『月刊社労士 20166月号』(発行:全国社会保険労務士会連合会)より

 

継続して5年にわたり雇用された有期雇用労働者は、本人の希望があれば無期雇用労働者に転換できます。この法定化された“無期転換ルール”に対応するために、連合会は無期転換ルールに対応するためのモデル就業規則を作成しました今回、会報誌にその概要についての記事がありましたので要旨をまとめてみました。

 

1.作成する意義

無期転換ルールに対応する就業規則を作成するに当たって、企業が解決しなければならない課題があります。無期転換ルールは伝統的な社員区分制度、人事管理に変更を迫るものであり、主に2つの課題があります。

 ・無期転換ルールによって、有期雇用労働者から無期雇用労働者に転換した社員をどのようなタイプの社員とし、どのような社員区分制度をとるのかを決める必要があります。

 ・無期転換社員に対して、正社員と同じ人事管理を適用するのか、異なる人事管理を適用するのかを検討する必要があります。

 

2.作成の視点と構成

無期転換者のみに注目するのではなく、人事管理全体に注意を払うという視点を持つことを重視しています。その理由は次のとおりです。

 ・企業には既に多様な転換制度があり、無期転換はそれらの中の1タイプであるので、無期転換制度は他の転換制度との整合性を持って作らなければなりません。

 ・無期転換社員は期限のない雇用契約をとる社員であるので、長期にわたって活躍を期待する社員と位置づける必要があります。

モデル就業規則は大きく、

 ①社員タイプに定義に関わる規定

 ②労働条件に関わる規定

 ③社員タイプ間の転換制度の規定

から構成されます。また、転換制度は、正社員転換制度、無期転換制度、正社員タイプ変更制度の3タイプが想定されています。

 

3.作成の前提

モデル就業規則を作成するに当たり、準拠した“社員タイプと転換制度の全体像”はいくつかの点を前提に作成されています。

 ・有期雇用社員は、短時間勤務のパート社員とフルタイム勤務の制約社員の2つの社員タイプから構成されているとしています。

 ・無期契約社員は無期転換社員、限定正社員、正社員の3つのタイプから構成されています。

 ・正社員転換制度は無期転換制度とともに整備される必要があります。

 ・無期転換社員であっても、他のタイプの正社員と同様に限定正社員への転換制度が整備される必要があります。

 

 

わたしの勤めている会社もいわゆる無期の正社員ばかりでなく、有期雇用社員が増え、その種類も短時間勤務もあればフルタイム勤務もあり、無期転換制度を就業規則に組み込むとなると、結構大変そうです。先ずは現在の就業規則の内容を理解して、そして無期転換について考えてみようと思います。

 


 

 

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