労働基準法 - 計画停電における休業手当の扱い


4回(3月)中央支部例会より

 

先日3/17(木)、所属している中央支部の例会に出席して来ました。その際、研修会として、計画停電が実施される場合の休業手当の扱いや、今回の震災によって開業社労士の先生が顧問先より実際に相談のあった事例についての情報交換など、パネルディスカッションが行われました。私のような勤務社労士では経験できない貴重な事例が紹介されましたので、以下に要旨をまとめてみました。

 

1.計画停電を理由とする休業の扱い

この場合は、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しません。そのため、休業手当の支払いは不要となります。

計画停電の時間帯以外の休業は、使用者に帰すべき事由による休業に当たります。ただし、計画停電の時間帯のみを休業とすることが経営上著しく不適当と認められるときには、前後の時間帯を含めて使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないと扱われます。

これには前提として「使用者としての休業回避のための具体的努力等」を総合的に勘案することになっていますので、使用者は、先ずは別の仕事を見つけるなどの努力をする必要があります。努力しても休業となったときには、使用者には責任なしと考え休業手当の支払いは不要となります。

計画停電の影響を回避するため、勤務時間を午後10時から翌朝の6時にするなど、深夜勤務に変えることも検討している会社もあるとか...これは徹底してますね。

 

2.その他の理由による休業

今回は、計画停電ばかりでなく、通勤困難や在庫不足などで休業せざるを得ないケースも想定されます。実際に相談のあった事例として、以下の例が挙げられました。

・電車遅延による、出勤不能や出勤遅れ

使用者の責に当たらないため、休業ではなく欠勤の扱い。ただし、所属長の判断が入り、一概には決められない。・・・労働者としても、出勤したくてもできないわけで、これが欠勤扱いになるのは辛いですね。所属長の適切な判断が要求されるところでしょうか。

・売上げダウンによる休業

使用者が休業を決めた場合は休業の扱いとなり、休業手当の支払い義務が発生。正社員ばかりでなく、パート分も忘れずに。

・派遣先の休業

休業手当の支払いが必要で、この場合は派遣元からの支払いとなる。

 

基本的には「ノーワーク、ノーペイ」を原則として、休業手当を支払うべきかどうかを判断するのだそうです。そのため、出勤できず働けなければ欠勤扱いですが、使用者が「今日は出勤しなくてもよい」と言った場合は使用者の責任が出てきて判断が難しくなります。

 

3.有給休暇や時間単位の年休

出勤できず欠勤扱いになるなら、年休として処理しようと考えるのが一般的ですが、これも厳密には、年休は事前申請なので年休としての処理はできないそうです。ただし、震災に限らずこれまで事後的に年休扱いで処理しているのならば、今回だけ事後処理しないということは言えませんので、年休扱いとなります...よかった。

時間単位の年休も同じ考え方ですが、労使協定が必要になります。

 

4.その他、通勤について

いつもと異なるルートで徒歩などによる別手段による通勤中に事故にあった場合でも、労災の対象になります。

帰宅できなくてタクシーを使用した場合のタクシー代は...本来の通勤費は支払っているので、このタクシー代を使用者が負担する必要はないそうです。こういう場合は、自己流に判断せず、会社に確認するのが安全ということですね。本音のところは、是非とも会社負担してもらいたいところです。

 

実務レベルの生々しい事例はとても参考になります。今回の研修内容では、現場における労務管理のヒントを見つけられたような気がしました。

 


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