一ヶ月以上のごぶさたでした。 | 望月六郎的日記『中年勃起』

一ヶ月以上のごぶさたでした。

4月4日

花曇りの月曜日。

最後ののブログが2月29日・・・すなわち『浅草カルメン』の千秋楽でした。
翌日の打ち上げやら、衣装の洗濯やら、小道具の整理整頓やら
慌ただしく10日ぐらいが過ぎてった。

それから10日はこれから先の一年間をどうやって乗り切るか・・・
そんなことで精一杯。

17日、座長の丸山と会食して打ち合わせをしたりもしました。

場所はなぜか赤羽。
『ドガドガは望月さんと僕がいれば、なんとでもなります』
とか、実に頼もしい言葉を言ってくれたりで嬉しかった。

劇団を応援してくださる皆様にご報告しなければならないこともあるので
よし、年度替え4月1日に書こう、と思ったのだが
エイプリルフールだと思われるのもなんだし・・・
二日はサボり、3日は御義母さんとの散歩やらで今日になりました。

さて、ご報告の第一歩は音沙汰なしだった、ドキュメンタリー番組の放映問題です。

一昨年、稽古場だったり、僕の家だったり、それから劇場だったり、
それこそ劇団唐組の赤テントでだったり、いろいろな場所で撮影が行われていました。

で、丸々一年が過ぎてしまった。

そんなこともあって僕の友人を始め、妻の友人、観客の皆様に迷惑をかけていました。

この迷惑は僕や妻にも降りかかり幾人もの皆様に

『あれ、どうなったの?』

と困った風に質問されること幾度でした。

僕自身理由の核心を想像することはできましたが
もちろん確信を持つことはできません。

ですから

『まだ生きてるみたいなんで、今は黙って待ってるしかないんです』

とか

『そのうちやってもらえるんじゃなかろうかと、思ってます』

とか

実に歯切れの悪い返事を繰り返し辛い想いをしてました。

そのことが晴れて三月に解決しました。

関係者から連絡があり、妻と私が新小岩のファミレスに呼ばれ説明がありました。
一年間以上ほとんど連絡もないまま放置されたわけもわかりました。

理由は・・・大人の事情・・・とでもさせてください。

と、いうのは物事が好転したからです。

正直、裏切られたままなら洗いざらいブログでぶちまけるつもりでした。

ですが、それはあんまり気持ちのいいことではありませんから
こうして『秘密』にできる喜びを感じています

で、会見の翌日プロヂューサーから
『必ず放映します』
と連絡をいただきました。
一週間後に今後の対応や追加撮影に関する打ち合わせがありました。

この時も妻が同席したのですが僕からプロヂューサーに

『局名、番組名は明らかにしませんから
番組放映が確定したことをブログ等で公表してもいいか?』

とお願いしました。

もちろんリクエストの動機は皆様に、経過をお知らせしたいからです。
僕も妻も、お客様の質問に対して曖昧に答えるのが辛かったからです。

結果、局名と番組名を明記しないのならいいですよ、と応じていただけました。

放映日は未定です。
僕としてはこれだけ待たされたのですから一日も早くと思いますが
そうはいかないようです。
8月以降とでもさせてください。

夏公演後の放映になってしまうのはとても残念ですから
一日でも早く・・・今はそんな気持ちです。

ブログばかりでなく次回公演のオーディション要項にも
放映に関しての情報を載せていいそうなので嬉しいです。

三月末、邦題『リリーのすべて』を観に行った。

トム・フーバー監督、アカデミー助演女優賞受賞、人気の実力派男優と
人気の理由はいくらでもあったが12時の回は実に全席満員で壮観でした。

僕は例えば『ピアノレッスン』やら『イン ハー シューズ』だったり
女性映画が好きだったりするので慣れてもいるけど
この日のお客さんは男女比1対9かな。

紳士だったり、感度良好フェミニンな男性客に混じって
おっさん丸出しの僕の存在は・・・というのは単なる自意識過剰ですね。

『リリーのすべて』はトランスジェンダーの男性とその妻が主役ですから
正確には女性映画とは言えないかもしれないけど・・・
つまり『二人の女性』の織りなす大変美しく、悲しい物語でした。

もちろん露骨な描写はありませんが、R15で、テーマはセックスです。
夫婦とトランスジェンダーなんですから当たり前ですよね。

見に行ってよかったなあ。

映画の最後にこの事実を元にした物語の結末がクレジットされます。

『1933年にリリーの日記が出版された』

そうです。

同性間の恋愛は太古の昔からあったに違いありません。
ギリシャ神話にはいっぱい出てきます。
その後宗教によってタブーになったのでしょう。

生まれて第一次成長の際に気がつく者もいるでしょうし
第2時成長期に目覚める者もいるでしょう。

先天的かもしれませんが後天的という場合もあるんじゃないかな。

1933年といったら第一次世界大戦の後、ヒトラーが首相になった年です。

戦争戦争の時代に生まれた人間が
当時の世界を支配していた男性の生理に背を向けるのは当たり前のようにも思えます。

戦前戦後、谷崎潤一郎の男性主人公たちは
ことごとく女々しかった。とことん堂々女々しくて・・・
それが谷崎の凛々しさなんだろう、と思います。

永井荷風も一緒ですね。

で・・・ドガドガの夏の公演は永井荷風の『問わず語り』です。

3年前に高円寺明石スタジオで上演中から

『これもう一度書き直して、またやりたいな』なと思っていました。

『タクシーダンサー』という悲しい風俗に行きた女性を主人公にしよう・・・

と考えていたのですが、
どんな風に話を展開していいか、いまいち決心がつかないでいました。

戦時中が舞台ですからそもそも若い男の絶対数が少ない。

そんな世界の恋愛模様を描くのだから、女たちが思い出と恋をする・・・

それもいいでしょう。

しかし、人間は思い出だけで足りるのでしょうか?

生身のぬくもりや人肌が恋しいに決まっているんじゃないかな。

短絡的かもしれないけど・・・『リリーのすべて』を見た結果・・・

今度の『問わず語り』はとことんレズビアン・・・
当時の言葉ならシスターラブ・・・S・・・の世界に挑戦しようと心に決めました。

Sは世界を救う・・・とは言いませんが
Sはあたしを救う・・・そんな物語をやってみようと決心しました。

幸いドガドガの女の子には宝塚ファンも多いので堂々とやれそうです。

『リリーのすべて』はいいですよ。


それじゃあ。