唐ゼミ・青テントが立つ | 望月六郎的日記『中年勃起』

唐ゼミ・青テントが立つ

10月4日

 

台風の前の晴れ、夏日。

劇団ドガドガプラスの来年2月公演の仮チラシを届けるため

13時に新宿中央公園噴水広場に行ってきました。

 

西口から高層ビル群を目指す通路を過ぎた後は

本来、地下鉄大江戸線の都庁前駅に向かう地下に降りた方が涼しいし、

最終的に陸橋を利用することなく到着が可能で、便利です。

 

去年自作の『君の罠・或いは空蝉』が11月に上演された折、

高層ビル群の遥か彼方に、ぽつりと見えた青テントが

実に青々しく、清々しく、大きなビルの中で

肩を張った風情が実によかった。

 

そんなわけもあって僕は、地上から公園を目指すことにしました。

 

街路樹の向こうに作りかけの青テントを発見。

 

若者たちは後二日のテント張り&セット作りおまけにゲネをやっつけ

 

その間に台風18号をやり過ごし晴れて10月7日初日を迎えるわけです。

 

ああ若いって素晴らしい。

 

公演詳細はこちらでチェックしてください。

 

karazemi.com

 

『腰巻お仙・振袖火事の巻』は唐十郎が20代の時

=状況劇場初期の作品で僕もまだ未見の作品です。

 

今から40年以上前の作品は古典でもあるし

あまり上演されていない作品なら、ある面未踏の大地のようでもある。

 

劇団・唐ゼミは唐さんから

『青いテントがいいんじゃないか?』

と意見されたように青春の劇団だ。

 

青春の勢いでやってく潔さ、が清々しい。

しかし、青春はいつか色あせる。

やがて迎えるのが、朱夏だ。

つまり真っ赤に燃えた太陽だ。

 

青と赤・・・これからはその二つが微妙に入り混じって

いい光彩を放つんだろうな。

 

今回の公演も非常に期待しています。

 

去年の新宿中央公園での公演『君の罠』の舞台は

 

皇居を仰ぐ数寄屋橋から

晴海通りを一筋、銀座、築地をつきった月島、晴海埠頭が舞台でした。

 

唐さんの気分になって戯曲を書く以上、

どこか頼りになる地場=磁場がなきゃダメだ・・・と思い込み

それだったら、東京のどこにするべか、と考え

結果僕は、佃島、月島晴海の湾岸地区を選んだ。

 

これには理由があって、僕は学生時分、家業のバイト

・・・橋の検査の手伝いを一夏やったことがあった。

 

佃大橋の裏側のヒビ・・・クラックというやつに接着剤を埋める

いわゆる公共事業というやつで親父の会社は作業用の足場を担当していた。

 

親会社から、学生バイトを頼む、と請われ僕らが出陣したのだった。

 

佃島、月島はおかしな場所だった・・・高い岸壁に囲われてそこだけ

昔が残っていた。聞けばここは空襲されていないのだという。

聖路加病院があったからだ、と聞いて

 

戦争はそんなものなのか、と思ったのが十代だった。

 

で、この時の記憶を頼りに佃島、月島、晴海を歩いた。

 

築地までは地続きだし、行く理由も多い。

 

しかし勝鬨橋を渡ったその先は滅多に行かない場所でもある。

 

月島の歴史、月島の歴史を調べると

 

幻の東京オリンピック。国際博覧会。都庁の月島移転。

 

大震災で家をなくした者たちが集まった

もんじゃ、古着屋vs工場労働者の町であることがわかってきた。

 

そんな過去と爆買いの中国人と在日朝鮮人とぼんやりした

ゆとりの日本人の物語を作ろうと苦労してると

そこに、吉本隆明が現れてあんな物語になりました。

 

最近マスコミSNSを賑わす豊洲市場に海の森。

 

晴海はいよいよ選手村となってその後はどうなるんだろう。

 

海を埋めて利用する欲望。

 

そのバネになるオリンピック。

 

構図は戦前も戦後も変わらないようだな。

 

一昨日こんな夢を見ました。それはある舞台の一場面だった。

 

オリンピックが来ることになって、皆にある命題が下される。

 

『オリンピックにために・・・』

 

その後に幾つかのアンケートが続きます。

 

その後『オリンピックのため・・・』

 

を外して、その代わりにどんな言葉を入れてもいいことに

 

一人が気づきます。

 

それは例えば

 

『恋愛のため』でもいいし『未来のため』でもいいし

『戦争のため』でもいい・・・そのことにみんなが気づくというシーンでした。

 

もちろん言語化しているわけでもないし

 

ディティールが見えたわけでもありません。

 

7日は唐ゼミの初日、8日は唐組の初日です。

 

この間お知らせしたように、

ドガドガ座長の丸山が赤テント初参戦となります。

 

『夜壺』詳細は ameblo.jp/karagumi

 

ドガドガプラスが2月・8月公演を続ける理由を何度かお知らせしています。

 

それは素晴らしい客演者と結びつくためのある面苦労、矜持でもあります。

 

でもそのおかげで、丸山が赤テントに出ることもできたわけです。

 

逆輸入ですよね。こうして道はできる。

 

丸山が頑張れば、きっと後に続く者たちも増えるにちがいない。

 

双方のテントで会いましょう。声かけてください。それじゃあ。