターに乗り込んだのだ。
「待って!帰らないで!」
俺は閉まる寸前のドアに身体をねじ込み、手前にあったミニワゴンを必死に掴んだ。
命綱のように掴んだワゴンごと、彼女をエレベータの外に連れ出し、許してもらうための謝罪を繰り返す。
「ごめん!ごめん、最上さん!!怒ってるよね?ごめん!本当にすまない!俺が悪かった!お願いだから、許してくれ!」
「..................だから、大丈夫ですってさっき言いましたよね?もう気にして下さらなくて結構です。謝罪も必要ありません」
そう言ってもらっても、許してもらえたとは思えない。
謝罪を拒否する程怒っているのだと思うから。
だから、俺は謝るしかない。
「そう...でも、ごめん...」
「ハァ..................もうよろしいですか?」
「え?」
「私はもうお暇させていただいても?」
「どうして?」
「まだ何かございますか?」
彼女の態度は、仕事は終わりましたけど、まだ何か御用でも?という感じのビジネスライクなものだった。やはり相当怒っているんだ。
貼り付けたような笑顔には、俺への好意などまるで感じられず、心が折れそうになるが、ここで諦めるわけにはいかない。
自分から呼んでおいて「今すぐ帰れなんて」怒鳴られ追い返されたんだから、彼女が怒るのは当然なんだ。
「何かって..................ごめん」
「ごめん、俺が悪かったよ」
「怒鳴るなんて酷いよね。ごめんね?」
「自分から呼んでおいて追い返すなんて、酷い男だよね?」
「やっぱり怒ってるよね?怒ってるなら怒ってるって言ってくれて良いんだよ?もしかして...俺のこと..................嫌いになった?」
繰り返す謝罪に反応がないことで、思わず聞いてしまった答えなど聞きたくない質問。
やっぱり、俺は馬鹿だ。
そんなこと聞いてどうするんだ。
多分最上さんはそんなことは言わない。
もしも思っていたとしても、言わない。
だけど、そう思っていて...それがわかってしまったら、どうするんだ!?
「...別に怒っていません。ですが、どうしても確認されたいのでしたら、そうですね.........嫌いです。これでよろしいですか?では、本当にお暇させていただきますね。失礼します」
まさか、言われるなんて思わなかった。
聞いてしまうなんて、思わなかった。
俺はどうしたらいい?
でも!でも!
とにかく、帰しちゃいけない。
このまま離れたら、彼女を失う。
嫌われてても。
俺は好きなんだ。
俺は愛してるんだ。
俺は一緒にいたいんだ。
これは罰なのか?
役者の癖に、彼女の仕事振りに腹を立てていたから?
行動には出ていなくとも、嫉妬に駆られて内心彼女を責めていたから?
最上キョーコは俺の恋人だよね?
俺が愛してる、俺だけの最上キョーコだよね。
俺だけが君に触れて良い男だよね?
なのに、君は!許せない!
だから、今すぐ俺が一番にならないといけない。
そんな関係になるべきだ。
俺を受け入れるべきだ。
そう思っているのがわかってしまった?
君に嫌われるぐらいなら、仕事のことはもう考えないようにする!
仕事で他の男と触れ合ったのは仕方がない。
俺より先に、俺が触れさせてもらえない君に...
濃厚なキスをして、素肌に触れられていたけど、仕事なんだから仕方がない。
だから、嫌わないで?
俺を捨てないで?
俺から離れないで?
お願いだ。
「どうして、泣いているんですか?」
何も言えない俺は、彼女を見つめ、泣くしかできない無力な男だった。
<14話に続く>
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