『会報 20162月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

社会保険労務士は制度創設から45年を経過して、業務範囲も広がるとともに社会からの期待も高まって来ています。社会的要請も増加している状況の中、残念ながら社労士の職業倫理に反する行為や事件が起きています。今回、社労士の倫理について解説した記事が会誌で特集されていましたので、その要旨をまとめてみました。

今回は、品位保持に関する課題についてです。

 

7.品位保持に関する課題

(1)不適切な広告や情報発信について

近年、インターネットが普及する中、ホームページやブログ、フェイスブック等のソーシャルメディアによる情報発信について問題になることが増えています。社労士法では

「社労士の信用または品位を害するような行為をしてはならない」

と定められています。

ホームページでの広告は不特定者への表示となり、その内容、表示方法については特段の配慮が必要となります。不適切な広告や情報発信についての具体的事例については、禁止される広告として次の例が挙げられています。

 ①事実に合致していない広告

 ②誤導または誤解の恐れのある広告、誇大または過度な期待や不安を抱かせる広告

 ③特定の会員または会員事務所と比較した広告

 ④社労士の品位または信用を損なう恐れのある広告

 

(2)業務委託契約について

顧客との間における業務委託契約に関してのトラブルも増加しており、内容として、業務範囲、報酬、対応する機関についてのクレームが多くなっています。連合会会則では、

社労士会会員は、事案の受任に際して、依頼人に対し、業務の内容、報酬等を書面の交付等により明示し、かつ十分に説明しなければならない

と定められています。認識の齟齬がトラブルを発生させ、当該会員のみならず、社労士全体に対して信頼を失うことになり兼ねないことを理解しておく必要があります。

(3)助成金不正受給手続きについて

社労士の助成金不正受給手続きについては、報酬など経営面のメリットに目を奪われ、コンプライアンス、社労士としての社会的責任の大きさについて十分に認識されていないことが背景にあると考えられます。社労士が、有する知識や立場等を悪用して不正な方法で社会保険の受給を受け、または保険料の徴収を免れることを指示したり、相談に応じたりすることがあれば、社会の信頼を裏切ることになります。

違反者に対しては特に重い制裁が科されます。

 

 

 社労士は、罰則規定が設けられていたり、制裁が科せられたりすることに拘らず、国家資格者として職責に関する規定を遵守し、社会的使命を果たして行くという高い職業倫理を身につけなくてはならないですね。

 



 

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