今期、一番期待してた金城一紀さん脚本の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」。
(あー、初めてこの作品のタイトルを全部書いたー。)
西島秀隆さんと小栗旬さんのダブル主演で警察モノときたら、これが期待せずにいられますかっての。
そんな私の高まる期待を大きく裏切ってくれちゃって、これまで1話の冒頭、新幹線でのアクションシーンでネタ切れなのか?
と、思わせての5話。
「ダブルフェイス」、否、「インファナル・アフェア」かっ?!
と、見紛うほどの出来でございました(ちょっと褒め過ぎかも)。
この回の成功は、何と言ってもゲスト出演の杉本哲太さんの脇役力!
ですわよ。
ああ、語るならば長塚京三さんの、ベテランの味わいも言わずもがななのですが。
今日は杉本さんに焦点を当てて書きたいと思います。
今回は、小栗さん演じる稲見が、自分の身分を偽って暴力団に潜入捜査するというお話でした。
設定はよくあるもので、真新しさは無いんですが、杉本さんが演じた、稲見が最初に付け入る組員・沢田がね、素晴らしかったです。
もちろん、杉本さんは脚本を演じただけ・・・ですが、脚本に書かれた文字を、俳優さんが「演じる」ということが、どういうものか、それを体現して下さったと思います。
1話の尺は、日本の連ドラは約46分。
開始すぐに登場し、35分頃に射殺されますが、杉本さん演じる沢田は、その台詞から養護施設で育ったことが分かります。
苦労したのだと、分かります。
また、
「俺たちみたいなモンが、贅沢に暮らそうと思ったら、一発逆転を狙うしかない。
~中略~
持ってねぇ俺たちが持ってる側になるには、多少強引でも分捕っていくしかねぇんだよ。」
カネがないと自分を頼ってきた稲見が成り済ました中沢という人間に、中華料理をごちそうし、美味しそうに食べる稲見に、嬉しそうに、
「一緒に上にあがろう」
と言う場面で、既に稲見が人として罪悪感を感じ始めたと視聴者に気づかせたのは、脚本の力だけでは無理なはずで。
暴力団の組員なのに、前科もちなのに、観てる私たちは、沢田という人を悪人だと切り捨てることが出来ないのです。
ひとえに、中の人、つまり、杉本さんの演じる力、人としての魅力、それに尽きるでしょう。
だからこそ、特捜班に潜入捜査をさせておきながら実は目的は別にあり、沢田は無情にもあっさり殺されてしまうのですが、稲見はそれを目の当たりにし、苦しむ(悲しむ)わけで、稲見の気持ちの持って行きようの無さが、こちら側に強く伝わりました。
稲見は上司の鍛冶(長塚京三)に食って掛かるわけですが、鍛冶はだからと言って殺された暴力団員の復讐でもするのかと諫め、はたまた社会人には胸に刺さる台詞、
「薄汚い仕組みを変えたかったら、正義感に縛られて、動きを不自由にするな。
善も悪もすべて取り込んで、しなやかに動け。
そうやって蓄えた力で、いつか、本物の悪を叩けばいい。」
などと諭します。
これを聞いた稲見は、
「屁理屈ですよ。」
まぁ、そうなりますね・・・。
「躍る大捜査線」で描かれた構図は、まんま会社という枠にも当てはまり、縦社会、学歴社会、コネ横行・・・正義感なんてものを振りかざしていたら、やってはいかれない現実。
和久(いかりや長介)さんの名台詞、
「正義感なんてもんは胸に秘めてるくらいがちょうどいい」
これを、全く違う表現で表したのが今回の鍛冶の台詞でした。
お話は、もちろん全然違いますけれど。
稲見は、最後まで自分を信じてくれていた沢田の死に責任を感じます。
その姿が、やっと稲見という人に、小栗さんが見えました。
(ルパンではなく。)
田中哲司さんと野間口徹さんは、なんというか未だ本領発揮してない気はするけど、小栗さんの演じる稲見がとても人間臭く、魅力的に感じた回でした。
新木優子さんの大山の存在感もないし、(今回は架空のHPを作っただけ、みたいな)ツッコミどころはありますが、諦めずに観てきて良かったと思った第5話でした。
久しぶりに記事も書きたい気になりましたし。
それにしても、小栗さんだけ、ヘアメイク、衣装デザインに、衣装制作する方、3名のお名前までクレジットされるだなんて・・・すごいですね。
西島さんでもスタイリストさんだけでしたから。
4話まで寝落ちとか早送りとか、ちゃんと観てなかったことを反省し、次回はもっとちゃんと観ます。
(どうかこのまま裏切らないでー!)