森陶岳と伝統
寒風にて一門の皆様がお揃いの時に「如何に身に付けたものを棄てて行く事が出来るかですよ。」とお話になりました。
僕に向かって話しているのに、それは明らかにお弟子さんに向けて発している様子です。
古きを温めて(あたためて)、新しきを知るの言葉の通り、森陶岳先生は陶芸の道を選んでからずっと、古いものの持つエネルギーの解明に心血を注いで来ました。
70歳を越えて、それを棄てて行くとお話になりました。
もとより、身に付けていないと棄てるものも無いのは当然で、蛇足を承知で「身に付けているから、棄てることが出来るのですね。」と念を押すと、「結局、身に付けることとそれを棄てることは同じ事ですよ。」と話されました。
一門の皆様は黙って聞いていました。