またやってしまいました。。。
そう、あれは1年半前。
初めての一人旅でインドを訪れた僕は
旅の途中でバックパックを無くし
途方にくれて帰ってきたのでした。
あれから1年半。
僕はマレーシアを旅行していました。
場所はペナン、そしてクアラルンプール。
今日のお話はペナン~クアラルンプールの移動中のお話。
昨日僕はペナン発22時30分のバスでクアラルンプールに向かう予定でした。
22時15分。
旅行会社のロビーでバスを待っていると外から
「ドカン」
という音が聞こえました。
「何の音?」と
旅行会社の人に聞いてみると
「エンジントラブルだ。22時30分のバスは出ない。23時30分のに乗れ」
と言われました。
今までものすごく順調に旅していたのに
ここでついにトラブル発生。
1時間くらいの遅れなら全然気にならないんですが、
なんだか嫌な予感がしました。
1時間後。
バスは出発。
隣の席には華僑のおっちゃんが座りました。
おっちゃんは保険会社で働いているらしく、
僕の母も保険会社で働いているので話が弾み、
マレーシアの産業や日本車の話などで盛り上がりました。
(ビジネスに興味があるとビジネスマンと話が弾むので便利)
結局2時間くらい話したでしょうか。
その後就寝。
午前5時。
バスが止まったので目がさめました。
隣のおっちゃんに
「クアラルンプール着いた?」
と聞くと
「いや、ただのパーキングエリアだ」
と言われたので
そうか、と思ってまたウトウトし始めました。
ところがようやく寝たか、寝ないかのところで
おっちゃんが
「おい、降りろ」
と言い出しました。
寝ぼけながら
「どうしたんだろう、飯でもおごってくれるのかな」
と考えながらバスを降りて歩いていくとおっちゃんが
「やっぱりクアラルンプールに着いてたぞ」
と言い出しました。
ただのパーキングエリアだと思っていたので
バックパックはバスの荷台の中。
「やべーーーーっっ!!」
と思ったときはもう時すでに遅し。
バスの方を振り返った瞬間にバスのドアが閉まり
バスは僕の生命線を乗せたまま出発。
夜明け前のクアラルンプールの街に消えていきました。
「ああ、やっぱりバックパックを無くす運命なのか。」
途方にくれる僕。
バックパックには持ち金の半分以上が入っていたので
バリ島行きも危うくなりました。
おっちゃんは
「ペナンの旅行会社に電話してみて、
バスのドライバーとコンタクトしてみるよ」
という望みの薄い奪還方法を提案してくれました。
「絶対戻って来ないな」
と思いつつ、
もうそれしか方法が無いので
一縷の望みを託しながら
今の持ち金約150ドルであと約半月どうやって過ごそうか
その方法を考えることにしました。
「12時くらいにはコンタクトが取れてるだろうから
俺の携帯に電話してくれ」
とのたまうおっちゃん。
「よろしくお願いします・・・!」
固く握手を交わしおっちゃんはいったん家へ帰り、
そして僕は近くの駅からターミナル駅へ。
時間は午前6時。
それから僕は何もする気が起きず
ベンチで寝たり
ベンチで寝たり
朝マックしてみたり
ベンチでこれからの予算計画を考えてみたり
ベンチで寝たり
ベンチで寝たり
やけくそになって次期総理の安部さんの特集をしてる雑誌を買ってみたり
しながらただただくらい気持ちで12時を待ちました。
「ああ、これが天の与えた運命なんだな
これを克服しなきゃならんのか・・・テンション上がらん」
などと考えていました。
このときほど自らの運命を呪ったのは久しぶりです。
そして12時。
ようやく開き直りかけた気分でおっちゃんに電話してみました。
「見つからなかったのはしょうがないよ!
元はといえば俺のミスだしおっちゃんは気にしないで!
むしろいろいろ尽力してくれて本当にありがとう!」
と目いっぱい明るい声で
そう返事するつもりでした。
電話がつながりました。
明るい声のおっちゃん。
「今何処にいるんだ、ケイスケ」
「まだ駅だよ、寝てた。ハハ」
(別の話題から入った。やっぱダメだったんだな)
そう思いました。
「ケイスケ、いいニュースがあるぞ!」
「Oh, really!」
「バッグが見つかったぞ!運転手とコンタクトが取れた!」
「Wow!amazing!」
そう、バッグが見つかったんです!
捨てる神あれば拾う神あり、というべきか
天は見放さなかった、というべきか
奇跡としか言いようが無いことだと思いました。
でも決して運が良かったわけではなく、
おっちゃんが頑張ってくれたから見つかったわけで。
おっちゃんには感謝してもし切れないです。
(元はといえばおっちゃんの勘違いから
事件が始まったことは忘れる方向で)
14時。
おっちゃんは車を出してくれて、
高速道路のパーキングエリアで
僕が乗ってきたバスが
クアラルンプールを通ってペナンに帰る途中のところで
バスのドライバーとコンタクトをとりながら
見事バスを捕まえることが出来ました。
そしてバックパックとも感動の再会。
途中嫌な顔一つせずに最後まで
日本から来た変な汚い格好をした学生に
付き合ってくれたおっちゃん。
ありえないくらいいい人です。
こういう男になりたいな、と思ったし
こういう人がビジネスでも成功するんだなと思いました。
(おっちゃんの保険会社はマレーシアでトップらしい。
しかもおっちゃんの肩書きはNational Top Producer。偉そう。)
「俺もお前みたいにバックパック旅行がいつかしたいんだよね。
いつか一緒にニュージーランド行こうぜ」
「いつか一緒にビジネスしたいですね」
そんな話をしながら別れました。
ラホールの宿では韓国人にお世話になり
マレーシアでは華僑にお世話になり
これはきっと中韓嫌いの僕への何らかのメッセージなんだろうか、
と思いました。
もちろん、人のやさしさに触れる、ということも
僕への大きなメッセージとして受け取っています。
そんなこんなで僕は何とか無事に旅を続けています。
そんなこんなで僕は明日ついにバリ島に着きます。