ゴジラは使徒であり、巨神兵である。映画「シン・ゴジラ」 | 忍之閻魔帳

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シン・ゴジラ 庵野秀明


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▼ゴジラは使徒であり、巨神兵だった。映画「シン・ゴジラ」


07月29日公開・「シン・ゴジラ」

怪獣オタクを自認するギャレス・エドワーズが監督を務め
世界各国で興収ランキング1位を記録する大ヒットとなった
2014年版「GODZILLA」に触発されてか、
久々に日本産の『ゴジラ』新作が公開。
「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの庵野秀明が脚本と編集と総監督を、
「ローレライ」「進撃の巨人」の樋口真嗣が監督と特技監督を務める。
長谷川博己、石原さとみ、國村隼ら「進撃」出演者に加え
竹野内豊、大杉漣、柄本明、高橋一生、市川実日子、高良健吾、余貴美子ら
総勢329人もの俳優を起用したお祭り怪獣映画である。
前田敦子、斎藤工、小出恵介、KREVA、片桐はいり、松尾スズキ、三浦貴大ら
ほんのワンシーンしか登場しない役者を探すのも楽しい。
「のぼうの城」繋がりか、犬童一心監督が役者としてカメオ出演し、
「のぼう」主演の野村萬斎がゴジラ(の動き)を演じている。




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KAIJUでも怪獣でもないゴジラ

ゴジラが世界に与えた影響は大きく、往年の怪獣映画のノリを復活させた
ギャレス・エドワーズ版や、劇中に”KAIJU”を登場させた
ギレルモ・デル・トロ監督の「パシフィック・リム」などは
ゴジラチルドレンとも言うべき存在である。
フォロワー達がより潤沢な資金を投じて昔ながらの怪獣映画を作っているなら、
日本が12年振りに作る「ゴジラ」はどこを目指すのか。
私はずっとそこが気になっていた。
正面からガチンコ勝負を挑んでも、勝てる見込みはほぼない。
庵野監督が創り出したゴジラは、
KAIJUでも怪獣でもない、ヱヴァ世代に向けたゴジラだった。




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使徒であり、巨神兵である庵野版ゴジラ像>

生まれた経緯や身体的な特徴は初代ゴジラを引き継いでいるが
本作のゴジラは人類に対し9割の絶望と1割の希望を与える存在として描かれている。
破壊活動を続ける一方で、その体内には再生の芽を宿しているのだ。
これまでのゴジラには見られなかった進化変態といった要素は
「エヴァンゲリオン」の使徒そのもので、
一筋の閃光で全てを薙ぎ払い、辺り一面を炎の海と化す様は
まさに「風の谷のナウシカ」の巨神兵そのもの。
「シン・ゴジラ」には、庵野監督の歴史が全てぶち込まれている。




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<大量の出演者の意味>

300人を超える出演者を起用したのは話題作りの意味が大きかったのだろうが、
有事における日本政府の危機管理能力の低さを炙り出す効果が大きい。
総理大臣以下、大勢の人間が雁首を揃えながら
意思決定ひとつ下すのにどれだけの時間が浪費されるか。
この辺は戦時中の政府の内幕を描いた映画「日本のいちばん長い日」を彷彿させる。

慌てふためくだけでどこか呑気さを残す要人達に見切りをつけ、
現場の人間が独自の判断で動き始めるあたりも非常にリアル。
日米安保や自衛隊の扱い、3.11以降の原発に対する政府の対応にまで踏み込んだ
脚本は厨二臭いところもあるのだが、そこも含めて庵野監督らしい。

ただ、会議のシーンが全体の半分ぐらいを占めていて
肝心のゴジラの登場シーンがご褒美程度になったのは賛否が分かれそう。
会議でのやり取りに見応えがあればまだ良いのだろうが
特撮部分の凝りように対し会議部分はカット割も単調で
パソコン画面を大勢で覗き込むような古臭いやり方を多用するなど工夫がまるでない。
私はこれまで何度か「庵野監督や樋口監督は生身の人間には興味がないんだろう」と
書いてきたのだが、残念ながらそれが今回も出てしまっている。




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<誤解に対するお詫びと、気になった点をいくつか>

公開前に石原さとみ演じるカヨコ・アン・パタースンが
ゴジラのことを「ガッディーラ」と発音していることを「ダメだ」と書いたのだが
これに関してはゴジラの名前の由来に起因していて
本編中ではちゃんと後半「ガッディーラ、いえゴジラ」と言い直していた。
この点について誤解は解けたので素直にお詫びしておきたい。

では気になった点をいくつか。

まず、早口にも程がある。
「ソーシャル・ネットワーク」のテンポを真似たのか、
現場の緊張感を再現したかったのか、登場人物全員がのべつ幕無しに
通常の2倍速(市川実日子は3倍速か)ぐらいで喋り続けるために
これまでの「ゴジラ」(怪獣映画全般)のようにゆったり楽しめない。
オープニングから終盤まで、ずっと聞き耳を立て
神経を集中していなくてはならないのは正直疲れる。

次に「ヱヴァ」にもほどがある音楽。
鷺巣詩郎は活動歴も長く様々な仕事をしているので
これしか出来ないはずはないのに、今作の音楽はあからさまにエヴァ過ぎる。
おそらく意識的に似せるようオーダーされたのだろうが、
それにしても会議のシーンで流れる音楽が
ほぼ「DECISIVE BATTLE」(ヤシマ作戦)なのはやり過ぎだろう。
エヴァファンに媚び過ぎである。
被せ過ぎて台詞が聞き取りにくいし、
ところどころで使用される伊福部昭の音楽とも全く合わない。
音楽に関しては、このキャスティングは失敗だと思う。
私としては、大島ミチルに作って欲しかった。



<庵野チルドレンには最高のゴジラ>

庵野秀明が「ヱヴァ」の箸休めに作った贅沢なファンムービーなので
エヴァ以降の庵野チルドレンにとっては最高のゴジラと言える。
研究序説をそのまま具現化したようなゴジラのパラメータや
野村萬斎が生み出すゴジラの生身感はなかなかのものだが、
いわゆる低年齢層へのフォローは1mmもされていないので
家族で楽しめる怪獣映画からはかなり遠ざかってしまった。

続編を匂わせる終わり方だったが、東宝や庵野監督はどう考えているのだろう。
確か総監督就任の発表時に「一度きり」と書いていたはず・・・。
私としては、この1本限りで終わりにして欲しい。
面白いのは間違いないが、これならゴジラでなくていい。
ゴジラにはやはり、大人も子供もワクワクさせる分かり易さがあって欲しい。

映画「シン・ゴジラ」は本日より公開。