まだまだ続くコーポレートファイナンス。
毎回グループディスカッションがあって結構きついですが、何とかやっています。
(毎日英語ばっかり使っていると頭おかしくなりそうですが、高負荷かけると急速的に英語力が伸びる傾向があるので、良しとしています。)
私のグループはアメリカ人、中国人、香港人、南アフリカ人、私という5人グループでインターナショナルなチーム構成となっておりますが、何とかうまくタックルしています。
さきほどのディスカッションのテーマが少し面白い内容でしたので、(intelectual propertyを侵害しないと思われる範囲で)読者の皆様にも共有したいと思います。。
下図は、2019年と2020年の世界の健康・医薬品セクターにおけるセグメント毎の平均EV/EBITDAマルチプルを示したものなのですが、やはり2019と比較して2020のEBITDAマルチプルってCovidのpandemicの影響で増加しているんですね。
ここで、お題として、下記のようなものが与えられました。
Q1. 2020年のヘルスケア製品部門のEV/EBITDAマルチプル21.35の経済的に考え得る解釈は何か?
Q2. 投資家が医薬品(バイオテクノロジー)セクターの企業を医薬品(Pharmaceutical)セクターの企業よりも高いマルチプルで評価している理由は何か?
Q3. すべてのセグメントにおいて、2019年から2020年にかけてマルチプルが上昇しており、当該原因について、少なくとも4つのpossibleな要因について説明をしてください。
そもそもの前提として、covid19のpandemicが背景として存在していて、まぁこれをどのように考えるかっていうお話しなんですけれどもhot topicで面白かったし、今世界の健康・医薬品セクターにおけるセグメント毎の平均EV/EBITDAマルチプルがファクトベースで見た時にこのような状況になっていることは知らなかったので(考えれば当たり前なんですけど。)、new to meでした。
Answersとしては、各々下記のようなexplanationで良いかと思います。
A1. Q1についての経済的な解釈については、業界全体のEVが21.35倍*EBITDAで比較的評価されていることを意味しており、これは健康セクターが他のセクターと比較して過剰に評価されているように思われ、要するに、高成長の機会、すなわちパンデミックの状況が発生していることによってドリブンされている可能性がある、というのがチーム内の結論でした(結構普通。)。
A2. Q2については、バイオテック業界は「イノベーション」と「特許」の創出に関連していることを考えると、「より高い」成長機会と高いリスクを持っており、これらのセクターは、製薬セクターと比較して高い収益の可能性を持っている。一方で製薬セクターのリスクは、新薬の製造に成功した場合にのみ価値が実現されるため、リスクは低くなる、というのが理由でしょうか。
A3. Q3については、4つのpossibleな要因について下記をチーム内の結論として出しました。
i. 世界中の中央銀行の量的緩和に牽引されて、2020年の株式市場はより良いパフォーマンスを示している。
ii. Covid19の状況が続いていることから、ヘルスケア分野への投資が増えている。
iii. 研究開発費が大幅に増加しているため、EBITDAは全体的に減少している。
iv. ヘルステクノロジー部門は、進行中のCovid19のパンデミックによる遠隔医療への依存度の高まりを考慮して、EV/EBITDAの観点から「最大」の成長を遂げてきており、これはまた、人々が遠隔医療/遠隔医療インフラに慣れ親しんでいるため、巨大な成長の可能性を持っている。
Q2 については、チームだとこの結論で終わってしまったのですが、より分解して考える必要が個人的にはあるかなと思っていて、それはcash flows の観点とdiscount rate の観点です。文章にすると下記のような文脈でしょうか。
・投資家は、バイオ分野のcash flows の将来的な成長率の向上を期待しているということ
・投資家はバイオテクノロジーセクターに低いdiscount rate を適用しているということ
何故かというと当たり前なのですが、EVってcash flows をdiscount rate で割り引いて算出するものなので、ここまで分解して議論しないといけなかったですね。後はdenominatorであるEBITDAについてあまり議論できなかったのは反省点です(A3で少し触れているので、良しとしましたが。)。
後、蛇足で恐縮ですが、こういったディスカッションって多分日本のビジネススクール(WBS, KBSなど)ではやらないですね。
ディスカッションを通して、ファイナンス概念(MBAなら全般的な概念)の理解を深めたいなら、やはり海外のビジネススクールに勝るものはないという印象です。