開業への道(22) - 業務侵害等の留意点 - 

 

「開業への道」という題名で、開業に必要な事務所開設の準備とその運営方法、委託契約の締結や業務を進める上での留意点などに関して連載中です。参考資料は、東京社会保険労務士会にて開催された開業準備講座に参加した際に副読本の資料としていただいた『事務所開設と運営マニュアル』です。

今回の22回目が最後になります。業務侵害等の留意点です。

 

Ⅷ.業務侵害等社会保険労務士法制上の留意点

社会保険労務士は法によりその資格を付与され認められています。そして業務の適正を図るため、「名称の使用制限」「業務の制限」「非社会保険労務士との連携の禁止」が規定されており、これらの規定に違反するものを業務侵害行為といいます。

1.業務侵害行為

(1)名称の使用制限(法第26条)

社会保険労務士でない者は、社会保険労務士またはこれに類似する名称を用いることを禁止しています。類似する名称として過去の通達では、「労務管理士」「社会保険労士」「社会保険労務」などが例示されています。

(2)業務の制限(法第27条)

社会保険労務士でない者が申請書等の作成、提出代行、事務代理、紛争調整委員会における斡旋代理、帳簿書類の作成を行うことは禁止されています。禁止されるのは、①他人の求めに応じ、②報酬を得て、③業として行う場合です。会社の担当者や職員のように、雇用されその下に事務を行う場合は「業として」に当りません。

(3)非社会保険労務士との提携の禁止(法第23条の2)

社会保険労務士は、名称の使用制限または業務の制限に違反する者と接触することを禁止しています。知人や取引先から顧問先を紹介されるようなケースは該当しません。

 

2.業務侵害への対応

開業し、業務侵害に直面した場合は、支部長、あるいは都道府県会など地域の責任者へ通報します。通報のルート・手順は各都道府県会で定められているそうです。

 

「開業への道」シリーズ、めでたく完了しました。ありがとうございました。書物の上だけでは分かりにくいところもあります。特に帳票の類です。でも、この方面は実務を経験すれば身につく(手につく?)ものですので、ためらわず、先ずはできるところから始めればいいわけですね。では、あとはいつ開業するかです。また、勤務社労士といえども、東京会や支部の活動にも積極的に参加することも重要です。来年度は、必須研修ぐらいは全て出席できるようにしようと思います(当たり前ですか...)。

 

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