山羊先生の「しっかり透析のヒケツ」は当院の新しく来た看護師、技士さんには渡して、読んでもらっています。
この本は何度読み返しても、新しい発見があります。
患者さんが読むには少し難しいけれど、かみ砕いて説明することを心がけています。
MCメデイカ出版
その中でp12の下の図はなかなか味わい深い図です。
患者会の学習会でもこの図を使って色々な話をしました・・・・。
建て軸に腎機能とあります。クレアチニン・クリアランスでもあり、最近ではeGFR
(推定糸球体濾過量)での表示が一般ですが・・・・。
このeGFRの正常値は100ml/分です。
腎不全が進行してクレアチニンが1.0を超えて2くらいまでの間のeGFRは30から60
で下の図の30%以上の所の領域ですね。
ちなみに、腎移植患者さんのクレアチニンは2未満を目標にしていますから、保存期腎不全のステージ3に相当していると考えられますね。
まだこの頃は貧血もなく、血圧もあまり高くなく蛋白尿くらいしか気にならない所です。
ちょうど、縦軸の15%の所で横の点線が入っていますが、この15から30%、
eGFRの15から30の所がステージ4です。
クレアチニンは2を超えて、腎性貧血が始まり、BUNも高く、血圧のコントロールも難しくなる時期ですね。
赤線でしめされているのが、導入期から透析による腎機能の代替が始まるのを示した図ですね。
導入時期のeGFRは5から7くらいです。クレアチニンだと5~8くらいです・・・・
この図では15%(eGFRで15ml/分)あたりを透析で代替していることを表現しています。
しかし、実際に4時間×週3回だと体重にもよりますが、50kgとしてもせいぜい10%程度しかもどりません。
つまり透析導入前のステージ5(15%以下)と変らないステージ5D(透析患者は5D)と表現します。D=dialyss=透析)
本当にステージ5のまんまなんです。
保存期を永遠に続けているからそりゃ、尿が完全に出なくなったら「しんどい」のは事実ですよね。
この導入後にどこまで小分子れべるで戻す事ができるかを議論するために「長時間透析」と「頻回透析」が必要になるわけですよね。
ダイアライザーのBUNやクレアチニンのクリアランスは血流200でおおよそ200くらいです。
腎臓の倍の機能ですね。
血流を150くらいで24時間透析しつづけたら、本当に小分子れべるでは腎臓以上に抜けていうくでしょう。カリウムやリンを補うためには、透析液のカリウムやリンを正常値にしておかないといけないかもしれません。
こう考えると毎日8時間 夜間寝ている間透析している人達が軽く30%を超えるのは理解しやすいですね。
大きな尿毒素は抜けにくかったり、まったく抜けなかったりしますから腎臓の替わりにはなりませんけれど・・・・
いまだに「せめて5時間血流300」と唱えていますが、この図を見る度にそれでも15%行くのか? 体重によりますね。
患者さんの学習会でしたが、スタッフになぜ「長時間なのか?」「頻回なのか」を理解は進んだと思います。
皆が同じベクトルを向く必要がありますからね。
山羊先生の本は後ろに「文献」もきちんとついた立派な本です。
本当に読んで欲しいのは、透析に関わる医者だと思っていますが・・・・・!