ホープ&レガシー・ロシア語解説 2017四大陸 | siennaのブログ 〜羽生君応援ブログ〜

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羽生結弦選手の現役時代をリアルタイムで体験できる幸運に心から感謝しつつ、彼のスケートのここが好きあそこが好きと書き連ね、ついでにフィギュアにも詳しくなろうと頑張る欧州住まいのブログ主です。

四大陸フリーで羽生くんが見せた衝撃のリカバリー劇。
彼の技術とクレバーさ、そして王者のメンタルを、あらためて全世界が知ることになりました。

でも、それだけではない、あのフリーには目を離すことのできない静かな凄みがありました。スタート位置についただけで、あ、フリーで逆転するな、という雰囲気。ビールマンを外したことからもうかがえるように腰の状態は良くなかったのかもしれませんが…。終わってみれば歴史に残る超高難度リカバリー劇。コンボミスったから最後に忘れず付けましたという通常のリカバリーレベルではなく、クワドとトリプルアクセルを順番も組み合わせも完全に変えてザヤも奇跡的に回避するという想像を絶するもの。そんなふうに計算に集中しながらもクワドコンボをアドリブで降りるだけでなくご丁寧に音ハメイーグルで締めたり、プロとしての美しさもしっかりキープするってどれだけ?こういうことを自然にやってのけるのが羽生くんの天才たる所以です。この点を過小評価するというか評価しきれていない解説が今回多々あるようでちょっと残念なのですが、そんな中、GSにあがっていた英訳でロシア・ユロスポさんがこの超絶リカバリーを手放しで大絶賛していることを知りましたので、取り急ぎご紹介します。



動画主様に感謝してお借りします。




「いま男子スケーターが勝つためには203〜204点という数字を目指さなければなりません。羽生結弦は219.48という大記録を持ち、フェルナンデスは216点を出した。したがってフリーでは205点から210点を出さなければ。OK、羽生結弦の登場です!ショート終わって3位、ネイサン・チェンとは6点差があります。この差を埋められるのか。全米でクワド5本の素晴らしい演技を見せたネイサン・チェンを6点上回るスケートをしなくてはなりません。

4ループ!見事な出だしです。14点と少しかな…おお、14.00、基礎点に2ポイントのプラスです。4サルコウ、よし!よかった。これは今回彼がもっとも苦労しているクワドです。クワド2本で26点を獲得。リンクサイドのブライアン・オーサーが慎重な様子で拍手をしています。

日本人作曲家・久石というと女子選手たちが「もののけ姫」で滑っていますが、羽生が選んだのは別の曲です。

結弦がスピードを上げています…4サルコウ…あああ…2回転になってしまった!2回転1回転です!4S3Tのコンビネーションを跳ぶ予定でしたが大きな失点!これで10点を失いました。

4T。クリーン、よし!予定していた4本のクワドのうち3本が決まりました。

いつものように鮮やかな3A3Tのコンビネーション。ここでループの予定です(解説の誤り)、いや、ループではなく、もう一本クワドです!ワオ!3Loの代わりに4T2Tのコンビネーションを決めてしまいました!

プログラムの最後に3A!これは驚きました!3ルッツではなく!

これはすごいスケートでした。私が連想するのは…112.53ですよ、ちょっと見てください…連想するのは、外国語の学習なんですが、勉強して一定のレベルに達し、その言葉でどんどん自由に生活できるようになる。やがて単語を同義語で置き換えたり構文を変えたり、その言葉で何かをクリエイトできるようになる。自分自身の言葉になる。それは何ものにも代えがたい素晴らしいことです。羽生結弦にとってはスケートがそれにあたるのです。他のスケーターたちにとっては努力の必要なエレメンツ、皆が頑張って練習していることを、彼はまるで天性のもののように身につけてしまった。だからその場でとっさに変更することができる。ジャンプを跳ぶ、失敗する、それならば、とクワドを変更する、より難しいものに変える、これを滑りながらやってしまう!つまり、彼には技術的に超高度なエレメンツを自由に操る力量が備わっているため、プログラムを簡単に作り変えることができてしまう。オリジナルの形ではなく、彼の現在のパフォーマンスに合わせて。まったく信じられません!

では、見てみましょう…演技冒頭、4ループ、回りきってクリーン、多くの加点がついています。4サルコウ、少し硬かったが何といってもクワド、羽生にせよネイサン・チェンにせよ、それが難しいことに変わりはない。そして3F、5.3点の価値があるが、彼のプログラム中では通過点的エレメンツ。そして4S3Tでミスが出て2-1に。次に4T、そして3Aには予定の2Tではなく3Tを持ってきた。その後3A1lo3Sではなく4Tを跳び2Tを付けた。この時点で3Aが余っていることを分かっていた彼は、それを最後の3Lzの代わりに跳んだ。つまり3Lz(基礎点6.00、後半6.60)ではなく3A(基礎点8.50、後半9.35)を決めたというわけ。なんという鮮やかさ!羽生は氷上の天才だ。こんなものを見せられてはなんと言っていいのやら。これは単なる競い合いではなく創造性の最たる例だ。5クワドに挑戦して4クワドを決めたと言ってもいい。あの2サルコウは4サルコウのはずだったのだから。今、ブライアン・オーサーに説明しているね。「あれをやらなかったので、こういうふうに…」。何を考えていたか、どんな計算をしていたか、どうやってトータルを考えつつレイアウトを変更したか!206.67!記録更新のスコアではありません!しかしネイサン・チェンにとってはチャレンジとなります。さあ、頑張れ!」

以上。