リプラス破産とその影響~その2 | 元・銀行員 ~ 華麗なる転職!~そして独立へ!

元・銀行員 ~ 華麗なる転職!~そして独立へ!

転職~独立・・・・・波乱万丈な元銀行員の日記

3.リプラス破産の影響

 (1)二重払いの危険

 前回お話したリプラス賃貸保証事業の概要ですが、賃借人には厳しい契約となっています。


 一般保証の場合、賃貸人がリプラスに代位弁済を請求し、実際に賃貸人に支払われるまでの1ヶ月の間に、賃借人がリプラスに支払った場合に問題が発生します。


 リプラスが賃貸人に代位弁済をする前に破産した場合、賃借人がリプラスに賃料を支払った行為は、難しい言葉で言うと事前求償に基づく支払いになります。 でも、これはあくまでも、賃借人が連帯保証人であるリプラスに支払ったに過ぎず、賃貸人に賃料という債務の弁済をしたことにはならないのです。


 従って、リプラスが賃貸人に支払う前に、リプラスに賃料を支払った賃借人は、賃貸人に再度賃料を支払うよう、請求されれば支払いをしなければならないということになります。 つまり、リプラスに支払っても、再度賃貸人に支払わなければならないという、二重払いの危険を負担することになるのです。


 これはレントゴーでも同じことが起こります。 口座から賃料が引き落とされても、契約上賃貸人に入金になるまでは賃料の支払いとはならず、賃貸人に入金になるまでの5営業日の間にリプラスが破産した場合、賃借人は同じく二重払いの危険を負うことになります。


 これらがどれくらいの数に登るのかはわかりません。 ただ、リプラスの保証件数はだいたい45万件くらいあるそうなので、その1割(私の経験測では、これくらいの割合ですね)の人が二重払いの危険を負うとして、5万件近くになります。


 賃貸人がこれらの人たちに一斉に請求した場合、やはり社会問題となる可能性があります。


 ことは、住居の賃料です。 もし、読者の方々が、家賃を2回支払えと言われれば、どう思いますか? 家計に与える影響だって、尋常ではないでしょう。


 でも、リプラスの破産による影響はこれだけではありません。



 (2)保証人の変更


 リプラスが破産したことで、約45万件の賃貸契約の保証人が一度に破産したことになりました。


 通常賃貸契約書には、保証人が破綻した場合、賃借人は、資力のある保証人を再度立てる義務が記載されています。


 元々、リプラスの社長がこの制度を考えたのは、様々な理由で簡単に保証人を立てられない人たちを助けるためでした。 実際、保証人を立てることは大変なことだと思います。


 でも、賃貸人にしてみれば、保証人がなくなることは債権保全上の問題もあり、軽々しく許容できることではありません。


 従って、賃貸人は、これらのリプラスが保証人となっている賃借人に対し、別の保証人を立ててもらうように要請することになります。

 

 45万件が一斉にそのような動きになるとすると、大変な混乱になることは必至です。


 もちろん、別の保証会社に保証を依頼することも可能ですが、その保証会社の審査に通らなければならないし、何よりも保証料がかかります。 これら保証料の負担も、契約上は賃借人の負担となります。


 やはり、この部分についても、社会問題となる可能性があるでしょう。



 (3)賃貸人側から見た影響


 リプラス破産により、賃貸人にも多大影響があります。 まず、上の(1)と(2)の問題に伴う交渉や手続きにかかる体力の問題があります。 特に(1)の問題は、賃貸物件を取得する際にローンを組んでいる賃貸人にとっては、死活問題となります。 賃借人と揉めてキャッシュが入らなければ、ローンの返済が滞ります。


 更に、今後リプラスの代位弁済が受けられないことで、毎月の賃料の回収額が落ちる可能性が高くなります。 加えて、今までリプラスが賃借人に請求をしてくれていたのも、賃貸人自ら請求しなければならず、体力的な負担は更に増すことになります。


 それでも、賃料が回収できれば良いのですが、回収できなければ、結局ローンの返済に影響が出るなどの問題に発展します。


 何しろ45万件ですから、賃貸人の数も多く、今後不良債権の増加など、銀行にも影響を与える可能性は否定できません。



4.最後に


 リプラス破産により、実は大変な問題が発生していることについて、ご理解いただけましたでしょうか?


 これらの問題は今のところ表面化していません。 でも、近々色々と問題が噴出する可能性があります。


 かつて、住居を借りるにあたり保証人問題で大変苦労をされた経験から、この制度と会社を作った姜社長。 でも、今回福田元首相みたいに、途中で完全に投げ出し、たくさんの人に迷惑をかけて、どういうつもりなのかと思います。


 そして、リプラスの破産に伴う問題は、これだけには留まらないのですが、そのあたりについては、また機会があればお話したいと思います。