『会報 20162月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

日本では労働組合の数も活動も減少しており、かつてのような組織的・大規模な組合運動は見られなくなりましたが、また最近、労働組合法に関係する場面が生じるようになって来ているようです。それは、近年の契約社員、派遣社員、パート労働者などの不安定な雇用環境が大きく影響していると考えられます。今回、労働組合法の基礎知識を解説した記事が会誌で特集されていましたので、その要旨をまとめてみました。

今回は、労働組合の要件と組織運営についてです。

 

3.労働組合の要件

労働組合法上の保護を受けるためには、次の要件を満たさなければなりません。

 ①労働者が主体となること

 ②労働者が自主的に組織する団体であること

 ③労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的とすること

 ④団体またはその連合団体であること

 ⑤組合の民主的な運営を確保するために法定された事項を記載した規約を作成すること

 

4.組織と運営

(1)自治とその限界

内部運営について、組合自身でルールを決め、それに従わない組合員に対しては戒告や除名など統制処分を行うことができます。他方、民主的に行わなければならないとされ、組合員には労働組合からの脱退の自由があります。

(2)チェック・オフ

使用者が、労働組合との協約に基づき、組合員の賃金から組合費を控除し、それを労働組合に引き渡すことをチェック・オフと言います。使用者がチェック・オフを適法に行うために注意すべき点があります。

 ・チェック・オフについての労働協約が、当該事業場の過半数を組織する組合との間で締結されたもの、もしくは過半数代表者との労使協定を締結する必要があります。

 ・使用者は、ある特定の組合員がチェック・オフの中止を申し入れた場合には、その組合員については賃金からの組合費の控除を中止しなければなりません。

(3)ユニオン・ショップ

ユニオン・ショップ協定とは、使用者が、労働組合の組合員でなくなった者を解雇する義務を負うことを内容とする労働協約を指します。このようなユニオン・ショップ協定が有効となるのは、締結する労働組合が、当該事業場の同種の労働者の過半数を組織していなければならないと解されています。

ユニオン・ショップ協定に基づいてなされた解雇の有効性については、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認でき、解雇権の濫用に当たらない、とされています。

 

 

ユニオン・ショップとか、中学生の頃に社会科の授業で勉強したことを思い出しました。ユニオン・ショップによる解雇は、解雇権の濫用には当たらないんですね。ただし、客観的に合理的な...といういつもの前提がついた上で有効となる解雇となります。

 

 


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