2017/05/26 預言者の時代 | 陣内俊 Prayer Letter -ONLINE-

2017/05/26 預言者の時代

 

第一列王記16章28節

 

オムリは彼の先祖たちとともに眠り、サマリヤに葬られた。彼の子アハブが代わって王となった。

 

 

 

16章は、

バシャ→エラ→ジムリ→

オムリ(オムリ派とティブニ派に二分)→アハブ

という、5代の王権の説明である。

 

 

いずれも短期政権で、

バシャとジムリとオムリはクーデターによる政権である。

 

 

バシャは先代のナダブ(ヤロブアムの子)に

謀反を起こし一族を皆殺しにした。

 

 

ジムリはバシャの子エラを殺害し、

バシャの一家を殲滅した。

 

 

オムリはジムリが王宮にいるときに、

軍人としてクーデターを起こし「軍事政権」を打ち立てた。

 

 

オムリの子アハブは、イスラエルの悪王の代名詞である。

 

 

クーデターと王家の皆殺しの繰り返しは、

一時期の(今もわりとそうだが)中国の歴史を見ているようで、

非常に読んでいてしんどい。

 

 

この政治の不安定の中、

国民はどんな気持ちだったのだろうと想像すると胸が痛い。

 

 

これだけ政治が不安定だと当然経済的にも貧しくなるし、

王たちはみな偶像崇拝を強要したから霊的にも荒廃する。

 

 

社会規範は廃れ、人々は戦々恐々としていたに違いない。

 

 

これに自然災害が加われば悪夢だが、

このような不確かな時代に、人は何を考えたのだろう。

 

 

 

日本だと飢饉と政治の腐敗、

宗教の堕落と自然災害に次々見舞われた

1100年頃がそれにあたり、

そのときに親鸞らが登場した。

 

 

鎌倉仏教のはじまりであり、

日本の思想史に、本当の「救済宗教」が生まれた時代だ。

 

 

他のすべてのものが荒廃する時代に、

宗教思想的にきらりと光るものが生まれる、

というのは人類史に共通の現象だ。

 

 

考えてみると預言者エリヤはこの時代に登場する。

 

 

エリヤはアハブの妻イゼベルと対決したことで有名なので、

まさにこの最暗黒時代にエリヤは生まれている。

 

 

モーセが歴史に登場したのは

イスラエルがエジプトで最も苦しんでいたとき、

サムエルが登場したのが士師時代のもっとも混乱していた時代、

そしてエリヤはイスラエル王国の最暗黒時代に登場した。

 

 

 

これらはおそらく民の声にならない叫びへの神の「応答」である。

 

 

預言者は神の道を説き、

「本当の希望」を語った。

 

 

多くの場合、語られた当人たちは

それが希望だと言うことが分かるのに

ずいぶん時間がかかるのだが。

 

 

 

現代の世界も当時に負けず劣らず、

混乱と閉塞の時代だ。

 

 

預言者の活躍する時代だ。

 

 

いや、教会が預言的な役割を期待されている時代だ。

 

 

私たちの使命を今日も果たして行きたい。

 

 

 

journal by Shun Jinnai

2017年1月10日(火)