ついこの間まで社会主義国で、時代物の蒸気機関を使い工場にベルトを張り巡らせ何でも人海戦術だったインドが、瞬く間にIT大国となり自国で自動車を完全生産できる新興工業国になった。

タタの28万円カー「ナノ」

 しかし、貧富の差は激しくタタ財閥の自動車工場が地元民の反対で生産中止に追い込まれたり、児童労働など深刻な社会矛盾が蓄積しているようです。

 8月30日の産経新聞朝刊7面国際、「インド万華鏡」のコラムに「養子斡旋の悪徳業者」という題で『誘拐された女児が豪州に』という記事があった。

オーストラリアのコアラ

 先日、日本人男性がインドの代理出産で生まれた子供の入国をめぐり問題になったが、インドの養子縁組にはやはり大きな問題があるらしい。

 オーストラリアの夫婦に斡旋されたインド人養子が、インドでギャング団に拉致された幼児だったとタイム誌が報じた。

シドニーのオペラハウス

 誘拐されて養子仲介業者に売られたインドの幼児の人数は少なくとも30人。仲介業者から偽の名前を与えられ他人の写真を親と偽り、私生児としてオーストラリアへ養子斡旋された。

ガンジーとチャンドラ・ボース

 このインドの業者には10年以上前から誘拐疑惑があったが、なぜかずっと放置。捜査で見つかった業者のファイルは120件、13件はオーストラリアだったがその多くはアメリカへの養子。アメリカのインド人養子の受け入れは毎年350~400件もあり、実際に誘拐された幼児はもっと多いのだろう。

赤いサリー

 タイム誌が報じた女児は2歳で誘拐されて、すでに7年経っており現在は9歳になっている。インド・チェンナイの両親は帰ってきて欲しいが、インドに戻るかオーストラリアに留まるかは、本人の意思に任せると言っているらしい。

 はじめは美談だったマドンナの2人のアフリカ系養子も施設の500人の子供の中から自由に選ぶ特別待遇で、現地マラウイでは国際養子が違法のうえ両親の同意を得ていなかった事まで発覚して国際問題になったのとよく似ている。

 NHK朝の連ドラ「瞳(ひとみ)」でも幼児虐待などを伴う養子縁組の難しさを扱っているが、国際養子は人種問題も絡むので国内の縁組に比べ子供に大きな負担を強いるようです。

緑のサリー

 以前、日本でも戦後の混乱期に本人や両親の了解もなく施設の都合でアメリカに養子縁組で送り出され、大人になってルーツをたどろうとしても、斡旋した施設はなくなり当時の関係者も見つからず苦しむ男性のドキュメンタリーがありました。

 帰国子女や中国東北部(旧満州)生まれ、在日外国人などで言葉に問題がなくても、自分が日本人なのかと思い悩む事が多いらしい。

ブッダガヤの大菩提寺

 一般人のルーツはせいぜい100年くらい、江戸時代まで遡って家系が分かればよいほうだ。普通は3代前くらいまでたどるので精一杯、それでも人が生きて行くには先祖の物語が必要なのかも知れない。

 国内の児童養護施設は資金不足で建物の老朽化が深刻。また、犯罪に巻き込まれる子供も多く、虐待が家庭内の問題とされていて、これまでは発覚し難かっただけのようだ。

 日本はハーグ条約1993年「国際養子縁組に関する子の保護及び国際協力に関する条約」を批准していない上、国際養子縁組に関する法律すらない。

 欧米から日本は法規制がないので養子縁組の手続きが簡単で、国際養子縁組で高額な斡旋手数料を要求する業者による人身売買が横行していると指摘されている。

西ベンガル州のトラ

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養子斡旋の悪徳業者 誘拐された女児が豪州に
8月26日8時0分配信 産経新聞【インド万華鏡】

 日本人男性がインドで契約した代理出産で生まれた子供の法的扱いをめぐり、養子縁組問題がクローズアップされたが、今度はインドの街中で誘拐された幼児が、オーストラリア人夫婦に養子として引き取られていたことがわかり、インド、オーストラリア両国が捜査に乗り出した。

 少なくとも30人のインド人幼児がギャングに拉致され、1人1万ルピー(約2万6000円)で養子仲介業者に売り渡されていたという記事を先週末、米誌タイムが報じたのがきっかけだ。

 同誌によると、業者はインド南東部タミル・ナドゥ州の州都チェンナイ(旧マドラス)にあるマレーシア・ソーシャル・サービス(MSS)社。インド警察の調べでは、同社社員が連れてこられた子供に違う名前をつけ、養子縁組を委託した母親として、関係のない女性の写真を用意。さらに子供を手放す理由として婚外子であるという、うその説明をしていたという。

 オーストラリアの地元紙によると、タイム誌がインドから誘拐されたと報じた女児は当時2歳だったが、現在9歳で豪クイーンランド州に別の名前で暮らしていた。問題は、インド側の業者に対する規制が弱いだけでなく、オーストラリアや、米国などからも養子縁組を求め、MSS社のような業者を支援するケースが多いことだ。

 今回の場合、10年以上前からMSS社が子供を拉致しているとの疑惑が取りざたされていたにもかかわらず、クイーンズランド州政府の下部局が養子受け入れを認めていた。

インドのタジマハール

 MSS社の家宅捜索では外国人との養子縁組を記した120件のファイルがみつかり、うち13件がオーストラリア人だったという。

 オーストラリアよりも多いのが米国だ。米国務省の統計によると、インドからの養子受け入れのために発行したビザは1989年から2004年までで年平均350件。04年1年間では406件に上る。

 インド人の子供の養子縁組では米国の歌手のマドンナや女優のアンジェリーナ・ジョリーといった有名人が、養子を探していることが話題になったが、こうしたことが、インドでの養子あっせんビジネスに拍車をかけている面が強い。

 受け入れ側の家族については、豪州や米国でもそれぞれの国で規定がある。インド側も政府の承認を受けた業者でなければ、外国人との養子縁組はできないとされている。しかし、今回のMSS社の経営者は、誘拐された子供だったとは知らなかったとして容疑を否定し、保釈された。

 チェンナイにいる生みの親はタイム誌に、7年が過ぎてしまったこともあり、「帰ってくるなら抱きしめてあげたいけれど、今住んでいるところにいたいと言うなら、元気でいてほしいと思うだけ」と話す。

 一方でオーストラリアの新しい両親は、これまで育ててきた娘が、実は誘拐されてきたことを知り、憔悴(しょうすい)しきっているという。(シンガポール 宮野弘之)

オーストラリアのレッドカンガルー

インドの代理出産 法整備待たず一大産業化
8月13日8時0分配信 産経新聞

 インドで代理出産契約を結んだ日本人夫婦が、子供の出生を待たずに離婚したため、子供の国籍も決まらず、インド国内の病院で過ごしているというニュースが連日、現地メディアをにぎわしている。

 インドでは代理出産は、貧しい女性が比較的容易に多額の報酬を得られるうえ、米国などに比べ安価なため海外からの依頼が急増し、今やビジネスと化している。

 一方で生まれた子供の権利などをめぐる法整備の議論は始まったばかり。今回のケースはそうした最中のことだけに一層、注目を集めている。(シンガポール 宮野弘之)・・・

マドンナとガイ・リッチー夫妻

マドンナ、50歳の誕生日プレゼントに養子をもらう!
2008年8月28日 (木) セレブ最新情報
HOLLYWOOD&CELEB NEWS
(Gyao×CINEMACOMIN’SOON)
 左足首を捻挫し、23日から始まったワールド・ツアーの滑り出しも不調なマドンナに、明るいニュースが飛び込んできた。

 マドンナが、マラウィから2人目の養子で3歳の女の子マーシーをもらうことが、正式に決定した。政府関係者が明らかにしたもの。

 この養子縁組については、マーシーの親族の反対もあった上、マドンナとガイ・リッチー夫妻の離婚問題などがあってそれどころではなかったため長引いたが、今は落ち着いたよう。

 50歳の誕生日プレゼントとして、以前は養子縁組に反対していたガイが、積極的に動いたようだ。

マドンナの養子縁組許可
2007/05/29 02:14更新 産経イザ!

 アフリカ南部マラウイの裁判所は28日、地元の農村で生まれた男児(2)との養子縁組を求めていた米人気歌手マドンナに対し、縁組の申請を正式に認める決定を出した。

 同国は外国籍の非居住者による養子縁組を原則的に認めておらず、マドンナの縁組をめぐっては、地元の人権団体などが「特別扱い」と批判。「違法な児童売買を助長する」との意見が出るなど、国内外で論議を呼んでいた。

 男児はデービッドちゃんで、実父のヨハネ・バンダさん(34)は決定に先立ち、共同通信の取材に「後悔はしていない」と語っていた。マドンナは2006年10月、孤児施設に預けられていたデービッドちゃんとの養子縁組を申請。裁判所は暫定的に許可し、実際の養育状況を見てから正式決定するとしていた。・・・(共同)

マドンナ

「国際養子」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 国際養子(こくさいようし)とは、家庭問題(家庭崩壊、ドメスティック・バイオレンス等)が深刻、経済的困窮などの理由で、子供の養育が充分に出来ない家族から、国境を越えて、未成年者を養子として迎えることを指す。送り出す側は、おおむね開発途上国、迎え入れる側は、おおむね先進国であることが多い。

 日本において、養子縁組に関する担当官庁は法務省民事局(及び法務局・地方法務局)、外国籍の養子の日本在留に関する許認可官庁は法務省入国管理局(及び地方入国管理局)になるが、国際養子に関する直接的な法律はない。6歳未満に関して言えば、特別養子とされ、民法に詳細な規定がある。

 1993年の「ハーグ条約」により、手続きの初めから終わりまで、両国の法務当局が責任を負うよう定められている。人身売買ではないとの証明から始まり、法務当局間での養親と養子についてのプロフィール交換、送り出す側は子供の出国までを見届け、迎える側は子供の入国を確認する義務があるとされる。なお、日本はハーグ条約を締結していない。


1993年ハーグ条約に守られる国際養子縁組

ISSJ事務局長 大森邦子
 ISSJは半世紀に及ぶ現場経験から、わが国がハーグ条約「国際養子縁組に関する子の保護及び国際協力に関する条約」の批准をすることを強く願っています。

 日本はハーグ国際私法会議構成国ですが、いまだハーグ条約1993年「国際養子縁組に関する子の保護及び国際協力に関する条約」を批准しておりません。それどころか日本には国際養子縁組法すらありません。欧米の養親希望者たちは日本から養子を迎える理由として、法規制がないので、簡単に子どもを養子縁組できることをあげているのです。

 現在わが国で最も懸念される問題点は、養子が海外の養親の元に行く場合、日本政府のチェックは全く必要無いこと及び、養親候補者に養子を斡旋するとき多額の金銭を養親候補者に請求する斡旋業者が存在していることです。欧米の養子縁組希望者や斡旋業者の間で、日本では国際養子縁組の名のもとに人身売買が行われているといわれる所以です。

 国内の養親に斡旋される場合は、養親候補者が日本の家庭裁判所に養子縁組の申請に行くのは、すでに子どもが斡旋された後なので、家庭裁判所で養親から斡旋業者にいくら支払われたかという事実を把握することは不可能です。

 しかも、わが国がすでに批准している国連の「児童の権利に関する条約」第21条dにうたわれている「国際的な養子縁組において当該養子縁組が関係者に不当な金銭上の利得をもたらすことがないことを確保するための適当な措置をとる(政府訳)。」の不当な金銭上の利得を、例えば斡旋料が不当かどうかの判断基準や不当であるとなったときの罰則規定がありません。

 実父母からの養育が受けられない子ども達が新しい父母の元へお金で買われていくようなことは、どのような事情があるにせよ決して許してはなりません。・・・
(ISSJ International Social Service Japan 社会福祉法人日本国際社会事業団のHPから)


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