こんにちは。
起きて顔洗って、白湯を飲んで、軽くストレッチしてから発声練習する。
「よしよし、今日も調子いいね」
と飼い犬をあやすように喉を撫でて、
アルバム曲を聴きながら歌詞の確認。
目を閉じると気持ちよさそうに手を広げたり、笑ったり、空を仰いで歌う私の姿が見える。
私の場合、溢れた言葉はもう2度と戻ってこないのでMCの練習はあんまりしない。
リハのMCが1番良かったっていう意味分かんないことになっちゃうから。
普段想ってる事はすぐ出てくるし、忘れちゃう事は別の機会で伝えるべき事なのだと割り切って(大事な告知は忘れちゃダメ)、その日溢れる自分の気持ちと言葉を信じて委ねることにしてる。
セットリスト順で一通り聴いたら、今度は実際にマイクを持って歌ってみる。
自宅の防音室で衣装の靴が履けるようにベニア板のような物を床に敷こうと思ってるのにいつも忘れちゃう。
1曲目、最初の音は体感的にパンッと出さなきゃいけない音なのに「ふー」と気持ちを落ち着けてからスタートしちゃったから立ち上がりが気持ち悪い。
だめだめ、一旦停止。
これ当日もやっちゃいそうだから、落ち着きすぎずに気持ち持っていこう。
かといってパンッを超えてドンッではないから燃えすぎないようにもしなきゃ。
紅くじゃなく、蒼く燃える。
蒼く、蒼く…
よしよし、今度はOK!
発声も良い感じ。
ではここから、ライブモードON!
西川口Heartsはステージが高いからお客さんはこれくらいのところにいるなって顔の位置を心の目で合わせて1人1人を思い浮かべながら手を伸ばしたり、笑ったり、声をかけたりする。
側から見たら完全なるひとり芝居なんだけど、でも私の目にはめっちゃ見えてる。
みんなめっちゃ楽しそうに笑ってて、なんならその日参加してくれるアーティスト達もニコニコ見守ってくれるのが見える。
名前を呼ばれたり、初めて聴く曲にみんなが手拍子してくれてたり、声を出したりもしてる。
ちょっとでも蒼から紅に荒ぶると、歌詞を間違えたり音を外したり息吸いそびれたりするので、あくまでも心は蒼く燃えたまま、肩は上げず、口は大きく開けて、リラックスしながら心を研ぎ澄まして、大切に言葉を手渡すように…
1曲終わる度にドッと疲れて、次の曲、また次の曲と歌っていると自分の体力の無さも痛感する。
昨日今日ではどうにもならない、積み重ねた人だけしか手にできない物が確かにあると自分の身体が辛辣に伝えてくる。
とはいえ今は本番中(練習だけど)
準備不足も自分のせい。
その今日までの全てをフル回転させて、時にはその場で成長しつつベストを尽くすのがプロってやつなんじゃないのと、ちょっぴり都合良く自分を奮い立たせて最後の曲。
張り詰めた緊張感の中で歌い出す。
歌詞が口から出るより早く、自分の心をゾゾゾとなぞって駆け巡っていく。
急に泣きそうになる。
泣いてるみんなも見える、気がする。
「紅く燃えるな、蒼く燃えろ」
デビューからの数年間、とことん鍛えられたプロデューサーが何度も言っていた言葉がキーンと響いて持ち直す。
最後はスタンディングオベーションで喜んでくれてるみんなを想像して「ありがとう」って言う。
ここまでが、私のスーパーポジティブ練習である。
歌詞カードに注意書きしながら1フレーズずつ練習したりもするんだけど、ライブ1週間前くらいになると毎日ライブやってるような練習になります。
想像できる事は実現できる。
私の想像力がどれくらい強いのか、想いの強さの見せ所ですね笑
6畳の防音室には家族も、友達も、1度もライブに来たことない人も現れたりします。
そこで見せてくれるみんなの笑顔はいつだって愛おしい宝物です。
2/25に出てくれる出演者達は、全員が全員、全く違うアーティストだけど、全員が確実に心のど真ん中に響く最強のアーティストです。
そんなみんなが一緒に作ってくれるステージで私ができる事は、丁寧に、誠実に、そして私らしく歌う事以外にありませんよね。
37歳にして、悔しくて眠れなかったり、緊張して吐いたり、声を上げて泣く日があるなんて。
こんな喜怒哀楽に愛された人生を送るなんて、夢にも思っていませんでした。
満たされない夜ですら、きっと幸せな事なんだろうなと思います。
先日観た映画「BLUE GIANT」の中で主人公が、落ち込んでいるメンバーに
「凹んでないで、出っ張らないと」
と言ったセリフがとても好きでした。
出っ張らないと、私も。
震える身体を抱き締めながら精一杯出っ張りますので、二度とない瞬間を見届けに来てください。
■2023年2月25日土曜日
西川口Hearts
櫻 レコ発&主催イベント
「SAKULAND Summit 2023」
時間:開場16時00分/開演16時30分
料金:前売3000円/当日3500円(D別)
出演:櫻/オトループ/LOOP CHILD/東京カメレオン/missato/MUSIQUA
チケット予約
ticket.of.sakura@gmail.com
名前、枚数と一緒にご連絡ください。