雨「言葉を育てる」米原万理対談集より。あし

糸井重里さんとの対談で、米原さんが語った言葉だった。コピーライターは実にクリエイティブな仕事だが、そこでは記憶がかなり重要なポイントらしい。

最近は記憶力がすっかり落ちてしまった。人や物の名前が思い出せなくなってしまった。まず普段から辞書を引かないし、書くこともしなくなった。ほとんどがメールでやり取りをするだけだ。

かつては簡単だと思っていた計算も電卓を使っているうちに、計算がおっくうになった。文字もすぐには出てこない。かつて脳がやっていた雑用を機械任せになってしまったせいだ。

米原さんは、情報処理とか計算力とかの筋肉を使うことで、創造力は花開くという。余計だと思ってそぎ落とすことが、キャベツかタマネギと一緒だと表現していた。面白い。まんなかには、何もないからだった。