消えた年金の問題は、ここ最近まで割りと静けさを保っていました。
しかしここへきて、与党が参院選で掲げていた公約の維持が難しくなったようです。
当初は宙に浮いている約5000万件を年度内にすべて統合すると豪語していました。
蓋を開けてみれば、年度内の統合完了は無理、完了しても残件があるようです。

参考↓『舛添厚労相、町村官房長官が年金記録問題で開き直り』
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071211/stt0712112250002-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071211/stt0712112250002-n2.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071211/stt0712112250002-n3.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071211-00000990-san-pol

(以下、記事を引用...)
舛添要一厚生労働相と町村信孝官房長官は11日、それぞれ記者会見で、「消えた年金」記録の基礎年金番号への統合やデータ照合に関する自民党公約などが実現不可能だと開き直った。安倍晋三前首相や福田康夫首相の年金問題解決に関する発言や自民党の参院選での主張にも反するだけに、野党各党は一斉に猛反発した。野党は舛添氏の問責決議案の提出も検討しており、福田政権の足をすくいかねない問題に発展する可能性がある。
年金記録の統合は(1)コンピューターのデータを照合する(2)照合に基づき、未統合記録を4月以降も基礎年金番号に突き合わせる-という作業があり、この2つが完了してはじめて「消えた年金」問題が解決する。町村氏は記者会見で、この2つを簡略的に、「選挙ですから『年度内にすべて』と縮めて言った」と釈明した。また、社会保険庁は10日、来年4月以降の作業によっても統合できない恐れがある記録が945万件あるとの調査結果をまとめている。さらに、舛添氏は、「3月が終わればすべて年金問題がバラ色の解決ができているという誤解があった。『3月までに全部片付ける』とは言っていない」と言い放った。
これらの発言と調査結果は、政府が「最後の1人に至るまで記録をチェックし、正しく年金をお支払いする」(安倍晋三前首相)との公約が実行不可能だと認めたことを意味する。
特定が困難な記録が大量に発生することについては、政府・与党内では当初から予測されていた。年金記録の原本である手書き台帳の不備が多数指摘されていたためだ。このため、すべて統合できるかのような参院選での自民党の主張には、将来的に公約違反になりかねないと心配する声もあった。その懸念がまさに的中した形となった。参院選時の自民党の主張は、選挙勝利のために国民に誤解を与えることを承知の上での確信犯的な言動とも言える。
これに対して、野党各党は「あまりに言葉が軽すぎる」と反発、舛添氏の問責決議案提出も視野に政府・与党を追及する構えだ。
民主党の小沢一郎代表は会見で「公約違反で、政府の責任は非常に大きい」と福田内閣を批判。さらに町村発言を「国民を冒涜(ぼうとく)する、責任回避の言いぐさだ」と非難した。福島瑞穂社民党党首は「選挙のためならウソをついていいのか。赤福よりも船場吉兆よりも悪い偽装だ」と切って捨てた。
ただ、町村、舛添両氏の発言が非常識かどうかは別として、実際問題として、政府が年金記録統合のための新たな対策を見いだせていないのは事実だ。その意味で、両氏の発言は政府の本音でもある。
福田康夫首相は11日の閣僚懇談会で「国民の信頼を回復するため、対策の着実な実施や国民への丁寧な説明などにしっかり取り組んでもらいたい」と指示したが、舛添氏は特定困難な945万件について「優先順位をつけて検討する」としただけで具体的な対策を示せなかった。
こうした対応に与党内からは「福田政権はきちんと対応しなければ、年金問題の対応で支持率を落とした安倍政権の二の舞いになる」(若手議員)との声も出始めた。


まあ、何となく無理ではないかなという気は私自身もしていました。
当時は、随分と大きな風呂敷を広げたものだなと感心していましたからね。
恐らく、参院選の当時から不可能なことは関係者ならわかっていたでしょう。
できないことを選挙の公約にしていたのは如何なものかと思ってしまいます。

結果的に、その時の参院選は与党の惨敗でした。
だからといって、公約が反故になった訳ではありません。
政権を担っている与党であるのだから、何としてでも公約は果たすべきです。
選挙目当てのリップサービスだったと揶揄されて然るべき事態です。

もし最初からできないとわかっていて掲げた公約であれば、その罪は重大です。
あるいは、たいした下調べもせずに掲げたとすればほぼ同罪です。
このままでは、責任を果たせない政権与党の言うことを信じることはできません。
「選挙ですから『年度内にすべて』と縮めて言った」という釈明で納得できるのか?
この安易な発言は、詐欺にも匹敵するような気がしてしまいます。

政治は、国民の利益を第一に考えて様々な政策を実施するべきです。
その当たり前のことをないがしろにした今回の事態は由々しきものです。

もう年金問題は待ったなしの状況にあります。
包括的な解決手段を早急に打ち立てる協議を与野党の垣根を越えてやって欲しい。
それは勿論、厚生労働省の方々も含めてのことです。
オープンな議論を行い、信頼回復に努力されることを願っています。
多分無理だろうとは思いますが。。。