絶望の先にあるもの。映画「ミスト」フランク・ダラボン | 忍之閻魔帳

忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


■BD:「ミスト」
■DVD:「ミスト コレクターズ・エディション」
■DVD:「ミスト 通常版」

スティーヴン・キング原作×フランク・ダラボン監督という
「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」の名コンビによる3作目が
今回紹介する「ミスト」である。

ある夜、美しい自然の残る田舎町を激しい嵐が襲った。
暴風雨に飛ばされた大木に家屋を破壊されてしまったデヴィッドは、
湖畔を覆う異様な大きさの霧に疑念を抱きつつ、
修理用品を調達するため、近所のスーパーマーケットへと出掛ける。
停電のためか、マーケットは食料を求める客でごった返していた。
そこへ、ひとりの男が血まみれでマーケットに辿り着き
「霧の中に何かいる」と謎の言葉を残し死んでしまう。
たちまちパニックになる店内。
しかし、霧はもうマーケットのすぐ外までやって来ていた。。。




傑作として名高い原作を映画化する場合、
いかにして原作の持ち味を損なわず映像化するかに
苦心するものだと思うのだが、フランク・ダラボンはやはり凄い。
いとも簡単に「霧」が持つ狂気と恐怖の世界を映像化し、
それだけでは飽き足らず、原作を大幅に改変して
映画史上に残る衝撃のラストシーンを作り上げてしまった。
現在、映画関連のサイトでは本作のラストについて
賛否両論が巻き起こっているようだが、私は圧倒的に「あり」派である。

楳図かずおフリークであるならば、
本作が「漂流教室」と非常に類似点の多い作品であるとすぐに気付くはずだ。

・理由も分からず狭い空間に閉じ込められた大勢の人間達。
・得体の知れない生物との激しい攻防
・信仰心の暴走
・極限状態が続くにつれて剥き出しになっていく人間の残虐性

もちろん、霧の発生した原因や怪虫の正体など相違点も多いが、
映像化の度に凌辱されて来た「漂流教室」の歴史を知る楳図ファンとしては、
いっそこれが「ハリウッド版・漂流教室」であったなら…と思ってしまった。
ラストは全く異なる(真逆と言っても良いかも知れない)が
2作で描かれている「人間の本性」は、全く同じと言って良かろう。

予備知識は少ない方が楽しめるので、これ以上は敢えて書かない。
ただこれだけは断言出来る。
本作を単なるホラー映画だと思って敬遠するのは人生の大損である。
映画ファンならば、絶対に劇場で観ておくべし。


■Book:「闇の展覧会 霧/スティーブン・キング」
■DVD:「サイレントヒル」

「闇の展覧会」は、本作の原作である「霧」を収録した短編集。
ゲームファンにはお馴染みの「サイレントヒル」も
「霧」にインスパイアされた作品として知られている。


■Book:「漂流教室 1/楳図かずお」
■Book:「漂流教室 2/楳図かずお」
■Book:「漂流教室 3/楳図かずお」

楳図かずおの傑作。
今回紹介するのは昨年発売されたばかりの愛蔵版。
私はもちろん購入済み。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ミスト
    配給:ブロードメディア・スタジオ
   公開日:2008年5月10日
    監督:フランク・ダラボン
    出演:トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、他
 公式サイト:http://www.mistmovie.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ミスト
(C)2007 The Weinstein Company.All rights reserved.