<SISU シス 不死身の男 (SISU・芬・2022)> ★★★★

 

 

AmazonPrimeで第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老いた元兵士とナチス軍小隊との死闘を描いた作品で、“ハリウッド映画<ランボー>に匹敵するバイオレンス・アクション”と紹介されていたで見ました。ただ、私は「ランボー・シリーズ」は全然見ていないので、匹敵するかどうかは判りません。タイトルの「SISU」は、映画の中のセリフでも説明されていますが、フィンランドの言葉で他国語への正確な翻訳は難しいが、“すべての希望が失われたときに現れるという、不屈の精神のような意味”だそうです。

 

>1944年、ナチス・ドイツに国土を蹂躙されたフィンランドですが、老いたアアタミ・コルピはラップランドの荒野で黙々と金鉱探しをしています。彼は、かつて対ソ連戦で300人以上のソ連兵を殺害して”不死身の男“として恐れられていました。遂に掘り当てた金塊を都で換金しようと出発しますが、ヘルドルフ中尉の率いるナチス戦車隊に出会います。トラックの一台には6人のフィンランド女性が捕虜として乗せられています。既にドイツの敗色は濃厚で、へルドルフは金塊を奪って逃亡しようと、撤退命令を無視して執拗にアアタミを追い回しますが、その都度、アアタミは商売道具のツルハシや奪った銃器で対抗して撃退しますが、乗っていた馬は地雷を踏んで死に、彼も重傷を負います。そして遂に追い詰められて逮捕され、金塊は奪われ、彼は吊るし首にされます。しかし、アアタミは死んでおらず逆襲して、捕虜となっていた女性たちを率いてナチス兵を全滅させます。へルドルフは、金塊と共に呼び寄せた飛行機で逃亡を図ります。アアタミはツルハシの先をその飛行機に引っ掛けて飛び乗り、へルドルフとの格闘となり、彼を爆弾と共に地上に突き落とします。飛行機も墜落して爆発しますが、アアタミは一瞬早く脱出に成功します。数日後、ヘルシンキの銀行に現れたアアタミは、窓口に銀塊を拡げて高額紙幣への換金を要請します。

 

いくら不死身と言っても、沼底に潜んで追って来たドイツ兵を殺害して死体から出る空気泡で呼吸したり、地雷原に入り込んで,石を地雷に投げて追って来るドイツ兵を爆死させたり、追って来るドイツ兵のトラックの下にへばりついて行方をくらましたり、吊るし首にされても死ななかったりとやりたい放題で、そのあたりが“ランボー”に匹敵するのだろうと思いました。面白いのは、最後に銀行の窓口で換金を要請するまで、アアタミは一切口を開かないことでした。

 

同じフィンランドのカウリスマキの静謐な作品と両極を占めるような作品で、荒涼としたラップランドの大地を背景に理屈抜きで楽しめる作品でした。