晴れ『世界は「使われなかった人生」であふれてる』沢木耕太郎著より。飛行機

(これも前日のつづき)
むしろ、これから書こうとしていることのほうが、「人生の分岐点となるような出来事」に近いかもしれない。ここには筆者自身の分岐点ともいえるようなことについて触れられていた。今まで沢木氏の著書は何冊か読んだことはあったがここにあった10行程度のことは初めて知ったことでもあった。

氏の分岐点は22歳のある雨の朝のことだったと振り返る。よくその日の天気まで覚えているものだ!大学を卒業して入社の決まっていた会社に向かって歩いているときのことだった。その日の明け方まで迷いに迷っていて、駅から会社に向かう途中の横断歩道で会社に入るのはやめようと決心している。

丸の内に本社をおくその会社に不満があったわけでもなかったようだ。会社員になること自体がいやだったと振り返っている。つまり入社式の日に退社する旨を告げたという。なんとドラマチックなことだろう!

結局その時が沢木氏にとっての分岐点の一つだったようだ。まあ、その後世界を放浪して一流のノンフィクションライターになれたからいいものを、ほとんどの人は妥協して会社員として一生を過ごすのではないだろうか。

“IF”を言い出したら切りがないだろう。もしあの学校に入らなかったら、もしあの会社に入らなかったら、もし彼(彼女)と結婚してなかったら・・・。時には後悔、時にはラッキーとも思えることも・・・迷いながらもやはり人生いろいろ・・・かな。

いずれにしても、今がそれほど不幸だと思えなければ、けっこうそれなりにそこそこ自分にあった人生を歩んでいるのかもしれない。満足か不満足かは、やじろべえのようなものかも・・・(諦めかもしれないが・・・)