『会報 20162月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

社会保険労務士は制度創設から45年を経過して、業務範囲も広がるとともに社会からの期待も高まって来ています。社会的要請も増加している状況の中、残念ながら社労士の職業倫理に反する行為や事件が起きています。今回、社労士の倫理について解説した記事が会誌で特集されていましたので、その要旨をまとめてみました。

今回は、業務制限と非社労士との提携禁止についてです。

 

2.業務制限(社労士法第27条)

社労士法では、社労士または社労士法人でないものが、他人の求めに応じて報酬を得て、社労士法に掲げる事務を業として行なってはならない旨が規定されています。

「他人の求めに応じて」

自己以外の者から依頼を受けて行なうことを言います。中小企業協同組合等の団体がその構成員のために労働社会保険に関する事務を行なう場合であっても、他人の求めに該当するので、報酬を得て業として行なう場合は本条に抵触することになります。

「報酬を得て」

事務の対価として与えられる反対給付を得るということです。会費などという名称であっても、それが社労士法に定められた事務を行なうことに対して支払われていると認められる場合には、報酬を得ているものと解されます。

「業として」

社労士法に定められた事務を、反復継続して行うこと、または反復して行なう意思を持って行なうことを言います。一般の会社の労働社会保険事務担当者や社労士事務所の職員のように、他人に使用され、その指揮命令の基に事務を行なう場合にはこれに該当しません。

「誠実に業務を行なうこと」

社労士は、業務を受託した委任の本旨に従い、善良なる管理者の注意を以て受託事務を処理する義務を負います。委任契約の目的とその事務の性質に応じて、最も合理的な処理を行うことを意味しています。

 

3.非社労士との提携の禁止(社労士法第23条の2

社労士が、名称の使用制限または業務の制限に違反する者と接触することを禁止し、社労士がこれらの違反行為を直接、間接に助長しないように取り締まろうとするものです。社労士制度の適正な運用を妨げる者から便宜を受け、自己の利益に資そうとする点で、これを利用しようとする社労士は非難されます。

自己の名義の利用については、先方が勝手に利用しただけは社労士の違反とはなりませんが、社労士がそれを黙認している時は違反となります。

 

 

次回は、事務所1箇所の原則についてまとめます。

 

 

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