何気に注目している王位戦。
その理由は行方挑戦者。
結婚してから絶好調で、タイトル初挑戦である。
大分前になるが、将棋世界で連載をしていたことがあり、
その文章から、危うさを感じるくらいの純粋さと屈折を感じた。
それ以来、自分にとって行方尚史はカッコ良い棋士になった。
行方尚史四段(当時)「四段昇段の記 血を吐くまで」
タイトル戦に際し、流石に血を吐いてくれとは言わないが、
倒れるなら前向きに倒れてくれ、と思った。
相手が巨大な敵とはいえ、背中に刀傷を残して欲しくない。
やられるなら真正面からバッサリだ。
イメージ通りの斬り合い。
挑戦者が勝つならこんな展開だと思っていた。
後手玉には▲3三竜以下の詰めろが掛かっていて、
一度は受けなくてはいけないのだけど、その方法が悩ましい。
「まぁ、一般的には△2三金打だろう。
▲4六角が厳しい手だが、△3五銀でどうか・・・」
この局面が(個人的には)最高に難しいと思っていた。
△3五銀がポイントで、この手に換えて、
①△3五歩には▲2一金、②△3五桂には▲同 歩で、
▲2五桂打が厳しい。あえて高い駒を捨てる点が面白い。
上図△3五銀にも▲2一金かと思うが、
以下△7六歩でギリギリの将棋ではないだろうか。
△5六銀の補充が利くのが大きい。
一直線の将棋なので、この局面まで進む可能性もある。
△3五銀は試してみたい一手となった。
しかし、そんな私を嘲るように、△1一角は放たれた。
挑戦者はレーザービームと呼んだ。
殺気立った角が狙っているのは敵玉だけでは無かっただろう。
△2三金打なんて手ではタイトルを奪えないのか、と感心した。
しかし、続く▲3三金に△同 角と応じられないのでは変調。
▲5五角の詰めろ逃れの詰めろを見落としたのは致命的だった。
ふいに、△1一角が挑戦者と重なった。
世界の隅で孤独に呻くイメージ。行方ファンとしてはもう見たくない。
レーザービームは挫けない。そう思いたい。
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