今日はグラフを描いてみました。
都道府県ごとの合計特殊出生率と就業率・三世帯同居率・保育所数を比べて見ました。もとデータはこちらの論文の図表8で、2010年国勢調査の結果をもとにしているそうです。
まずは、合計特殊出生率と就業率の関係です。
「就業率が低いほど貧しい人が多くて、出生率が低い」という関係が予想されましたが、関係は有意ではなく、むしろ右下がり(就業率が高いほど出生率が低い)っぽい雰囲気があります。
※「関係が有意である」というのは、「右上がり」あるいは「右下がり」の関係があるかないかを統計的に評価した結果、関係が「ある」と判断された、ということです。
次は、合計特殊出生率と三世帯同居率の関係です。
「同居率が高いと祖父母が子供の面倒を見てくれるので出生率が高い」という関係が予想されましたが、こちらも全く関係はないようです。
最後は、合計特殊出生率と保育園数の関係です。保育園数は絶対数ではなく、子供1000人あたりの数を表します。
こちらは、全体としての関係は有意ではありませんでしたが、有意にかなり近いものでした(P<0.1)。そして、明らかに外れて見える沖縄の値を除くと、関係は有意になりました。図中の回帰直線とr2値は沖縄の点を除いて計算したものです。
ということで、グラフを描いてみる限りでは、家庭環境よりも保育所があるかどうかが出生率に影響を与えているように見えます。
しかし、どんな因果関係がはたらいているのかは注意が必要です。保育所があると出生率が上がると見るのが自然ですが、「保育所をつくる余裕」がある自治体では出生率が高い、という可能性も捨てきれません。具体的には、例えば地価が高くて住みにくい自治体では保育所も作りにくい、というように、両者の関係が「地価」を通した間接的なものである可能性もあります。
注意は必要ですが、出生率と保育所数の間に相関があるということは重要だろうと思います。保育所数を増やす努力はしたほうがよい、ということでしょう。
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