<秘剣ウルミ~バスコ・ダ・ガマに挑んだ男(URUMI・インド・2011)>

                           ★★★



こんな映画見ました-URUMI

15日から19日まで、恒例の標記映画祭が渋谷のNHKふれあいホールで開催されています。一般公開の難しいアジア諸国の新作が500円という低料金で見られるので、毎年1回は通っていますが、昨日はインド映画<秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男>とタイ映画<風の音、愛のうた>という全く傾向の違う映画を見て来ました。いずれも本国でも今年公開されたばかりだそうです。




タイトルのウルミというのは鞭のようにしなる長い刀で、敵を切ったり捕縛することが出来、今でも南部インドの武道技では使われているそうです。又、WIKIPEDIAによると、『ヴァスコ・ダ・ガマ(Vasco da Gama, 14691524)は、ポルトガルの航海者で、探検家である。ヨーロッパからアフリカ南岸を経てインドへ航海した記録に残る最初のヨーロッパ人であり、しばしばインドへの航路をヨーロッパ人として初めて「発見」した人物であるとされる。このインド航路の開拓によって、ポルトガル海上帝国の基礎が築かれた。』と記されています。


しかし、バスコ・ダ・ガマ前後3回インドを訪れていますが、インド人の目から見れば、彼は利権目当ての非道な侵略者だったという観点からの映画でした。白人に土地を奪われたアパッチ族から見た西部劇というようなところですが、突然、歌や踊りが挿入されるのはインド映画の常道です。ただ、聞いていても全く区別が解りませんが、この映画では通常のヒンヅー語やベンガル語ではなく、マラヤーラム語という南インドの言葉が使われているそうです。



>ヴァスコ・ダ・アガマの第1次侵略で、藩王だった父を殺されたケルーは、ガマが再びインド総督としてやって来た頃には成長して、秘剣ウルミの達人となっていて、父の仇・ガマ殺害を狙っています。


同じような運命を辿ったイスラム教徒の藩の王女・アイシャとも知り合います。2人は首尾よく、ガマの息子・エステヴァンを捕縛してスルタン(藩主)に差し出し、彼を餌にガマをおびき出して滅ぼそうとしますが、ガマの権力を恐れたスルタンの息子王子は父を殺害し、エステヴァンを釈放してしまいます。ケルーは反ポルトガル勢力を結集し、祖国への反逆王子を殺害し、アイシャに女性と子供の保護を依頼して、部下達とポルトガル軍に攻撃をしかけます。しかし、圧倒的な兵器力の差はどうしようもなく全滅してしまい、それから400年間、ヨーロッパ勢力のインド支配は続くことになります。



インド映画というと歌と踊りが盛り沢山の常套的なラブ・ロマンスが殆どですが、珍しい歴史劇というので大いに期待しました。前後の脈略のない歌と踊りが入るのはいかにもインド映画らしいですが、肝心のアクション・シーンは<レッド・クリフ>のような壮大さを期待したのですが、小隊同士の小ぜりあいのようで規模が小さく、無闇矢鱈とスロー・モーション撮影を多用するので期待外れでした。この映画の監督・サントーシュ・シヴァンの作品は3年前のNHKアジア映画祭で<タハーン~ロバと少年>が公開されて見ていますが、インド高地地帯の雄大な風景と少年の純真な行動を描いた秀作でした。しかし、今回はちょっと勝手が違ったというか、物語の大きさに押し潰されてしまったように見えました。



しかし、志半ばで倒れた織田信長や坂本竜馬が日本人の共感を呼ぶように、憎い侵略者ヴァスコ・ダ・ガマに果敢に挑戦して死んで行ったケルーにインドの人達は拍手喝采するのだろうと思います。この映画では、ケルーがガマを打ち倒した後に壮絶な戦死を遂げたようになっていますが、史実では第3次赴任中にマラリアで死んだことになっています。



それにしても、インドの女優ってだれもが素晴らしい美人で歌も踊りも達者で感心します。