忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


テーマ:
2015年 上半期 映画


▼「Amazon prime day」7月15日開催決定

Amazon プライムデイ Prime day
★07月15日開催:「Amazon prime day」

年会費3,900円で

・お急ぎ便が何度でも無料
・お届け日時指定便が無料
・特別取扱商品の取扱手数料が無料
・家族(本人+2人まで)も一緒に使い放題
・Kindleオーナーライブラリーの利用(1ヶ月1冊無料)

などなど、多くのサービスが受けられるAmazonプライム。
プライム会員の増加を促進するためか、Amazonが7月15日の1日限りで
「Amazon prime day」なるイベントを開催。
世界中のAmazonで同時開催される大規模イベントで、
15日の深夜0時から24時間、続々とセール商品が放出される予定。
Amazonプライムは申し込みから30日間のお試し期間が設けられているので
今のうちに無料体験を申し込んでおき15日に備えるのも手だ。



▼今週発売の新作ダイジェスト


07月01日発売■BOOK:「BRUTUS ブルータス 2015年 7/15 号」
07月01日発売■Blu-ray:「細田守監督 トリロジー BOX 2006-2012」
07月02日発売■Blu-ray+DVD:「トイ・ストーリー・オブ・テラー!」
07月02日発売■Blu-ray:「Mr.インクレディブル MovieNEX」
07月02日発売■Blu-ray:「ウォーリー MovieNEX」
07月03日発売■Blu-ray+DVD:「ヒックとドラゴン 2」
07月03日発売■Blu-ray:「ヒックとドラゴン 2 3D & 2D」
07月03日発売■Blu-ray:「ヒックとドラゴン 1 & 2 Blu-ray-BOX」



▼2015年上半期映画、絶対に観ておきたい珠玉の10+1本

早いもので今年も半分終わってしまった。
2015年の映画はいつになく豊作揃いだった気がするので
毎年年末にやっていたまとめを7月頭の時点で一度やっておこうと思う。

不思議なことに、映画は観賞後にもヒタヒタと染み込み
体内で熟成してから印象が変わることが多い。
時間と共にしみじみと良かったと思う作品もあれば、
逆に時間と共に感動が薄れていくものもあるので、
これから挙げる10本は、あくまでも2015年7月2日現在に感じた
上位10本であることを付け加えておく。

Amazonリンクがあるもの、赤字表記(*Blu-ray化がまだ未定のため)のものは
今回は10作に絞ったので泣く泣く除外したが、いずれも良作である。
年末に逆転している可能性も大いにあり。



<2015年1月公開作品>


09月02日発売■Blu-ray:「おみおくりの作法」
09月02日発売■DVD:「おみおくりの作法」
『おみおくりの作法』

身寄りもなく、孤独死してしまった人々の葬儀を行う
真面目な地方公務員のお話を描いたイギリス・イタリア合作のドラマ。
主演は「シャーロック・ホームズ」でレストレード警部を演じていたエディ・マーサン。
監督はこれが2作目となるウベルト・パゾリーニ。

死後数十日が経過して発見されたビリー・ストークなる老人の人生を
知人や遺族を訪ね歩きながら遡っていく変形ロードムービー。
主人公ジョンの仕事は、故人の生きた証を辿り、
故人の信仰していたスタイルで葬るシンプルなもの。
膨大な時間と手間がかかるし、そこまでして葬った故人が
喜んでいるのか知る術は無い。
非効率との理由でジョンの部署を失くし、まとめて火葬にしようとしている
上司の言い分も理屈として理解はできる。

見返りどころか、お礼の言葉すら期待できない彼の仕事は
世の中で必要なのだろうか。
「故人しか喜ばない」としたら、それは「誰も喜ばない」のと同じなのではないか。
幸せな家庭を築き、子や孫にも恵まれている人からすれば
ジョンの仕事など何の価値もない、経費の無駄遣いかも知れない。
しかし、臨んで孤独死を選ぶ人などいない。
そのことをジョンは知っている。
何故なら、彼もまた孤独の中で生きているからだ。
例え遺体が腐敗するまで発見されなかったとしても、
そのことをジョンは悲しみ、いくらかでも孤独を癒してあげようと努力する。
彼の真心を、どこかで誰かが見てくれているだろうか。
ラストシーンは涙が止まらなかった。




08月05日発売■Blu-ray:「KANO~1931 海の向こうの甲子園」
08月05日発売■DVD:「KANO~1931 海の向こうの甲子園」
「KANO ~1931 海の向こうの甲子園~」

今年で100周年を迎える甲子園を題材にした台湾の映画。
実在の野球チーム『嘉義農林学校野球部』のエピソードを映画化したもの。
日本人監督の下で鍛えられた弱小チームが台湾代表を獲得し、
甲子園初出場ながら見事決勝まで勝ち進む姿が描かれている。
出演は永瀬正敏、坂井真紀、大沢たかお、ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)。
脚本・製作は「海角七号」のウェイ・ダーション。

「球(たま)は霊(たま)なり」の精神で
弱小チームを強豪に育て上げた近藤兵太郎監督(永瀬正敏)と野球部員達との
交流&育成部分にたっぷりと時間を割き、
その溜めが甲子園での激闘を描いた後半に活きてくる
贅沢かつ周到な演出で、トータル180分超えの長尺も納得の仕上がり。

ハリウッドでは定番の差別問題+ヒューマンドラマ路線を全編に貫きつつ、
森田まさのりの「ROOKIES」が持つ少年マンガ的な熱さ(前半)と、
ちばあきおの「キャプテン」や「プレイボール」が持っている
ピュアでドロ臭い野球漫画のノリ(後半)の美味しいトコ取りをしているのだから
これで面白くないはずがない。
チーム9人のうち3人が日本人、2人が漢人(漢民族)、4人が蕃人(台湾先住民)。
混成チームが互いに手を取り合い、汗も涙も枯れるほど流して甲子園を目指す姿に、
老化と共にピュア度がゴリゴリ削られている私ですら泣いた。
日本人(脚本家や監督)ならちょっと気恥ずかしくなる台詞や演出を
何の躊躇もなくストレートに描き切る手法がかえって新鮮。



その他の鑑賞作品
・「トラッシュ! この街が輝く日まで」
・「ビッグ・アイズ」
・「ジャッジ 裁かれる判事」
・「映画 深夜食堂」
・「96時間/レクイエム」
・「シン・シティ 復讐の女神」
・「REC/レック4 ワールドエンド」
・「映画 ST赤と白の捜査ファイル」
・「さよなら歌舞伎町」
・「エクソダス:神と王」
・「アゲイン 28年目の甲子園」
・「ANNIE/アニー」
・「繕い裁つ人」



<2015年2月公開>


発売中■Blu-ray:「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」

「アイアンマン」「アイアンマン2」を撮ったジョン・ファヴローが
製作・脚本・監督・主演の4役を務めたコメディ。
腕は確かだが性格に難ありのシェフ(ファヴロー)がオーナーと対立して店を辞め、
評論家などクソ喰らえとばかりにフードトラックで再起を誓う。

旅を通して父親なりの愛情表現で息子との絆を強くするロードムービーでもあり、
「美味いものは肥る」を地でいくグルメドラマでもあり、
巨漢の男がソフィア・ベルガラやスカーレット・ヨハンソンに
モテまくる恋愛ドラマでもあり、
友のためなら協力を惜しまない親友との友情を描いた
「テッド」風のバディムービーでもありと、
この1本に旨味成分をいくつもミックスした三ツ星クラスの仕上がり。

口コミやtwitterなど、ネットメディアの取り入れ方も非常に上手く
散々笑わせたあとできっちりホロリと落とす鮮やかさは巨匠のよう。
「アイアンマン3」の監督を降りてまで
本作に賭けたファヴローの男気をヒシヒシと感じる。
BGMの選曲がまた素晴らしい。
「アイアンマン」で主演を務めたダウニー・Jr.の友情出演も泣かせるじゃないか。
「レミーのおいしいレストラン」と「テッド」と「ソウルキッチン」を
ミックスしたようなノリと聞いてピンと来た方ならBlu-rayごと買って良し。
父子モノに弱い方ならハンカチも。
手元に置いて何度でも見返したくなる良作だ。




10月07日発売■Blu-ray:「はじまりのうた BEGIN AGAIN」
「はじまりのうた」

アカデミー歌曲賞も受賞した「ONCEO ダブリンの街角で」の
ジョン・カーニー監督による音楽ドラマ。
夢を失いつつある現在の商業音楽市場と、
それでも夢を追い続ける音楽人の想いをスクリーンに閉じ込めた傑作。
サントラはもう何回リピートしたか覚えていないほど聴いた。
出演は「つぐない」のキーラ・ナイトレイ、
「フォックスキャッチャー」のマーク・ラファロ、
作品のコンセプトに共感し、ノーギャラでの出演を快諾した
Maroon 5(マルーン5)のアダム・レヴィーン、シーロー・グリーンなど。

現在の(特に日本の)音楽業界には夢がない。
新人発掘や育成に金などかけていられない音楽プロダクションは、
ヒット曲を多く持つ往年のスターを担ぎ出すことにばかりご執心で、
若手はと言うと、作詞も作曲も、なんなら演奏も自前でやってくれる
シンガーソングライターやバンドばかりを売り込もうとする。
コスパに優れ、奇抜な衣装やメディアに好まれる言動が出来なければ
どんなに才能があっても陽の目を見ない時代。
サム・スミスやアデルといった若手がグラミーを席巻しながらも
ジョン・カーニーが感じている閉塞感は、
日本に居る私達にとってはより深刻な問題だ。
しかし、「終わった」「もうダメだ」では先がない。
ジョン・カーニーは、作品を通してこう語りかける。
「まだやれることはあるんじゃないかな」
「諦めてしまったらそこで終わりだから」

「ONCE」が大好きだったという贔屓目はあるのだろうが
昨年「アバウト・タイム」に感銘を受けた方ならきっと本作の良さも伝わるはず。
映画好き、音楽好きならBlu-ray購入を熱烈大推奨。




07月08日発売■Blu-ray+DVD:「アメリカン・スナイパー」
「アメリカン・スナイパー」

84歳となった現在もハイペースで新作を撮り続ける
ハリウッドの至宝クリント・イーストウッド監督の最新作は、
米海軍のエリート部隊ネイビー・シールズの一員としてイラク戦線で活躍し
実に160人以上を射殺した伝説の狙撃手クリス・カイルの伝記ドラマ。

2001年のアメリカ同時多発テロをテレビで見ていた
ひとりの青年クリス・カイルが、脅威に晒されたアメリカを守るため
ネイビー・シールズの一員となり、一流の狙撃手として活躍する様子を描いている。
本作は、クリスの功績を誉め称える単なるアメリカ万歳映画ではない。
仲間内から”レジェンド”と賞賛され、国内で英雄視される一方で、
愛する妻や子供と暮らす平凡な毎日を完全に失ってしまった
クリスの苦悩こそがメインテーマになっている。
銃弾が標的を撃ち抜くごとに、その反動としてクリス自身の心が少しずつ蝕まれてゆく。
「殺せば殺すほど名声を得る」ことへの違和感が
やがて巨大な火柱となってクリスを丸ごと包み込んでしまうのだ。
911以降、アメリカ全土で大変な患者数になっていると聞くPTSD問題は
英雄と呼ばれる男でさえも例外ではなかったのである。

狂信的な愛国主義者でも殺戮マシーンでもない、
愛する者を守りたかった若者を蝕む『戦争』という名の劇薬。
安全圏に身を置きながら、支持率を横目で気にしつつ
口先で勇ましいことを言うだけの政治家は全員観る義務があるし、
そう遠くない将来、無関係ではいられなくなりそうな私達日本人も
『戦争とは、人が人を殺すことなのだ』と今一度心に刻むために
是非この作品を観て、様々なことを感じ取って欲しい。




08月05日発売■Blu-ray:「幕が上がる ポストカード付き 豪華版」
08月05日発売■Blu-ray:「幕が上がる 豪華版」
08月05日発売■Blu-ray:「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦 ステッカー付き」
08月05日発売■Blu-ray:「幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦」
「幕が上がる」

ももいろクローバーZが主演を務める「幕が上がる」は
角川配給&大林宣彦監督作品がヒットを連発していた頃を思わせる青春映画。
劇作家であり、劇団青年団の主宰でもある平田オリザの
小説「幕が上がる」を本広克行が映画化したもの。

私はももクロの誰ひとりとして素性を知らないし、
インタビューを見たり聴いたりしたこともない。
私の知るももクロは常にハイテンションで、「わたしたちー」と自己紹介をした後に
耳触り一歩手前のキンキン声で元気一杯に歌って踊っている。
そんな彼女達にもきっと様々な葛藤があって、
「自分の望む幸福」と「周囲に望まれる幸福」を天秤にかけながら
幕の上がった舞台で「ももいろクローバーZ」を演じているのだろう。
いつの世も、アイドルとはそういう存在なのだ。
演劇部の5人が励まし合ったり慰め合ったりしながら前に進み、
問題をひとつクリアするごとに輝きを増していく過程は
ほとんどドキュメンタリーのよう。
「誰も知らない」の柳楽優弥を初めて見た時のようなインパクトを
この映画ではももクロメンバー全員が持っている。
「明るく元気なももクロ」を一度リセットするべく
本格的な芝居に挑戦したメンバーと「踊る大捜査線の」を払拭すべく
全力を注いだ本広監督のタッグによって、本作はアイドル映画史に残る傑作となった。

この映画で忘れてはいけないのが黒木華。
野田秀樹や蜷川幸雄に鍛えられた舞台女優としての才能が
スクリーンで開花していて、「告白」の松たか子を思わせる。
映画女優としての彼女しか知らない方は随分と驚かれたのではないか。
妄想のシーンで演じていた鬼演出家の態度が蜷川そのもので大笑いした。
相当あの調子でしごかれたのだろう。

私の中では、女子高生+演劇映画の最高峰として君臨していた
「櫻の園」(中原俊監督、ただし1990年版のみでリメイク版は除く)に比肩する作品。



その他の鑑賞作品
・「フォックスキャッチャー」
・「アナベル 死霊館の人形」
・「マッド・ナース」
・「ミュータント・タートルズ」
・「きっと、星のせいじゃない。」
・「くちびるに歌を」
・「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」
・「娚の一生」
・「悼む人」



<2015年3月公開>


10月02日発売■Blu-ray:「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
10月02日発売■DVD:「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

第二次世界大戦でドイツ軍が使用した史上難解と呼ばれる
暗号機「エニグマ」の解読に挑んだ天才数学者アラン・チューリングの
波乱に満ちた人生を映画化したもの。
主演は「SHERLOCK」のベネディクト・カンバーバッチ。

解読不能と言われたエニグマを解き明かしたのが
クロスワードパズルが得意なひとりの数学者であったこと。
さらに、今や私達の生活に欠かせないコンピュータの産みの親でもあったことを
どれだけの人が知っているだろう。
エニグマの解読によっていくつもの計画を未然に阻止し、
何万という人々の命を救ったアラン・チューリングが
英雄として語られていないのは何故なのか。
「The Imitation Game(原題)」のタイトルが指す
『Imitation』とは、暗号化されたドイツ軍の奇襲戦法や
仕事内容を隠して軍に協力していた人々の生活、
セクシャリティをひた隠しにしたアランの生き様を指している。

解読が遅れれば遅れるほど、日々多くの命が失われる。
ドイツ軍ではなく時間と闘ってきたアラン達にかかる重圧は相当なものだったに違いない。
「クリストファー」と名付けられた巨大な解読機が発する
ガシャン、ガシャンという規則的なリズムが
ターゲットにされた人々の命の期限にも思えて、見ているだけで胸が苦しくなった。

暗号解読までのプロセスを描いた戦争映画と思わせておいて、
実は異端であるが故に社会から弾かれてしまった男の悲哀に焦点を合わせ、
マイノリティ差別がまかり通っていた時代への批判と贖罪で〆る秀逸な脚本。
スピーディかつ重厚な演出、カンバーバッチら出演者の絶妙なチームプレイ。
今年のオスカーは「バードマン」が持っていったが、
私的には本作がオスカーを穫っていても何ら不満はないし、
むしろ何故穫らなかったのだろうかと首を傾げるほどに素晴らしかった。



その他の鑑賞作品
・「博士と彼女のセオリー」
・「ジェサベル」
・「ソロモンの偽証 前篇・事件」
・「唐山大地震」
・「ジュピター」
・「忘れないと誓ったぼくがいた」
・「イントゥ・ザ・ウッズ」




★Amazon サマーセール 開催中


<2015年4月公開>


09月25日発売■DVD:「パレードへようこそ」
「パレードへようこそ」

1984年、サッチャー政権下の英国で
実際に起きた感動のエピソードを映画化したドラマ。
炭坑が続々と閉鎖され、生活苦に喘ぐ炭坑夫達が
長期間のストライキを闘っている時、ニュースを見た同性愛者の青年が
彼等の支援を思いつく。街角で始めた募金活動は仲間の協力を得て拡大し、
偏見と闘う者同士が固い絆で結ばれてゆく。

ある意味誰よりも遠い存在であるはずの
炭坑夫とゲイの橋渡しをしたのは、やはり女性。
マイノリティ(炭坑夫)によるマイノリティ(ゲイ)差別を打ち砕いたのは
理屈では割り切れない母性で全てを受け入れる母親であり、
興味津々でまだ見ぬ世界に飛び込んでいけるおばちゃんなのだ。
HIVに対する正しい認識が足らなかった1980年代、
同性愛者を未確認生物のように恐れ嫌っていた時代に
こうして心を通い合わせた人達がいたからこそ
「人が人を想う気持ちに性別は関係ないのだ」とする
価値観が世界中に広がり、ここ日本にまで波及しようとしているのだろう。

昔気質の職人達と徐々に距離を縮めていく展開は
キウェテル・イジョフォーの出世作「キンキー・ブーツ」によく似ている。
物語に一段と深みを与えているのが、
老炭坑夫を演じたビル・ナイと、その妻のイメルダ・スタウントン。
少し引っ込み思案な性格の夫の背中を勢い良く押す
ちゃきちゃきのおばちゃんを演じたイメルダ・スタウントンが特に素晴らしかった。
「イミテーション・ゲーム」に続き、過去の過ちを繰り返してはならないとする
英国らしい視点が心地良く温かい傑作。



その他の鑑賞作品
・「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
・「ワイルド・スピード SKY MISSION」
・「シンデレラ」
・「海にかかる霧」
・「セッション」
・「龍三と七人の子分たち」
・「ジヌよさらば ~かむろば村へ~」
・「エイプリルフールズ」
・「ソロモンの偽証 後篇・裁判」
・「寄生獣 完結編」
・「王妃の館」




<2015年5月公開>


「あん」

ドリアン助川の同名小説を「2つ目の窓」の河瀬直美監督が映画化したドラマ。
カンヌではやたらと高い評価を受けるものの、
私とはどうにも相性が悪い河瀬監督なのだが
原作付きであること、樹木希林、市原悦子、永瀬正敏といった役者陣に
期待して観に行ったところこれが逆転ホームラン。
河瀬アレルギーが一気に完治してしまいそうなほど泣けた。

小さなどら焼き屋を任されている雇われ店長・千太郎(永瀬)と
そこで働かせてと頼みに来た老婦人・徳江(樹木)の交流を描きつつ、
同時に徳江が抱える癩病=ハンセン病の問題も浮き彫りにする。
シーンのひとつひとつが単に美しいだけでなく、
膨大な情報量を持っていることに驚かされる。
交わされる言葉(台詞)は極限まで削られているのに、
千太郎や徳江のちょっとした表情が何よりも雄弁に物語っているのだ。

ハンセン病のため世間から隔離された生活を送ってきた徳江と、
莫大な借金を肩代わりしてくれたオーナーの命令には背けない千太郎。
思うままの人生を選択できなかった二人が心を通わせ、
しかし世間はそんな二人を引き裂こうとする。
どら焼き屋にやってくる女子中学生(内田伽羅、本木雅弘の娘で、樹木の孫)も
無責任な母親のもとで息苦しく生きていて
三人の環境を象徴しているのが、少女が持っている鳥籠なのだろう。

年齢からして徳江はもう取り戻せない、千太郎は取り戻そうにも問題山積み。
ならば、これから人生を切り拓くことの出来る少女が
もう少し強く希望を指し示す存在で居て欲しかった。
これは私の個人的な望みであって、物語としてこの結末が悪いわけではない。

絶品という表現しか出てこない永瀬正敏と樹木希林の芝居。
二人揃って今年の映画賞は総なめでも不思議ではない。
監督から依頼を受けて秦基博が書き下ろした主題歌「水彩の月」も
映画を観た後に聴くとさらに沁みる。
今のところ、私の中では2015年度の邦画のベスト1。

「たとえ何者にもなれなかったとしても、誰にも生まれてきた意味があるのよ」

大きな功績を遺すことなく人生の折り返し地点に入った私にとって
徳江の言葉はこの上もなく優しく響いた。
いい歳をした大人がと思いつつぐしゃぐしゃに泣いた。
果たして、これを超える作品が下半期に出てくるだろうか。



その他の鑑賞作品
・「駆込み女と駆出し男」
・「サンドラの週末」
・「チャッピー」
・「ジェームス・ブラウン~最高の魂 を持つ男~」
・「脳内ポイズンベリー」
・「イニシエーション・ラブ」
・「ブラックハット」
・「ラン・オールナイト」
・「新宿スワン」
・「メイズ・ランナー」
・「夫婦フーフー日記」



<2015年6月公開作品>


「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

荒廃した近未来を舞台に、革や鋲をあしらった衣装デザインの
モヒカン男や仮面男が闊歩する「マッドマックス」。
「北斗の拳」をはじめ、数多くの作品に影響を与えた世紀末クレイジー伝説が
1985年公開の「マッドマックス / サンダードーム」以来30年振りに復活。
主演は「欲望のバージニア」のトム・ハーディ。
共演はシャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルトなど。
製作・脚本・監督は前シリーズと同じくジョージ・ミラー。

「エイリアン」や「猿の惑星」など、ビッグバジェットシリーズの多くは
続編やリメイクで監督が交代していて、それが普通なことなのだが
「マッドマックス」は今年で古稀を迎えるジョージ・ミラーが続投しており、
白熱のカーチェイスや放送禁止レベルの奇人達といったシリーズの魅力が
何ひとつ損なわれることなく、全てがパワーアップしている。
余計な肉付けをせず「行って帰るだけ」の竹を割ったようなストーリーも痛快。

カメラワーク、車体デザイン、捕虜の吊るし方に至るまで旧シリーズを踏襲し、
本作ではさらにターセム(「イモータルズ」)的な美学を追加。
さらには「呪怨」の俊雄君に似た子供が大量繁殖したり
「デンデラ」の如き婆さま集団がバイクに乗って暴れ回ったりと、
クレイジーさに拍車がかかり過ぎてヤバい。
「ダイバージェント」や「ラン・オールナイト」ではやや耳障りだった
ジャンキー・XLの爆音BGMも本作では最高に馴染んでいる。

サイドキャラクターのシャーリーズ・セロンと
ニコラス・ホルトが主役を喰う活躍を見せてくれるために
もともと寡黙なマックスがやや空気化してしまったのは残念。
「北斗の拳」で例えるならば、ケンシロウが北斗神拳を披露する前に
バットとマミヤさんで敵を片付けてしまったような感じである。

前3作を見ていない若い世代にもお薦めできるし、
観ている(Blu-rayやDVDを所有している)ファンなら
涙でスクリーンが滲むレベルの快作。




「アリスのままで」

プライベートでは夫と子供に恵まれ、仕事でも大学教授として
順風満帆な人生を送っていた主人公アリスが
50歳の節目に若年性アルツハイマーを発症し
壊れゆく自分に苦悩しながらも生を全うしようとするドラマ。
主演はジュリアン・ムーア、共演はアレック・ボールドウィン、クリステン・スチュワート。
監督はリチャード・グラツァー&ワッシュ・ウェストモアランド。

言語学者として学問に生涯を捧げたアリスにとっては
これまでに蓄積した知識や記憶が次々と失われていく恐怖は
想像を絶するものがあったろう。
本編が104分しかないため物語のスピードが異様に早く
病状もあっという間に深刻化していくが、
実はこのスピードこそが、本人ならび家族にとって
時間が有限なものであること、不可逆な時間の無情さを表す効果を生んでいる。
戸惑い、抗い、嘆き、受け入れながら、正常な思考と記憶が残っているうちにと
来るべき未来の自分にビデオメッセージを残すくだりがやるせない。
病と共に生きていくことを受け入れたアリスのスピーチは
涙なくしては見ていられなかった。

実際の闘病生活がこんなものでないことぐらい
ASLと闘いながら完成させた監督が知らないわけはない。
ドキュメンタリーではないのだから、リアリティ重視で観客に敬遠されるより
多くの人に観てもらって問題提起が出来るほうが
有益だと判断してこのさらっとした作りになっているのだと思う。



その他の鑑賞作品
・「グローリー/明日への行進」
・「トゥモローランド」
・「海街diary」
・「予告犯」
・「呪怨 ザ・ファイナル」
・「ラブ&ピース」
・「愛を積むひと」
・「おかあさんの木」
・「極道大戦争」
・「ストレイヤーズ・クロニクル」



昨年に引き続き今年も邦画不振は続いていて、
上半期で10本に入れたのは「あん」の1本のみ。
それでいて「繕い裁つ人」「悼む人」「王妃の館」「夫婦フーフー日記」
「ストレイヤーズ・クロニクル」と、
ほぼ毎月地雷級の作品が作られていることが寂しさを倍増させる。
ドラマの延長線、コミック原作の実写化ばかりに頼り
大手事務所主導のキャスティングありきで量産してきた結果、
クオリティの地盤沈下を招き、ボディブローのように邦画の首を絞めている。

おまけ。10本に入れるか最後まで迷ったのはこの6本。

・「博士と彼女のセオリー」
・「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
・「駆込み女と駆出し男」
・「サンドラの週末」
・「チャッピー」
・「グローリー/明日への行進」



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