時どきはクラシック  - 「四季 春」 ヴィヴァルディ -
 
 季節柄、春を最も感じられるクラシックとして、今回はヴィヴァルディの「春」を取り上げました。実はもう1つ理由があって、最近読んだ小説である塩野七生さんの「ヴェネツィア 海の都の物語」で、ヴェネツィア共和国の最後の世紀となった18世紀を、同じ国の出身である音楽家のヴィヴァルディに合わせて、「ヴィヴァルディの世紀」と名づけていることです。
 18世紀のヴェネツィアは“平和であっただけでなく、優美で洗練されていて、華麗であってもどこかで節度が保たれている”時代でしたが、すでに東地中海の主権は失われ、西欧経済への影響力も無くなっており、滅亡直前に迎えたひとときの安らぎの時でした。そのため、今この曲を聴くと、子どものころに学校の音楽の授業で聞いたときの感想とは違った感動が湧いてきます。
 

 
 現代のヴェネツィアを背景にした動画がありましたので貼り付けてみました。動画を見ていると、ヴェネツィアの千年の歴史には、同じ都市国家のジェノバや大陸のトルコ帝国との長きに渡る抗争や新航路発見に対抗すべく国家の多角化経営を目指した、といった苦労が織り込まれているんだなぁ、という想いが過ぎります。そして、ヴェネツィアは海の上に浮かんだ都市であることも再認識されられます。近年は地球温暖化の影響で、海への埋没も懸念されているとのこと。ヴェネツィアの人々は古来から海や潟といった自然に抗うことなく、共生することで世界に名だたる都市にまで築き上げてきた...海との共生は日本も同じこと。今回の震災による津波は、自然にどう向かい合うのか、日本人の叡智が試されてる、そんな気がしてきます。
 
 今回の地震で被災された方々にも、早く幸せな春が訪れることをお祈りしております。
 
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