中盤の難所を考える(王位戦第5局 羽生-藤井戦)研究編 | 将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

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オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

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王位戦第5局 、48手目△3七歩成としたところで、
△2四銀と打ってみたのが今回の問題図です。

羽生先生が「気にしていた」と仰られなければ、
もう少し気楽に更新できるんですけど(苦笑)
気を取り直して、自分なりに考察してみようと思います。

まず、考えなくてはいけないのが▲1六角の存在。
これが働かない展開にしてはダメですよね。

例えば▲8五飛△7二玉(下図)
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一瞬は気持ち良い▲8五飛ですが、
ここで後続が無いと飛車角がいじめられやすい位置にいます。

後手は△2八角からポチポチ指せば良く、
これは後手を持って指してみたいです。

よって△2四銀打には▲2八飛ですね(下図)
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ここで△3九角も見えますが、▲2七飛でどうか。
以下△4九飛成▲3四歩△1五銀▲2一飛成・・・
難しいですが、激しい展開になると△3九角がボケそうです。

そこで△5六飛を本線に考えていきます(下図)
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△5六飛は「駒得したらゆっくり」の教えに沿った手なので、
これで良ければ一番良いです。

ただ、後手は歩が少ないので、
抑え込む感じにならないのが気になるんですよね。

コメントでは、上図で▲4七金という意見が出ていて、
相当有力な手段だと思っています。
以下△2七歩▲同 飛△3七歩成でどうか。大変な将棋です。

ただ、先手の狙いは▲3四歩なので、
それでダメなら▲4七金で妥協する、というのが順序のような気がします。
以下△5五角(下図)
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ここで両対局者の読み筋は、
▲4六歩△同 角▲4八飛だそうです。以下、
△4二銀▲4三歩△5一銀▲3八角(下図)
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なるほど、深いなぁ・・・

以下△5七角成などの手段があるので、
後手が即負け、という訳ではなさそうですが、
「2四の銀が遊ぶから最後は負ける」と勘が働く局面です。

ちなみに某管理人さんは、
△5五角に▲6八桂もあるかなーと思っていたそうですが、
格調低い手なので、図にするのは勘弁してあげましょう(笑)


戻って、この将棋のハイライトは何と言っても▲1六角(下図)
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この筋って見た事あるんだけど、初めてなのかな。

この局面から、私も色々検討したんですが、
後手がなかなか良くならないので困りました。

まず、上図から△1四歩(下図)
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△2五歩は後程取られちゃったので、
態度を保留したらどうか?って発想です。

本譜と同様に▲3八飛と指すと、
△3七歩▲同 飛△4六飛▲3三銀成△3六歩▲2七飛
△3三銀(下図)
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これは大分景色が違いますね。
以下▲3四歩には△1五歩と切り返してどうか。

ただ、△1四歩には▲2四飛が利いちゃうんですね(下図)
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△2三歩には▲3三銀不成がピッタリ。
△1五歩にも▲2七角が寄せに利く好位置です。

後手玉が弱すぎて、捌き合いに出来ないみたいです。

また、本譜▲3八飛の時に△1五角も有力(下図)
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しかし、この手には藤井先生ご指摘の手順があって、
▲4五歩△5四飛▲5五歩△同 飛▲2三歩(下図)
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これが間に合っちゃうんですね。
以下も考えたんですが、どうも厳しいです。

公式サイトにも書かれているので、
興味のある方はそちらをどうぞ。


この辺りで変化出来ないと、冒頭の△2四銀打の局面まで進んじゃいます。
(まぁ銀を打つかどうかは別として)

よって、現状では先手良しなのかなぁ、っていうのが私の意見です。
駒得でも歩が少ないので、ゆっくり抑え込みに行く事も出来ず、
玉形が悪いので、捌き合いにも出来ず、
っていうのがキツいんですね。
一局の方針がハッキリしないと迷子になりやすいのを再認識しました。
(だから私は方針のハッキリした濃い口の戦法が好きなんです)

一応、検討の材料だけは置いておいたつもりなので、
我こそは、という方は後手良しになる手順を考えてみて下さい。
この変化が潰れると、藤井システムはまた封印されてしまうと思うので、
かなり重要な定跡です。

藤井先生、頑張って下さい!と思う方は、
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