検討予定表を眺めていると、
当時の自分の思惑がすぐに思い出せないものがある。
だって、半年前なんだもの。
【棋譜DB】
第74期順位戦A級6回戦 渡辺明-郷田真隆
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先手:渡辺 明
後手:郷田 真隆
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △5四歩 ▲4八銀 △4二銀 ▲5八金右 △3二金
▲7八金 △4一玉 ▲6九玉 △5二金 ▲7七銀 △3三銀
▲7九角 △3一角 ▲3六歩 △4四歩 ▲6七金右 △7四歩
▲3七銀 △6四角 ▲6八角 △4三金右 ▲7九玉 △3一玉
▲8八玉 △2二玉 ▲1六歩 △8五歩 ▲2六歩 △9四歩
▲1五歩(下図)
・・・で、思い出しながら書くのだけど、
当時は上図から△5三銀▲1八飛の進行に興味を持っていて、
先手がまずまず楽しく指せそうな感触を持っていたのね。
で、当時渡辺-森内戦の記事
を書いた時に、
コメントで勝又-宮田戦
の存在を教えてもらったんだけど、
その後の研究で、45手目に▲1七飛(下図)という手を発見して、
「あれっ、これは先手いけるんじゃない?」と一人で盛り上がってたのよ(笑)
この手の意味は、飛車を2筋に回りたいというもの。
いきなり▲2八飛と回ると△4五歩だから、
▲1七飛~▲1八香~▲2七飛みたいな感じで、
えっちらおっちら繰り替えようじゃないの、とね。
飛び道具が一マスずつ動く様子が可愛らしく、
自分ではお気に入りの手だったんだけど、
知り合いの奨励会員に見せたら、
「普通の手ですね」と一言で片付けられたのが印象的です(笑)
まぁ、実際のところ、上図から△4五歩が難しい手で、
▲同 桂△同 桂▲同 銀△3三桂▲4六歩△4五桂
▲6五歩△7三角▲4五歩(下図)
この時に、△2八角成・△5八銀・△6九銀という、
▲1七飛型ならではの受難があるので、得策ではないのかなぁ。
これはこれで難しいんだけど、あまり夢を見ちゃいけませんね。
・・・そんな試行錯誤を繰り返していた時期だったから、
▲1五歩以下△9五歩▲1八飛△7三銀(下図)となった本譜に、
何となく、▲1八飛型を肯定されたような気になったわけですよ。
自信があれば、どちらかの実戦例に合流すると思ったので。
当然上図では▲4六銀なんだけど、
そこで△7五歩▲同 歩△同 角▲3七桂と進むなら、
1筋の位が大きい感じがします。
だから、本譜は△8四銀(下図)
これはちょっとビックリしました。銀が出るところが無いので。
でも、上図から
▲3七桂 △9六歩 ▲同 歩 △同 香 ▲同 香 △9五歩(下図)
そっか、なるほどなぁ。
受けに回ると、右辺の攻め駒が泣きそうなので、
先手としては攻めあうところですかね。
上図以下
▲3五歩 △9六歩 ▲9八歩 △3五歩 ▲2五桂(下図)
△2四銀などと逃げると、
▲3五銀と捌かれて指しにくいです。
かと言って、△7三桂と跳ねるのは、
▲3三桂成△同 金上に▲6五香がよくあるテクニックで、
玉頭を緩和しつつ、▲2五桂が狙いになります。
で、本譜は△9五銀なんですが、
▲6五歩 △4二角 ▲3五銀 △3四歩 ▲3三桂成 △同金上
▲3四銀 △同金右 ▲3七香 △4三銀 ▲3八飛(下図)
渡辺先生らしい、ドリルのような攻めの構想。
個人的に、香車を渡すとうるさい棋士No.1だと思ってます。
ここで郷田先生は△3二香だったんですが、
本来なら△8三香と据えたいところだったと思います(下図)
上図以下、
1.▲3四香△同 銀▲3五歩△4三銀▲3四銀は△8六歩でどうか。
これはかなり難しい終盤だと思うんですが、どうなんだろう?
上記手順で先手が負けだと変化しなくてはいけませんが、
上図で2.▲4六角と出ると△7三桂打で、先手玉頭の弱体化が気になりますし、
3.▲3四香△同 銀▲同 飛△同 金▲4三銀は詰めろにならず△8六歩で負け。
受けに回るなら、どこかで▲7一銀と打つんですかね。
それなら後手は△8四香と打った方が、△8三飛の余地がある分得かもしれない。
・・・という事を色々考えていると、やっぱり1.の変化に戻りそうな感じかなぁ。
しかし、後手を持っても可能性がありそうな気はします。気だけかもしれないですがー。
本譜の△3二香もガッチリした受けに見えたんですが、
▲1四歩 △同 歩 ▲1三歩 △同 香 ▲1二歩 △同 玉
▲1四香 △同 香 ▲3四香 △同 金 ▲1三歩 △2二玉
▲1一銀(下図)
端からの手作りが巧みだったです。
厳密には大変な形勢だと思うんですが、玉形差があるので、
後手を持って正確に指すのは難しいですかねぇ。
先手を持ちたい人が多そうな局面です。
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