明日、初日です。 | 望月六郎的日記『中年勃起』

明日、初日です。

8月17日

 

昨日は5時小屋入り。

 

諸々の準備が整い6時に1幕残の場当たり開始。

 

この一時間の間に、届いた2幕劇版を聞く。

 

いい出来で嬉しい。

 

今回の音響はレギュラーの筧さんじゃなくて、

 

筧さんの仲間、寺戸さんが設計だ。

 

『音楽いいですね。あんまりそんな風に思ったことないんですけどね』

 

野島健太郎が褒められると嬉しい。

 

打ち込み全盛の時代だが、打ち込みはゲームやパチンコのようになる。

 

シャカシャカして奥行きがなく、耳障りなことが多いですね。

 

好きな人もいるだろうけど、僕は苦手です。

 

野島健太郎もドラムは打ち込んでるんじゃないかな。

 

でも、甘いというか、打点の音もその後の反響音も感じられ

 

決して忙しくない。

 

それから本来はギタリスト、キーボードプレイヤー

 

なんだろうが、サックスもやるし、三味線も引く、もちろんベースも。

 

今回はディズニー風ナンバーでフルートもフューチャー。

 

実に嬉しくなる。

 

琵琶のナンバーもあるんだが、これ、サンプリングだよな?

 

その辺がわからないほどの出来で嬉しくなります。

 

僕のお気に入りの歌は、クミコが歌う『マリオのママン』

 

なのだが、演奏も素晴らしい。

 

打ち込みではないのだが、どこか未来的でもあるし

 

反面のノスタルジーも感じる。

 

心地よい西海岸風、脱力ジャズのようでもありいいなあ。

 

歌詞が少し変わっているからアレだが

 

家で聞くのも悪くないよな。

 

それから妻と看板作りをやった。

 

どうということのない作業だが、一人でやると大変だ。

 

一人がリャンメンテープを切って一人が貼る係で、作業時間は半減できる。

 

文字の方は家で書いておいたので今日はわずか30分で完成。

 

皆の準備と同着で場当たりに滑り込んだ。

 

1幕クライマックス、照明もセリフ、音楽、効果音をきっかけに

 

次々と変わり、どこか唐組風。

 

マッドサイエンティスト、大門雷電博士を演じる丸山もノリノリだし

 

その助手、能力の怪しい助手、日田鞠(ひだまり)をクミコが

 

実に楽しそうに演じてくれる。

 

日田鞠の傍のはたつや優演じる日田鞠男(ひだまりお)がいて、ふたりの関係が妖しくていい。

 

レイアイ演じる謎の中国人美女=芙蓉、今回初参加、蜂巣和紀演ずる

 

怪僧にして柔術家、矢島恭二も弾けて実に楽しい場面だ。

 

モブシーンの結果、フランケンシュタインが誕生するのだが

 

実に画期的な仕上がりで必見ですぜ。

 

7時から二幕場当たりに突入。

 

音楽が当たると芝居は格段に伸びるもんだ。

 

2幕3場は男と女の修羅場。

 

原作に全く魅力を感じることができずにいたのだが

 

下巻中盤、俄然、スリリングになっていく。

 

『殺して』『殺してやる』『死なせて』

 

男一人、女二人が阿鼻叫喚の修羅場を演じる。

 

このテンションは何事?

 

って感じなのだ。

 

 

原作だと三日間ぐらいに渡るエピソードをグッと縮めて

 

一晩、ほんの15分の出来事にしたのだが

 

その分狂気は際立ちました。

 

膨大なセリフを5分の1ほどにまとめたんだけど

 

それでも長大な量であることは間違いない。

 

言い回しはなるたけ原作に忠実に、と思って

 

書いてはみたものの、当時のの山手言葉は

 

超がつくほど丁寧な物言いで、難しいと思うけど

 

その辺をゆうきも古野もよくやってくれてる。

 

ゆうき演じる満枝の心情は、2幕冒頭の心情の吐露で

 

わかったような気分だったが、

 

古野演じる宮は、これまた難しかった。

 

 

小説自体、この辺りが破綻して、中断を繰り返した風でもあるし

 

それで未完のまま終わったのだろう。

 

死にたいほど好き…なのに富山の嫁になるのはなぜか?

 

金だってあるのに。

 

貫一だっているのに。

 

原作終盤で、どうやら両親の願いを聞いたんだな、ということがわかるのだが、これも曖昧なまま。

 

両親は活躍するキャラクターでもなし、

 

要は悪いのはこの二人なんですよ、と責任をおっかぶせた形になっているが…二人には確たる意思もありません。

 

そこで、死にたいほどの想いを、宮に白状させたいのだが、

 

これ、あまり明確にしませんでした。

 

自分でも分からない……と宮に語らせました。

 

明快な言葉にすれば、ああそうだったのか、と腑に落ちるかもしれない。

 

その変わり、薄っぺらで、陳腐なものになるかもしれない。

 

A4およそ一枚半、今回最大の長ゼリフ、古野が見事に挑戦して

 

ものにしてくれました。

 

実際この告白の半分は原作にもなく、そこが物足りなくも、

 

また宮の造形がただのお嬢さんで終わっている感もあった。

 

そこで、現代的女性の心情を書いてみようと試みました。

 

正直、よく聞くと大したことは言ってない。

 

だけど、なんとか気持ちを伝えようと必死に言葉を探す

 

女心のようなものが伝わって、古野の宮は実に良かった。

 

人妻になった古野の色香は必見ですぜ。見なきゃ損。

 

ゆうき演じる満枝の狂気と相まって、狂っているのはどっちもどっち

 

で素晴らしかった。

 

で、いよいよラスト4場になだれ込みのだが、ここから先は

 

まさにSF超大作風。

 

科学?と霊能?と瓦解。

 

音聞いてるとまさにハリウッド超大作だ。

 

その上おかしくもあるし悲しくもある。

 

昨日、帰宅後1時よりNHKスペシャルで『731部隊』を見る。

 

一時期随分資料を読んだ。

 

日本人には辛いばっかり。

 

しかし実験材料にされた東亜の人間は最もひどい人生を終えているんだ。

 

辛くったって見つめ直さなければ、彼らの魂は浮かばれない。

 

戦争だがら…言い訳はできる。

 

戦国の世と一緒。

 

権謀術数、策謀の限りを尽くす、勝てばいい。

 

戦国大名の人生など裏切りの連続だ。

 

しかし、彼らの生き方に日本人はロマンを感じる。

 

 

平和な時代だからこその憧れだろう。

 

しかし、関東軍やら陸軍参謀やら海軍軍令やら

 

日本軍の中枢はおよそ泰然とした人物がやっていけるような世界ではなかったように感じます。

 

悪巧みを考えて、やって、うまくいくと偉くなって、

 

みんなそれを見習う。

 

科学者も一緒だ。

 

いや、科学者であるからこそ視野狭窄も生まれるだろう。

 

予算もあるし、戦いには勝たなきゃならんし、国民の狂信もある。

 

テロが生まれればテロリストには何してもいい。

 

これは現代だって生まれる感情で

 

現に現代だってアメリカ海軍グアンタナモ収容所では拷問だって行われている。

 

 

731部隊の少年兵たちが90歳を間近にして

 

血を吐くような想いでカメラの前に立った姿に感銘を受けました。

 

死ぬ前に語っておきたいという、澄んだ淡々とした心情が伝わってきました。

 

 

おっかないものを見たいとか、恐怖小説が好きとか

 

人間は本来魔境に堕ちやすい生物なんだろう。

 

だからこそ必死で、自分と向か位会う必要があるってことなんだろうな。

 

丸山演じるデモン博士の最後のセリフはそのまま僕の心情でもあります。

 

今日も5時小屋入りです。

 

一時間、場当たりの残り。

 

7時からゲネプロ予定です。

 

明日は初日です。

 

初日乾杯もあります。

 

基本無料ですけどカンパも歓迎。

 

カンパ箱置いときますんでよろしく。

 

 

それじゃ。