絵を買うべきではないという人がいて(2) | 画家の雑記帳

絵を買うべきではないという人がいて(2)


まず、第1話の最後に触れた、
山本冬彦氏の雑誌記事
『日経アソシエ」誌の
美術エッセイを
そのまま引用にて紹介します。

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「観賞よりも身銭を切って購入を」

まず、
「ゴルフを1回、ブランド品を1つ
我慢してアートを買えば・・」
という提議のもと、
3つにわけて書かれている。。

[人生が豊かになる]
お気に入りの絵が飾ってある住空間は
それだけで、生活に潤いをもたらしてくれる。
季節で気分によって絵を掛け替えれる
ようになれば、なおさらだろう。
アート購入を契機に、人脈も広がる。
同好の士や画家、そして作品を買った
若手作家との交流は、仕事関係の人脈とは
全く異なる利益と情報をもたらしてくれる。
新しい世界に触れ、視野を広げるきっかけ
となるはずだ。

[自分の頭で考えるようになる]
ネット社会の進展に伴い、答えは検索
して見つけるものと考える人が増えている。
だが、評価の定まった名画と違い、
無名の若手作家の作品を買う時に
頼りになるのは自分の感性だけ。
正解もなければ、収集できる情報も少ない。
そうした状況で判断を下すことに不慣れな
人にとって、画廊を巡って絵を選ぶことは
自分の頭で考える格好の訓練になる。
その価格でその作品は買うに値するかどうか
真剣に悩んでみよう。

[文化的素養が身につく]
たとえ安くても、世界に一つだけのマイアート
を手にする喜びは大きい。そこからアートへの
関心が深まっていくはずだ。国際的なビジネス
の場では、文化を語る言葉を持たない人は
軽視される。1枚の絵を購入することは、
文化的素養を持つビジネスパーソンへの第一歩
だ。また、美大出身者でプロとして食べていける
人はごく一握り。アート購入は、若手作家を育て
日本の文化レベルを上げる一躍にもなる。

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(私の見解)

これが、アートソムリエとよばれ
美術界に認められた第一人者の弁である。

まさに、日本でも世界のどこでも、こうした
鑑賞者の視点こそ、美術文化を底辺から
興隆させ、「アート」のその時代その時代を育み、
後世へと橋渡しもしてゆく大きな力、支えと
なってゆくものと僕もそう思う。。

所詮、一部の美術評論家などの唱える、
絵は鑑賞こそが芸術を支えるもので、
絵は買う対象ではない、
画家が絵を売ることや鑑賞者が絵を買うのも、
「芸術の成長」にならないという、
そういう美術論は、結局、
たんなる綺麗ごとであり、身銭をきることも
できないだけならいいが、
それを出来ないことへの正当化を
わざわざ芸術論化した、
観念の遊戯による机上の理論
としか感じられない。。
売り買いがあるからこそ、
美術館も、個人や画廊、オークションから購入
することができ、例えば古い時代のオランダの画家、
ゴッホの「ひまわり」も、安田美術館などで
私たちはその鑑賞に浴することもできるのである。。
作家は自分の美術館など到底もてない。
頻繁に個展することもできなければ、また
個展にたびに新しいものも出してゆくもの。
その中で、売る事で世に普及し、それだけの画家に
なった場合は、後世、いろんな美術館や画廊にも
置かれ、さらにいろんな人に見てもらえる。
画家が売る事をせず、ひたすらに自宅に抱え込み、
というものなら、そもそも絵画の鑑賞は、
できない。というか、たいていの画家は
個展費用さえだせなくなる。画家もまたボランティア
ではないのである。もちろん単なる商人ではないが。
なので、「鑑賞」のみでいいではないか
という理論は、綺麗ごとに感じるのである。

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(雑誌記者の言葉)

山本冬彦さんは30年以上にもわたり、
給与所得だけで1300店に及ぶ
美術品コレクションを築いた。
最近ではアート講座やギャラリーツアーを企画、
若いビジネスパーソンがアートを出会う
機会を作っている。
その山本さんは美術の世界に親しむ方向として、
無名の若手作家の作品を買うことを勧める。
若手なら2万~3万で購入できる絵もあり、
会社員にも手が届く。
評価の定まっていない若手だけに、
作品の良し悪しは自分で判断するしかない。
「美術館で名画を鑑賞するのは
名所旧跡を訪ねるのと大差ない。画廊を
巡って無名作家の絵を見比べ、身銭を
切って買うからこそ、絵と真剣勝負ができる」
と山本さんは言う。
収集作品を保管する「隠れ家」を訪れた人
に、山本さんはよく「どの絵がいい」と聞く。
「たいてい言葉が出てこない。どんなものにも
正解があると思っているから、間違えて
恥をかきたくないと黙ってしまう。
正解なんてないのにね」。
2万~3万はビジネスパーソンの自己投資として
決して高い額ではない。
1枚の絵が奥深い世界の扉を開けてくれる。

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(僕からの、批評への批評)

最後に、前記事のでの評論家の方、
僕の個展での批評もしてらっしゃる。
一言だけ言わせてもらえば・・
少なくとも、人の絵を、事前に断りもなく
勝手に同じアメブロ内で、
「素人絵」と評するのはまだいいのだけど(笑)、
そもそも美術批評をするなら、
あまり、まだ画歴の浅い無名の我々や、
自身が「素人」と思うなら、その相手とせず、
美術ファンならそこそこ知られている、
評価のすでにでている中堅作家への批評で、
自身の「絵画批評」を試していただきたいもの。。
もうちょっと待ってよ、
あと5年くらいは・・と思う(笑)
また、「作品の人気より、ブログ人気によるもの」
との見解の言葉が冒頭にあったが、
(もちろん、僕はまだまだ修行の身ではあるが)
少なくとも小品にして数万するものが
若い世代の方に何枚か売れたり、
中には30万する絵もご購入いただいたが、
ただのブログ人気だけで、何人もの人達が、
それぞれ何万円も出して買って頂けるものなのだろうか・・。
また、静岡はじめ、あちこち地方からも
時間とお金をさいて、寒いこの冬、
この個展にたくさん来てくれて
そのこともすでに詳しく紹介したが、
これもただのブログ人気なのだろうか。。。
まぁ、いいけど(笑)

所詮、買うも、売るも、買わざるも
人の勝手ということ。
ただ、そんな理屈をいうなら、
画廊めぐりすべきではないとも言える。
絵を買わざるべきなどと公言と主張する人間を
画廊は入れたくないのだから。。
いろんな画廊で、タダで見せてもらっておいて
その言はないだろうと言いたい。。

(批評家の方へ)
批判も大歓迎とありましたので、
最後に、僕なりの意見も書かせて頂きました。
ただ、後からきちんと・・
ご自身の「絵を買わざるの弁」の記事に際して、
僕のほうへもわざわざメッセージくれたり、
僕の個展の批評も、
べつに軽はずみな気持ちもなく
やってもらったものと、そう思っているし、
謙虚に受け止めてる部分も大きいので、
何ら悪意も持っていなく、またこれからも
読みにいきたいブログと思ってることを、
ここに記しときます。。